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戦慄の資本主義チート発生。「東京ミネルヴァ事件」はガクブル必至。


  つい先日、大手弁護士事務所であった「東京ミネルヴァ法律事務所」が51億という巨額の負債で破産申し立てをしたことには、一介のおっさんサラリーマンであるヨシイエもびっくり仰天してしまったところである。

 第一報ではほとんどその内容が報道されておらず、


 こりゃあ、かなりキナくせえぞ、とだけ思っていたのだが、6月26日の今日になって、いよいよ全貌が明らかになってきた。

 そもそもヨシイエさんは、代表作(笑)「営業刑事は眠らない」でも書いたとおり、会社の業務で支払い督促やら裁判やらを専門に扱う仕事をしてきた。

 一人で裁判所に出向いて、金を払わない顧客と丁々発止のやり取りを繰り広げる、まるで「弁護士サラリーマン」のような動きをしてきた人間である。なので、裁判所の現場でどんなことが起きているか、弁護士とやらがどういう人種かについても、そこらへんの人よりかはちょびっとだけ知っている。

 変な話、借金を返さずに生活を立て直す方法ぐらいは、かるーく使いこなせる自信もある。そのあたりの話はこのnoteの連載でも書いたことがある。


 さて、ミネルヴァさんのお話である。破産というのは現代日本で公的に認められた「復活の呪文」であるから、負債を抱えたあなたやわたしが、いよいよ借金を返せなくなればその呪文を使うことはけして間違いではない。

 国家が大手を振って、「では、すべてをチャラにして、やり直してよい」と言ってくれるのだから、こんなに素晴らしい制度はない。もちろん、負債のすべてが免責されるかどうかは、裁判所の判断とあなたの普段の行いによるのだが。


 しかしまあ、普通の人ならそれでいいのだが、弁護士の場合はちょっと話が違う。法律事務所を運営する「法人」においては、自分も出資者である弁護士が組合をつくって活動するようなものなので、無限責任なのだ。

 つまり、めちゃくちゃ簡単に言えば、ふつうの企業なら、「私の責任範囲はここまで」と逃げられる余地があるのに対して、弁護士法人の場合は「逃げられない」のである。

 ということは、破産をしようがなにしようが、ざっくりくりくり言えば、「債務がチャラにならない」のだ。

 だから弁護士法人が51億もの負債を抱えて破産するということそのものが

めちゃくちゃ奇妙だったのである。気持ち悪い、そら恐ろしい何かを感じていたわけだ。


 さて、その裏がズバリ出てきた。ダイヤモンドオンラインさんのすばらしい記事なのでぜひ読んでほしい。


https://diamond.jp/articles/-/241503

 

 何が起きていたのか。これまたざっくりいえば

◆ 消費者金融の過払い金取り戻し訴訟を山ほど扱っていた

◆ その取り戻したお金が、依頼者に戻らず「支払い先」に流れていた

◆ 支払い先とは、「過払い訴訟しましょう!」のCMを垂れ流す広告代理店だった

◆ その広告代理店の正体は、武富士の元社員だった

◆ 弁護士事務所に派遣されるスタッフ、事務員たちも、そこから皆送りこまれていた

◆ 取り戻し訴訟で取り返したお金は、すべて広告代理店に支払われる金の流れだった

ということである。

 恐ろしすぎる!


 このお話、何がいちばん資本主義チートなのかというと、

◇ 余剰のお金がどこにあるのか、どの顧客が過払いに該当するのかを知っている者が広告代理店をやった

という点だ。そして

◇ そのお金を根こそぎ横取りするスキーム(システム)を作り上げた

という点である。なおかつ

◇ それを法律事務所という専門家をいわば「あざむく」やり方で実行した

という点もすごい。こいつはヤバい香りがするぜ。


 その昔、西部劇なんかでは「列車強盗」なんてのがあって、現金輸送している列車をまるごと横取りしてしまうような荒くれ者の話が出てきたりするが、まさに現代においてそれをやられたような感もある。列車強盗の一味が元保安官みたいな。

 あるいは、武富士をはじめとした過払い金で儲けた消費者金融業者があって、その悪い「越後屋」が溜め込んだお金を、ねずみ小僧が蔵からいっさいがっさい横取りして、庶民には返さずパクってしまうような凄みもある。

 なおかつ、ねずみ小僧の正体は「越後屋の元手代」であり、世を忍ぶ仮の姿が奉行所同心みたいな感じ??

 まるで、現代版必殺仕事人みたいじゃないか!


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 というわけで、今回の事件。資本主義チート法としては、かなりの大仕掛けではあるが、とてもよい教材になるので、しっかり今後出てくる続報に注目しておきたい。



<今日のまとめ>

 お金がどこにあるのか。誰がお金を持っているのか。それを知っているヤツがいちばん強い。

 そして、そのお金をどうやって横取りするのか。それを思いつくヤツはさらに恐ろしい。


 世の中には、ウシジマくんより恐ろしいことがあるんだぜ。


P.S. こんどまたテレビに出るよ~、たぶん。でも、このご時世だからリモートなんだって(笑) 自宅からじゃあ、メディアに出た感が薄いじゃん。




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