sonny boy 第5話感想と推察「能力の追求は問題解決の手段にはならない」

※見た前提で書いていきますのであしからず。

概略

序盤は4話の続きからではなくいきなり昔のパックマン的な画面からスタート。

話を追っていくと、先生が出てきたけれども、だからといって今までの日常から急に180度転換する様子なことになっていないようだ。

ただ、アキ先生は少しずつ生徒を自分の目標に向かって誘導しようとしていくことから、クラスに対して静かな侵略が進んでいる。

その一方で、生徒会で事情を知ってそうな彼も何か準備していて、その裏では謎の声が長良に「まだ間に合う」と助言するという三すくみの構造が一気に明確になっていく重要な回となっている。

5話のポイントピックアップ

・世界を移動しながら攻略する→超能力を持ったアイテムをゲット

それが帰るきっかけになったらいいな=現状だと帰る手口が見つからない

・アキ先生は本物?偽物?

女子アナみたいな喋り方からのギャップ

騙してるのか、中身が違うのか。

・アキ先生の証言

「学校にいたときから能力が使えた」
「誰かが連れてきたんだろうが」

先生が来た方法・理由→「神が必要とされた」

・生徒だけで話す

予兆
ロッカー三億円・校庭オーロラ

「あいつ黙ってんじゃね。」
→帰還派の流れが一気に主人公叩きに

・1人でいる朝凪に近寄るアキ先生

穴に隕石が落ちる→すると何かが返ってくる
穴があることでこの世界が保たれている
→そこにいる朝風(以下「重力マン」)
→先生はベタ褒めして籠絡

・みんなで長良のとこに訪問
→話し合い。感情論に訴える。誰かのせい。

→わちゃわちゃしてきたところで、生徒会の人が

「僕たち頑張ってきたじゃないか」

そうして綺麗事がみんなを下向かせる。そしてみんな出ていこうとする。

エースいわく「みんなうんざりだ」

反論しづらい綺麗事が横行すると、みんな何も言えないまま不満がたまる。

「今の苦労がああでこうで、人との繋がりがどうたらこうたら」といった現状のストレスフルな状況とはかけ離れたようなコピーが跋扈する今の社会に通ずるなあとつくづく感じる。

それに対して生徒会の子「アキ先生のいうことなら聞くのかい」
「神の名を語りながら救いがない。彼女は救世主じゃない。」

ここで、反論されたので一理ある反論を返し、能力で恐怖イメージを見せつけるも

エースいわく「お前の子供だましじゃ誰も救えない。」

何回も能力でイメージを見せられているので、抵抗がついているのと現状の体制では答えが出せないことは分かりきっているからこそ、怪しくてもまだ試していない可能性に託すしか無いクラスの人達(大半が無能力者)。

能力がないと選択肢すら与えられない。なびくしかないということなのか。

中学生(高校生にしか見えないが設定ではそうなっている)だから考える能力がないとも言えそうだが、高校生・大学生・大人・老人だったら彼らと違う行動が取れただろうか?問題の解決が根本的に能力だけしかないという状況の中で、実世界の知識と経験だけでどうにかなっただろうか?

結局のところ、どのような年齢層であっても能力次第で立ち位置が決まってしまうのではないだろうか。

アキ先生は大人としてこの世界に入ってくるが、そもそも正体(元の世界の人なのか?実は容姿を似せた偽物なのか?)や目的もよくわからないので、純粋に巻き込まれた人というところからは外れる。また、生徒を籠絡する際も胸というこれまた能力による差異がハッキリする部分で生徒を落としにかかっていることからも能力というものがひたすら強調されている。

つまり、この超能力で選択肢・所属グループが決まってしまうことは、リアルでも選択肢・活躍度合いが能力(努力できる、センス、フィジカル、コミュニケーション)=遺伝子=自分では決められない要素によって大体決まるということに親しいように思える。つまり、現実問題のあれこれを超能力という一つのパッケージに収めることによって、現実問題を簡略化もとい捉えやすくしているという風にも見える。

・海辺での長良と希

魚を釣ろうとする長良

「才能ないんだ」

それに対し希

「才能関係ないよコレ」

長良「そう。関係ないんだ。」

長良「どこにいてもどんな力を持っていても結局同じなんだ。生まれつきそういう人生なんだ」

教室で詰められるという立ち位置に対し、不貞腐れてしまう。

希「そうやってまた諦めるんだ」

世界を跨ぐ能力と道を示すコンパスの能力

それはまるで、世界を跨いでは落ち込む長良に対して新たな道を示す希の関係を端的に表しているようにも思えた。

「人って生まれただけじゃ価値なんてないんだよ。その意味を探さなくちゃいけない。」

予め決まってるなんて他人任せで面白くない。なんだろうか、能力がある人ほど能力に拘ってなくて、逆に無い人ほどそれに対する憎悪があるように描かれているなあと感じる。能力があっても次の絶望とか悩みがやってくるってことなんですかねえ。能力無い人にとって「能力があれば!」という思いは救いになっているのかもしれない。


・教室にて生徒会

「これからどうすんだ」
「準備は出来ている。わかっていることなんだ」

→生徒会の彼は声が聞こえていて、先の展開が読めている的なセリフがあった。ただ、アキ先生が来ることは読めていたのだろうか?

だとすると、今後アキ先生が何かしようとすることも分かっていて見過ごしているのか、それともまだ分からないけど計画実行に問題は無いということなのか、ただ能力がイメージ共有しかない彼がこの状況で主導権を握るとなると、アキ先生から生徒の主導権を握り返すということになるから、何かアキ先生が失策に陥る用意をしているということなのかと推測する。

・長良がアキ先生と生徒に詰められる

アキ先生が長良の能力をエスケープと呼称し
「逃げるために有るんだ」
そして生徒誘導
エース「いつまでこいつの逃避につきあわされるんだ」

ゴタゴタ無能力者共からあれこれ言われて
「帰れなくても良い、お前らなんかどうでもいい。」
とつぶやいてしまう。

そしてすったもんだの末に長良逃亡

→後のシーンからアキ先生は生徒に残された希望は重力マンであるという風に誘導するために長良や希の能力に対してデタラメを言った風に見えるが、もしかしたらアキ先生が本当は長良や希の能力の素性を知らない上でデマカセを言って誘導した可能性もある。

・ラジダニと瑞穂の会話

瑞穂が神様に「君がこの漂流を引き起こしたんだ」と言われていたことを告げる。

瑞穂の現実世界のモノをこちらへ持ってこれる能力でどうしてクラス全員を持ってこれたのかは不明。漂流させられたとしても動機がないことになっている(無意識の中に何かあるとか)。

→ここで生徒以外で何か事情を知ってそうなのは
・生徒会の彼に付いている声(大川透ボイス)
・アキ先生(現状はどこまで知ってるか不明)
・そして長良に発せられた声(津田健次郎ボイス)

おそらく津田健次郎ボイスか大川透ボイスのどちらかが瑞穂に告げたのだろう。

ただ今回の津田健次郎ボイスでは

「立つんだ」「まだ間に合う」

とだけ言っていたので、神様的ポジションからは少し遠いのかな?となると大川ボイスとなる。

・アキ先生は生徒をそそのかす

帰還の希望として重力マンを推す。
「この世界を守る守護者」

アキ先生的には、この異世界は守るべき対象としてということなのか。つまり、長良の「世界を作る能力」は裏を返せば無造作に乱造して世界を破壊しかねない能力であるから、長良を追い詰めて重力マンを立てるようにしているのかもしれない。

更に言えば、生徒会の彼もまた元の世界には帰れないと主張する側であるから、アキ先生と生徒会の彼に付く声の主はグルで、異世界側の人間あるいは肯定する派閥で、そのために生徒の中から能力を利用しようと画策しているのではと考えられる。


重力マンの視界がぼやけて、生徒側からみると重力マンが見えずに空間が黒く歪んでいる

→2話ぐらいで出てきた燃えた島へと脱出。あのオレンジ背景の世界はその世界の中に閉じ込められていたのか、それとも時空を歪めてくっつけたのか、能力がどこまで使えるかは不明。ただ、空間同士を移動できるとするならばすぐにでも帰られるはずである。つまり元の世界への手がかりが必要であることから、重力マンも希を必要とする展開になるのではないかと予想。そこで、今までの長良と希と重力マンの微妙な三角関係の描写が生きてくるのかも。

・どっか逃げた長良を見つけた3人(ラジダニ、希、瑞穂)

不貞腐れモードの長良
「みんながそれで納得できるならそれでいいだろ」
ここで瑞穂が大説教
「バカにすんな。そうやって周りをバカにして。自分だけ可愛そうみたいな顔してよお、おおん。ふざけんな。本当から逃げて自分からごまかすんだ。そうやってあいつらと同じバカになるんだ」
それに対し長良
「うるさいうるさい」
そりゃ0年代ヒロインのセリフなんじゃ。まさか2021年になって聞くとは思ってなかったんじゃ。
「そういうところがダメなんだ長良は。猫じゃないんだ、急にいなくなるなよ…」
泣き声の瑞穂。最高だ。このぶつかり合う感じがあるから、個人的には長良はラスト、希よりも瑞穂とくっ付いてほしいと思いますわ。

・長良の能力の再認識

ラジダニいわく「もともといた島によく似てる。僕らがいた島だ。2つそんざいすることになる。大きな勘違いをしていたのかもしれない。」

そうして長良の能力は「世界を作る」だということを発見。

→説明をまとめると焼けた島が元に戻ったのは、長良が能力でもう一回コピペして島を作ったということではないか。

昔のRPGとかでバラバラな場所をひとつのマップにまとめて描いている(だからバグ技を使えば、ショートカットできる)みたいな感じなのかなあとか妄想。

→ラジダニ説だと湖に落ちて見たゴリラがいた現実世界やモンキーボールの球場、暗幕世界は長良が無意識に作ったということになる。

となれば、この世界をぐるぐる回っているだけで元の世界にはどうあがいても戻れそうにないってことだったりするかな?

→そして、能力がよくわかったら、コンパスが近くなった。
ただ気づいたのだが、希の見てる景色が視聴者や周りのキャラには全く共有されてない。
→それは、ある話数の最後にドカンと希の見えてる景色が見えるという演出になるのでしょうね。ただ、実はとんでもない光景(普通はドン引きする)なのにそれを希望のように語る希が怖いみたいなサイコな展開になったりしないかとか捏ね繰り回して妄想してます。

・スケボーが穴に落ちて重力マンの独白
「ひどい世界だったんだ。誰も俺に優しくなかったんだ。」

アキ先生「世界を変えたいか。私と一緒にいくか?」

「うん」

→最強能力持ちだけど孤独。これは長良も同じであったのだが、結局長良は5話で3人に見つけてもらえたのだが、重力マンはその4人との間に空白(見てもらえないとか相手にされてないといった空虚さ)を感じざるを得なかったのだろう。そうしてその隙間をアキ先生に絡め取られようとしている。

承認なんかハナから考えていない長良と、実は承認を求めている重力マン。

この感覚の違いがさらなる溝を生んでいる。それは重力マンが本当は承認を求めているが、それを口に出せない自己完結しようとするが故にどんどん周りとの関係が希薄になっていく状況を生み出して、自分の世界・ハコの中に閉じこもっていく。そして、先生(大人)・クラスのみんな・世界の変革といった肥大化していく承認欲求・自意識が根本的な自分の中の問題の解決をどんどん遠ざけていく。

つまるところ、根本は誰かに甘えられるか縋れるかということ、自分をさらけ出せるかということなのだが、なまじ能力があるか或いは、自己解決能力が高いとなるとそれは恥ずかしいとか許せないという思いが遮って出来なくなっていく。

sonny boyでは、この「能力のある人ない人」の問題や苦悩を両方の側から描き出しているのだと思う。

能力なき場合は取れる選択肢が狭まったりして自由がなくて、能力がある場合でも承認欲や自己肯定感の欠如といった問題が湧いて起こる。つまり、そういった問題を解決する手段は能力の追求だけでは解決を得ないことが分かる。

そうなるとやはり今後の展開としては、長良と重力マンが希を取り合って戦うという展開は必須になるだろうし、物語後半での舞台はは現実世界に移行してそこで戦いというよりも能力をどう社会システムに組み込むかという話をするのではないかと想像してみたりする。

ただ、まだ5話(5話でこの展開の量と速さは凄まじい)なので、物語もどう転ぶか分からないことが多いが最後はぜひとも銀杏BOYZの「少年少女」が爽やかに流れるラストになるのを希望する。

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