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PfMP®︎資格について

先日、プロジェクト・ポートフォリオマネジメントについて記事を投稿させて頂きましたが、その記事の中でも触れさせて頂きました、プロジェクトマネジメント協会(Project Management Institute)が認定している、Portfolio Management Professional (PfMP)®︎という国際資格についてご紹介します。


PfMP®︎資格の位置づけ

近年、企業・組織では戦略を策定し、経営計画を達成するために多くのプロジェクトを立ち上げて実行している状況で、プロジェクトの成果が戦略(経営計画等)の達成に貢献することが求められます。つまり戦略に整合したプロジェクトを実行することが重要となります。

こういった状況下で、海外では、プロジェクトポートフォリオマネジメントの取り組みが進んでおり、これらをマネジメントする上級管理職(ポートフォリオマネージャー、Enterprise PMOリーダー、役員:Chief Project Officerなど)が取得する資格としてPfMP®︎が位置付けられています。
また、経営関連やPMOのコンサルタントの方が保持しておいた方が良い資格ではと思います。

PfMP®︎の位置づけ
Te Wu. Supercharge Your Career in Project Management, from Entry Level to Chief Project Officer. December 9th, 2020.を参考に記載

PfMP®︎資格保持者の数

全世界におけるPfMP®︎保持者は1,161名(2021年12月末時点)、日本においては2021年12月末には10名となっております。

出典:PMI JAPAN CHAPTER Annual Report 2021 (Page 19)

私の方で、世界各国のPfMP®︎保持者数の直近の状況を調査しました。
(PMIのCertification Registryより調査。2022年10月23日現在)
・アメリカ      391名
・カナダ         81名
・サウジアラビア   195名
・インド                  134名
・中国                       38名
・シンガポール         17名
・日本                     12名
残念ながら、日本は2022年に若干増えましたが、世界に遅れをとっている状況です。

PfMP®︎資格申請・試験について

PMIのホームページや、PfMP®︎試験のハンドブックに記載されている内容を要約してご紹介します。
詳細は、Portfolio Management Professional (PfMP)® Handbookに記載されていますのでご参照下さい。

資格取得の対象者

エグゼクティブ、上級レベルのマネージャー、PMOリーダーなど、組織の戦略に沿ったプロジェクトやプログラムを管理し、プロジェクトの優先順位づけなどを検討する方など。

受験資格

大学卒の場合、96ヶ月以上のビジネス経験(過去15年以内)と48ヶ月以上のポートフォリオマネジメント経験(高校卒の場合、ポートフォリオマネジメント経験は84ヶ月以上必要)

受験範囲(準備)

The Standard for Portfolio Management – Third Edition (英語版)を熟読 (注)
PfMP Exam Content Outline を熟読
・市販されているPfMP®︎問題集(洋書でAmazonなどから購入可能)を繰り返し解く
 (注) "The Standard for Portfolio Management"の最新版はFourth Editionですが、PfMP®︎試験は、Third Editionの内容から出題されます。(2022年10月現在)

受験費用

PMIメンバー:$800、PMIメンバー以外:$1,000

資格取得までの流れ(①→②→③)

次の①、②、③の3つの関門があります。

① 申請書の提出

申請書を提出し、約10日間でPMIが申請内容を審査。申請書が受理されれば受験費用を支払い、②のパネルレビューにすすむ。
稀に、申請内容に偽りがないか等のauditに選ばれるときがあり、その場合は90日以内に要求されたエビデンス資料等を提出必要。

申請書に記載する主な内容は以下。
1) ポートフォリオマネジメントの経験
 自ら実施したポートフォリオマネジメントの経験を記述
(英文で約500words以内/ポートフォリオ)。
大卒の場合は48ヶ月以上のポートフォリオマネジメント経験を記載するが、48ヶ月に満たない場合は48ヶ月以上になるように複数のポートフォリオマネジメントの経験を記載する。
例)ABCポートフォリオ(36ヶ月)の経験と、XYZポートフォリオ(12ヶ月)の経験

2) ポートフォリオマネジメントの5つの領域における経験
 5つの領域ごとに決められた質問に応えるかたちで自らの経験を記述する。
5つの領域とは、Strategic Alignment, Governance, Portfolio Performance, Portfolio Risk Management, and Communication Managementで、各領域ごとに英文で300〜500 wordsで記載する

PMIが申請書を受理するかどうかは、上記1)の内容で決まる。ポートフォリオマネジメント経験が乏しい、または記載が不十分と判断されれば、受理されず差し戻される。その場合は再提出の機会が与えられる。

② パネルレビュー

パネルレビューとは、上記の① 2)の内容を、PMIの経験豊富な特定分野の専門家(SME)が決められた基準をもとに審査するもので、申請書が受理されてから約60日の間に審査が行われ、結果の通知がある。合格であれば、次の③複数選択試験の受験資格を得る。

不合格であればPMIからメールで連絡があり再提出の意思などを確認される。

③ 複数選択試験

パネルレビューを合格した日から1年間が、複数選択試験を受験できる期間。
複数選択試験が不合格になったとしても、1年の間で、最大で3回まで受験できる。ただし2回目以降は追加の受験費用が必要。
(再受験費:PMIメンバーは$600、PMIメンバー以外は$800)

複数選択試験は、170問(4時間)の試験で、170問の内20問は採点されない問題が含まれる。問題の言語は英語。

出題範囲
ポートフォリオマネジメントの5つの領域から出題される。
その出題比率は以下の通り。
・Strategic Alignment 25%
・Governance 20%
・Portfolio Performance 25%
・Portfolio Risk Management 15%
・Communication management 15%

合格の基準(正答率など)は公表されていない。

受験形式
この複数選択試験は、国内のテストセンターで受験する形式。
(Pearson VUEのテストセンターでCBT試験形式:2022年10月時点)
4時間のテストで途中トイレに行くなど離席は可能だが、テスト時間は止まらないので注意が必要。
170問を解き終わり、試験を終えると、試験結果(合否)が画面に表示される
(合格の場合は、Congratulations!と表示される)

受験のサポートについて

別の記事で、PgMP®︎資格(プログラムマネジメントプロフェッショナル)の状況もお伝えしましたが、PgMP®︎と同様、海外では、PfMP®︎資格取得をサポートする、教育機関やベンダーが存在しており、申請書記載のサポートや試験対策などを有料で提供しています。PMIが認定するATP (Authorized Training Partner)もPfMP®︎資格試験の準備コースなどを提供しています。

日本では残念ながら現時点でこのようなサポートを実施しているベンダーはありません。直接、海外のATPのコースに申し込んで、サポートを受けることが合格の近道かもしれません。

ただ、PMI日本支部のポートフォリオ・プログラム研究会では、日本におけるPgMP®︎やPfMP®︎の資格保持者を増やす活動を実施しており、セミナー等を年に数回開催しています。
既に終了してしまいましたが、2022年10月21日にPMI日本支部主催のPMI標準セミナー「ポートフォリオマネジメントセミナー」があり、講師として登壇させて頂きました。

今後も、このようなセミナーが定期的に開催されると思いますので、PfMP®︎資格にご興味のある方はPMI日本支部のホームページを是非チェックして下さい。

その他所感(PMP®︎試験との相違など)

PMP®︎試験との主な相違は、言語が英語ということ、申請書でポートフォリオマネジメント経験を細かく記載すること、パネルレビューがあることなどでしょうか。

問題の多くは、ポートフォリオマネジメント標準やプロジェクトマネジメントやプログラムマネジメント関連のことから出題されますので、英語といってもそれなりの期間をかけて準備をすれば、問題にも慣れてきます。

今後、追って私の体験談(申請から合格までに要した期間、受験準備、どんな問題集を実施したかなど具体的な経験)を投稿したいと思いますので、興味を持たれた方は是非ご覧ください。

追記:PfMP®︎資格の試験問題対策やその他の最新情報について、ご興味のある方は以下のサイトで配信しております。是非ご覧ください。

経験を積まれているプロジェクトマネジャーの方や上級管理職の方、経営やPMO関連のコンサルタントの方など、このPfMP®︎の国際資格を取得し、ますます活躍されることを期待いたします。

以上、最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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