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【資本主義をチートする10】給料を2倍に増やすいちばん簡単な方法

 資本主義の荒波を乗り越えるために、その仕組みを理解しながらチート術のように裏技、表技を駆使して生きてゆくための連載も、今回で10回目となり、一区切りになった。

 そもそも資本主義とは、「シンプル」な仕組みで、それほど難しくないものなのだが、厳密に本質的な意味で僕たち私たちは、その「システム」を理解していないものだから翻弄されてしまうだということを、この連載では少しずつ明らかにしていっている途中である。

 わたくしヨシイエは、普段から、元のブログのほうで、経済やらビジネスやら人生について「ああでもない」「こうでもない」といろいろ考えてはヨタ話を垂れ流しているのだが、そちらで飛び抜けてアクセスを集めている記事がある。

(↑ふだんのブログはこちら)

 その記事は、今回集中的に取り上げている「資本主義のしくみ」にも関係するもので、「資本主義を利用して儲ける」ためには避けて通れないために、今回改めて説明したいと思う。ズバリ、

あなたの給料を2倍にするための秘策

である。

 そしてこのネタは、わたくしヨシイエファンであれば何度か目にしているかもしれないので、今回はそれに付随した新ネタも放り込みながらまとめてみよう。


 さて、まずはさっそく「給料を2倍にしたい」と思うので、そのためにはどうしたらいいか想像してほしい。普通に考えれば、「今の2倍働けば、給料は2倍になるだろう」と誰もが思うはずだが、それでは僕たち私たちは過労死して死んでしまう。ダブルワークで、別の仕事をするという手もあるが、それもマズいという話は、すでにこの連載の初期のほうでしたはずである。指が飛んでしまう。


 あるいは、あなたが何かの販売店で働いているとすれば、「今の商品の値段が2倍にできればなあ!」と真っ先に考えるはずだ。1000円の化粧品が2000円で売れたら、すべての商品がそうなれば給料は2倍になりそうな予感がするだろう。

 しかし、結論から言えば、2倍働いたり、2倍の値段にしたりする必要は全然ない。ふだんは小さな企業の取締役として、お金の動きをつぶさに見ているヨシイエからすれば、そんなことをしなくてもレバレッジを効かせる方法は別にあるのだ。

 ヨシイエが働いている会社は、卸売業である。卸売業は、小売業でも同じことだが商品をどこかからか仕入れて顧客に販売している。こうした「利益を乗せて販売する業態」の場合、きわめて教科書的で、オーソドックスな利益の乗せ方は2割である。

80円で仕入れて、100円で売る

というのが、教科書どおりのすべての基本だ。 

 ここで、これまた教科書どおりのような100円でモノを売る100円ショップのようなお店を想像してほしい。電化製品を僕らが買うとき、ざっくり考えて「この製品の仕入れ値は8掛け(80%)くらいだろうなあ」とイメージするように、この100円ショップでも、仕入れ値を平均してゆくと、おそらく80円に近づいてゆくだろう。

(ちなみに現実の100円ショップの利益率は30%程度だと推定されているから、平均仕入額は70円前後というのがリアルな数字らしい)

 そうすると、100円で販売しても、仕入先に80円支払うわけなので、残りは20円である。20円×1万個売れば20万円、10万個で200万円、1000万個で2000万円という単純な掛け算で、それ以外のお金はすべて仕入先とメーカーに取られてしまうわけだ。


 一個あたり20円が利益の源である。そして、そこから「会社の経費やら」「従業員の諸経費やら」「半分の厚生年金保険料」やらを支払っているわけなので、従業員に対して還元されている分は、ざっくり言って10円分ぐらいだと考えられる。

 20円の利益があり、10円は給料+福利厚生費で、残りの10円が会社の経費と社長の給与、ということになるとしよう。

 そうすると「会社経費は同じ」「社長の給料も据え置き」だとすると、あといくらあれば

従業員の給料を2倍にできる

だろうか。こんなのアホでもわかる簡単な計算だ。

そう、あと10円あればいいのである。


 100円でふだん売っているものを110円にするだけで、従業員の給料は2倍にできる。たったこれだけのことができていないのが、現代の日本社会なのだが、このことを知っていると

「日本は世界に比べて、やたら生産性が低い」

と言われていることの理由が、すぐにピンとくるはずだ。


 生産性とは、厳密には同じ労力とコストを使った場合に、「生み出した価値がどれだけ大きいか」を計ったものだが、すごく荒っぽく考えれば

「同じ時間働いて、同じ内容で働いて、どれだけお金を生み出したか」

ということを意味する。


 ということは、たとえば100円ショップで売っているものが、スーパーで98円で売られていたり、激安の場合には78円で売られていたりすることがあるが、「商品も同じで、かかっている労力も同じ」だとすれば、スーパーのほうは、生産性が低いのだ。ぶっちゃけ。価値創造も出来ていないし、多少の販売効率をいじくったところで、ダイソーとスーパーにそれほど大きく異なる「陳列法」やら「工夫の違い」があるとは思えない。そんなものは微々たる差なので、結局は

「仕入れ値を下げさせているか、人件費で圧縮しているか」

の2つくらいしか作戦はないはずなのである。あ、もうひとつ可能性がある。それは

「バカなので価格を下げているから」

かもしれない。


 2020年の昨今になって、ニュース等でもようやく言われるようになったが、実は日本だけ世界に比べて「おなじ商品でも価格を上げることができていない」という現象が起きている。よくギャグで言われるネタに、

「スイスのマクドは、ビックマックが2000円」

という話があるが、それどころか、今では

「ハワイの丸亀製麺の従業員給料は月40万円」

というネタも先日バズったところである。

 よくよく考えてみれば、インバウンドとやらで、日本中にアジアの人が訪れるようになったのは、「日本の物価がアホみたいに安い」からである。昔のアジアのように。それほどまでに、日本人は「自分たちの仕事に対しての給料を上げることができていない」のである。

 たった100円から110円に、商品価格を上げられないから、給料も上がらないのだ。アホではなかろうか。

(ちなみに、ヨシイエの会社のモットー(裏設定)は貰えるものは、一円でもより”適た正か価く格”、である。そして、給料を上げるのだ。)


 さて、ここで、世界の資本主義社会を相手にするべく、世界企業の時価総額ランキングをみながら、とても興味深い事実をお知らせしよう。僕らは、資本主義の荒波を越えてゆくのだが、身のまわりだけでなく、セカイにも目を配りたい。そうすれば、ものすごいことが見えてくる。

 いろいろなところで、似たような記事が書かれているが、株式などを元にした「世界の企業、時価総額ランキング」の一覧が↑に載っている。


 この記事に載っているような一覧表を見て、ふつうの記者は次のように書く。

「平成元年のセカイの時価総額ランキングでは、50社中32社も入っていたが、いまではトヨタ1社だけだ」

と。しかしこれはバブルを懐かしんでいるだけで、物事の本質を捉えているとは言えない。資本主義チートのためには、本質をつかまなくてはならない。

 見るべきところは、「トヨタ同士の変化」と、「海外企業の上昇率」である。

 トヨタ同士を比較しよう。平成元年に「541.7億ドル」だったものが、2018年には「1939.8億ドル」に上昇している。約3.6倍に価値が上昇していることがわかる。

 ということは、ベタに考えて、トヨタの社員の給料は3倍になっていてもいいということだ。(ぶっちゃけの話をしよう、トヨタの車は僕が社会人になりたてのころよりかなり新車価格が上がっている。僕はRAV4を150万程度で買ったが、今は150万ではRAV4は買えない。ダイハツミラの80万くらいからあった軽自動車も、軽く120万くらいに上がっている。なぜ車は金額が高くなっているかというと、グローバル相手に作っているので、国内の給料が低かろうが、日本人の意識がカローラで止まっていようが、知ったこっちゃないからだ。自動車メーカーの目線はスイスのマクドやハワイのように海外を向いているから高くなったのだ)


 さて、トヨタはギリギリ頑張っているが、それ以外は軒並みアウトで日本の企業はみなズダボロなのかと言えば、それもちょっと違う。海外企業同士、おなじ会社でどのように時価総額が変わっているかを見れば、本質がわかる。たとえば

「エクソン 549.2億ドル → 3446.5億ドル(6倍)」

「コカコーラ 215億ドル → 1925.8億ドル(9倍)」

「AT&T 381.2億ドル → 1911.9億ドル(5倍)」

というデータだ。大航海時代や植民地時代じゃあるまいし、コカコーラの販売網が、1989年から2018年にかけて6倍になったとは思えない。あるいは世界の企業が、それぞれ数倍になるほど「支配地域を増やした」「出荷量を増やした」わけではない。

 もちろん、販売品種が増えたり、取引先が増えたりもしただろうが、本質はもっとベタなところにある。それは、ギャグをまじえて言うならば、

「日本ではコーラが1本150円のままだが、世界では1080円(9倍)になっているのだ」(←おおげさなたとえです)

という感じだと思えば、あながち外してはいない。


 と思ったら、さすがのスイスは800円だった。笑うしかない。いい線いってるじゃないか。


 こうしたエビデンス(証拠)を積み重ねてゆくと、100円の商品を110円にして、従業員の給料を2倍にしてでも、コーラを1000円にするべきだ、とあなたも思いはじめることだろう。

 コーラが1000円でもいい、僕たち私たちの20万の給料が毎月180万円(9倍)になるのだったら!と思わないだろうか?

 実際、中国人にとってはそういうことが起きているから、あんな風に怒涛のごとく海外旅行(つまり日本へ)に来れるのである。そりゃあ、毎月40万とか180万とか貰えるなら、海外だってすぐに行くよね。


 今回のまとめは、「資本主義社会はすでにグローバル化しており、取り残されているのは日本人だけ」ということである。

 そして「給料を上げるなんて、実はたいしたことではない。みんながケチで一円でも安く!なんてことをほざいているからみんな貧しいのだ」ということ。

 なおかつ、「ウイルス疫病で、世界経済がストップした今、モノ不足は国内でも価格改訂のチャンスだ!」と言える。仕事がなくなった弱者の人には痛みをともなうが、実は「人手不足、モノ不足、流通のストップという渇望は価値や価格を上げるチャンスでもある」という小さな希望を持とう。

 この世界的トラブルが収束したら、世界はもっと物資高へと移行するだろう。乗り遅れてはいけない。



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