見出し画像

企業寿命の5類型 〜ヒットを飛ばせ!は正しいのか〜


 前回、45歳定年制の話をしたところですが、そもそも年功序列や今までのような労働者の維持ができなくなってきたのは、端的に言えば

「人口減少で、需要が減ったから」

ということです。もちろん、その周辺には

「中国などの台頭で、製造者側の需要も持っていかれたから」

ということもあるでしょう。


 つまり、今までのような売り先が確保できず、仮に売り先があっても、「作る側の仕事も中国に持っていかれてしまった」ので、なす術がない、ということなんですね。

 これを一朝一夕に跳ね返すことはできず、全体としての大きな世界の流れに日本も巻き込まれているということです。


 そんなことを考えていると、これまでの高度成長期にあった企業のあり方と、あるいはこれからの右肩下がりの時代における企業のあり方と、どのように進むべき道を意識すればいいのか、という話を思いついた次第です。


 というわけで、今回は、めちゃんこわかりやすい「企業のあり方のパターン」をお話しようと思っています。これから起業しようと思っているそこのあなたも必見ですよ!


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「起業寿命の5類型」というタイトルを挙げましたが、寿命という言葉は別の視点に置き換えることも、もちろんできます。つまりはその企業がどのように発展して、どのような進路を取るのかということと、最終的な寿命はリンクしているからです。

 そもそも起業して生き残る率がかなり低く、9割の起業は失敗する、なんて言われますし、生き残っている企業でも、「平均寿命は20年〜30年」という話もよく聞きます。

 ものすごく平たく考えれば、「企業寿命が30年しかないのに、どうして60年の終身雇用ができるのだろう」と思いますよね?そうです。本質的には、終身雇用は「できない」のが正解なんです。

(20歳から60歳までと考えても40年間は必要)

 ところが、明治の呉服屋からスタートした財閥とか、それこそこれからお札になる渋沢栄一がリードした産業界などは、実際には手がけている仕事内容は違うのだけれど、会社としては明治からずっと維持されています。

 あるいは公務員や、その流れを組むJRやNTTなどもそうですが、こうした大企業においては60年以上の歴史があるから、60年の終身雇用が可能だったわけですね。

 しかし、そうした呉服屋由来の企業も、実際には合併とリストラを繰り返してきており、いよいよ年貢の収め時がやってきてしまいました。これからは、

「タピオカ屋のような企業設計」

が普通になってきます。つまり企業寿命を5年以下に設定するような、そういう起業の青写真が必要になるのかもしれません。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 そうしたことをわかりやすく理解するために「企業寿命の5類型」をいよいよお伝えしようと思います。どんなことを言いたいのかは、めっちゃ簡単なのですぐわかりますよ!


1)三振型

 そもそもヒットが出ない、というオチから始めましょう。起業しても9割のスタートアップはひっそりと消えてゆくと言う世界。仕事や会社を興しても打率は1割といったところでしょうか。たいていの会社は、すぐに消えまます。


2)内野フライ型

 1年くらいは持ちこたえるかもしれません。大きく上に打ち上げてしまいますが、キャッチャーや内野の野手に捕球されてしまうパターンです。多くの起業は、こういう線形(グラフ)を描いて、業績を拡大したのち、超短期間で寿命を迎えます。


3)内野安打、ライナー型

 線形(グラフ)はボテボテかもしれませんが、数年から十数年は業態が持ちこたえるパターンです。大ヒットもないかわりに、”おまんま”は食っていけます。現実に動いている大半の中小企業は、こういうグラフを描きながらある程度中長期的に持ちこたえて、寿命へと向かいます。


4)外野ヒット・ツーベース/スリーベース型

 大企業とはこうありたい、という一種の理想型です。線形やグラフ上は、「ホームラン」と変わりません。縁起よくここはホームランと言いたいところですが、すべての起業はいつか寿命を向かえますから、ホームランですべてがうまく行くわけではない、という戒めも含んでいます。

 シャープや三洋電気なんかはこのパターンです。ちゃんと大きなヒットも飛ばしたし、そのグラフは大きな山を描いたけれど、現実には球はどこかに「落ちる」という着地点があるわけです。その着地まで数十年間持ちこたえたのであれば、万々歳ですね。

 理想的な企業寿命だと思います。


5)場外ホームラン型

 なぜシャープや三洋を例に挙げて「理想的」と言ったのかは、理由があります。そりゃあ「永遠に会社が続く」と思いたいのは山々ですが、それは現実には「幻覚妄想」の類で、会社はいつか落としどころを迎えます。

 ところが、先にも延べましたが、日本社会には「場外」まで続いている企業がゾンビのように生き残っていて、「高度成長の蓄えを食いつぶしながら、とりあえず現時点では持ちこたえている」という会社が実際にあります。

 これらの会社の球の着地点は「場外」なので、とりあえず「今」ではない未来のどこか、になりますが、それでも東芝のように、「球の行き先」が見えてしまっている会社もありますね。

 場外ホームランなら「大ヒット御礼」じゃん!と思うのは早計で、実は経営者も従業員も「終わりが見えていないだけ」というのが実態。理想的かといえば、逆にゾンビです。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 右肩上がりの高度成長が永遠に続く、と思っていた妄想の時代には、経営とは「場外ホームラン型」をめざすべきものでした。

 ところが、ダイエーも消えてしまいましたし、松下ですら、「今は辛うじて場外」へ球が飛んでいるだけです。そうするとこれからは「右肩下がり」が既にわかっているわけですから

「どういう線形・グラフで球を打つか」

をある程度、経営者はイメージしておくのがベターかと思います。

「いやいや永遠にいったるで〜!」

とか言ってしまうボスは、ヤバいということでもあるわけですね(苦笑)

 現実問題として「永遠にいったるで〜」という事業形態は、どかんと広がってドカンとポシャります。恐ろしいことです。

 あとで振り返ってみると「ああ、特大の内野フライだったわ」というオチですね。


 私は個人のスタートアップであれば「ボテボテの内野安打」を目指す、なんてのがいいんじゃないかな?と思います。

 地元の小さなパン屋でも、長年続いて、ちょっとアンテナショップを数年出したり、ギフトっぽいのをネットで打ったりしながら、家族が食っていければ万事OK、という生き方もありなんじゃないかな?と思っています。


 ご参考に。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?