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中国製品の優位性が、いよいよ終わりに!

 このnoteでは経済的なことや、お金にまつわるあれこれを書きつらねてきたのだが、別のアカウントでちょっとしたモノづくりをしていて、これまで中国から部品を調達することが多かった。

 調達といっても、一昔前なら、中国側のバイヤーとやりとりしたり、何がしかのツテのようなものを使って部品を買う必要があっただろうが、ぶっちゃけそんな難しいことは全然なく、

ただアマゾンで買えばいい

のが実態である。わらい。

 すでにみなさんご承知のとおり、アマゾンにはマーケットプレイス方式といって、中国側の企業が、アマゾンのシステムを借りながら対個人でモノを売り買いするしくみが既に存在するので、日本側のこっちから見る限りでは、「ふつうにネットで買うだけで、モノは中国から送られてくる」ということが可能になっている。

 安価なスマホ機器で有名になった「Anker」の商品なんかは、今でこそ国内店舗もあるが、もともとは中国の深圳からダイレクトに送られてくるのが基本である。

 もちろん、中国製パーツや製品を入手するには、アマゾンだけでなく、他にもいろいろな方法がある。中国版アマゾンみたいなネットサイトは山ほどあって、Banggodなんかも、利用する。


 さて、ネット経済人として目利きをしたければ、

楽天・Amazon・Banggod

の3つくらいでいいので、まったく同じ商品がそれぞれいくらで販売されているかを「横/縦」でウォッチすればいい。

 どういうことかというと、「中国発のパーツや商品の値段が、Banggodでいくらで売られているか」がまずスタートで、「その値段とほぼ同等か、日本向けにちょっと経費をかけて上乗せされているのがAmazonの値段」で、最終的に「国内の業者がパッケージングすると、楽天でいくらになっているか」が日本市場の値段である、という感じなのだ。

 だからたとえば、Banggodで500円くらいのものが、Amazonでは600円くらいで売られていて、楽天の国内向けパッケージ版だと1000円になっている、みたいな雰囲気を想像すればいいのである。


 まず、この↑の値段の読み方が「横軸」「横方向」であり、製造地点である中国の卸し価格と、流通価格と、末端価格の違いがわかるというわけだ。

 ヨシイエさんはずっと、このやり方で部品を仕入れていたのだが、ざっくり言えば、中国発Banggod/Amazon価格が300円台くらいの部材が、日本製の同型だと1000円くらいしていたので、当然中国からずっと購入していた経緯がある。
(ただし、日本品の劣化コピーなので、B品が混じる率が高く、中国から買っていたものは、1〜2割くらいは使えないことが多かった。その点、日本品は、検品などもしっかりしているので、無駄になることはない)

 
 ところがコロナ禍がある程度低め安定になってきて、この価格に大きな変化が生じているのである。では、今度は縦軸で、中国と日本の価格の状況を見てみよう。

 縦軸というのは、同じ商品の価格変化を時間軸で追いかけることだ。

 ヨシイエさんの買っていた部材は、現在700円台になっている。2年ほど前の倍の値段に跳ね上がっていることがわかる。日本品は1300円くらいである。

 ここで注目してほしいのは、中国製は倍になっているのに、日本品は1.3倍くらいにしかなっていないということだ。いろいろな原材料の高騰で、どちらも高くなっているのだが、おそらくは為替差もあって、中国製の値上がり率はエグい。

 それで製品歩留りが依然と同じくらい悪いのであれば、中国製パーツを使うメリットがほとんどなくなってくる、ということだ。

 もっとおもしろいのは、日本品と先ほど書いたけれど、これは「日本製」とは異なるパーツで、よーく生産国を見ると
「MADE IN TAIWAN」
と書いてあった。

 つまり、整理すると

◆ 日本ブランド 日本製 1600円くらい
◆ 日本ブランド 台湾製 1300円くらい
◆ 中国ブランド 中国製 700円くらい

というラインナップが存在するのである。その中で、どれを使いたいか、ということなのである。


 縦軸の中では、当然日本製・日本品も価格が変化しているのだけれど、これもよーく見ていると、日本はほとんど価格が上がっていないので、

◆ 日本ブランド 日本製 1500円くらい
◆ 日本ブランド 台湾製 以前は無し
◆ 中国ブランド 中国製 300円くらい

がかつての価格差であり、ようするに日本ブランドが台湾製に切り替えたのは、価格調整のためであることがわかる。


 まあ、ざっくり言えば、2年前までは

『日本製品の値段は、中国製の3〜5倍くらいの価格差』

だったのが

『日本製品の値段は、中国製の2倍くらいの価格差』

にまで近寄って来た、ということなのである。


 おまけに、今後は、日本の円安がもっと進むだろうから、為替による影響で、価格差はもっと縮まることが予想される。さらに、価格差が縮まっても、中国製品の精度が向上したわけではないので、値段が近いのに日本製品との精度差は残る、という最低最悪な状況に陥るわけである。

 平たく言えば、「値段が上がるのに、製品は悪い」ということが中国製品に起きるのだ。


 こうなってくると中国製品をパーツとして使うメリットはほとんどなくなってくる。歩留りの悪さを我慢しても圧倒的に安価だったから中国パーツを使っていただけで、それなら日本製パーツを使って、ヨシイエが作ったモノの最終価格をわずか値上げさせてもらうほうがマシだからだ。


 そんなことを思っていたら、先日、アマゾンで仕入れた中国製パーツについて、メーカーが写真や図面と違うものを送ってきやがってブチ切れるハメになった。

 おいおいすでに倍くらいの値段になっているのに、あまつさえ違う部品を送ってくるたあ、どういうこっちゃ!

と、返金手続きに入ったわけだが、さらにヨシイエさんを激怒させるように、

「では、現物は破棄していただいて結構です。その代わり、返金は半額でいかがでしょうか?」

と抜かしてけつかったのである。

 断固、否。

 いやよ、だめよ、うっふんあっはん、と返信して、なんとか”全額返金”をもぎ取ったが、これでは、中国製品の独壇場も、いよいよおしまいになりそうである。

 気をつけなはれや!


(おしまい)


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