プロジェクトマネージャーのサラリー (PMIのサーベイ結果)
2023年11月に公開された、Project Management Institute (PMI)が実施したプロジェクトマネージャーなどのサラリーに関するサーベイ結果をご紹介します。
プロジェクトマネジメントの役割・キャリアについて
まず、PMIが実施したサラリーの調査結果をご紹介する前に、海外ではプロジェクトマネージャーだけではなく、その上位のプログラムマネージャーやポートフォリオマネージャーなどの役割が明確になっております。その概念をご覧ください。
拙著「プロジェクト・ポートフォリオマネジメントの教科書」https://amzn.asia/d/h5X77d3 の第6章で、プロジェクトマネージャー等のキャリア形成の例をご紹介しております。
海外では、以下の図の通り、ポートフォリオマネージャー、プログラムマネージャー、プロジェクトマネージャーなどの役割が明確になっております。
今回、ご紹介するPMIのサラリー調査結果においても、上記の各役割ごとのサラリー額が記載されています。
役割ごとのサラリー額(PMIのサーベイ結果より)
Project Management Institute (PMI)が実施したプロジェクトマネージャーなどのサラリーの調査結果です。この調査は、世界21ヵ国の2万人以上のプロジェクトマネジメント実践者(PMなど)が対象となっており、日本人も866名が含まれています。主要国の各役割ごとのサラリー額は次の表の通りです。
上記額は給与の中央値:各国との通常の為替レートを使用して米ドルに換算した額 (2023年4月時点)で、日本の場合は、136.289JPY/USD で換算した米ドル額(USD)です。
また、Project Managerの役割区分が3つに分かれていますが、各役割の概要は以下の通りです。
Project Manager Ⅲ:大規模で優先度の高いプロジェクトを担当(かなりのリソースが必要で高レベルの機能統合プロジェクトなど)
Project Manager Ⅱ:複数のプロジェクトまたは一つの大規模プロジェクトを担当
Project Manager Ⅰ:小規模プロジェクトまたは大規模プロジェクトの一部フェーズを担当
サーベイ結果に対する所感
USは日本の額の1.5倍以上あり、中東やアジアのUAE, Australia, Singaporeも、日本を上回っているという結果です。
日本の場合は、ポートフォリオマネージャーやプログラムマネージャーの役割が確立できていないと認識しており、このサラリーの調査結果でも、Project Manager Ⅲ, Program Manager, Portfolio Manager, Directorの額は、ほぼ同額となっており、明確に分類ができていないことが結果に現れています。
あくまでも個人的な見解ですが、実際には日本においても、Portfolio ManagerやProgram Managerと同じような役割をこなしている方も多く存在していると感じています。
"Project Portfolio Management"や"Program Management"を日本に普及させ、海外と同様にPortfolio ManagerやProgram Managerの役割を確立させ、企業はその対価を支払うこと。これらは、日本企業の競争力向上につながることだと思っております。
日本における普及活動の一環で、「プロジェクト・ポートフォリオマネジメントの教科書」を2023年9月に出版しました。世界標準の概要やプロジェクト型組織、人材育成などを解説しておりますのでご興味のある方は是非ご参考にしていただければ幸いです。
サーベイ結果の参照先
サーベイの結果は、PMIのホームページ(以下のリンク)から参照できます。https://www.pmi.org/learning/careers/project-management-salary-survey
PMI会員の方はPMIのホームページにログイン後、詳細の結果を確認できます。またPMI会員以外の方もサマリー(PDF)がダウンロードできますので、ご興味のある方は是非詳細をご確認ください。
その他
PMI認定の国際資格 PfMP®︎, PgMP®︎, PMP®︎の取得者数以下の記事にまとめておりますので、ご興味ある方はご参照ください。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。
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