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2023年の今、どんな音楽を配信すべきか?1920〜2020年代まで100年間の音楽データから最新トレンドを解説



音楽トレンド分析データについて

1920年〜2022年まで100年間の音楽の特徴データ表

上の画像の細かい数値がたくさん記載されたcsv(excelの様な表データ)ファイル。
これは2022年に音楽配信で再生された、1921年〜2022年まで各年の人気曲上位100曲から、10項目以上の特徴を抽出し数値化したものです。
それぞれ
・アコースティック度(どのくらい生楽器の音か?低ければデジタル音率が高い)
・ダンス曲度(どのくらい踊れる曲か?)
・楽曲の長さ
・エネルギッシュ度
・楽器パートの量(低ければ歌や声が多い)
・ライブ盤の割合
・音圧
・スピーチ割合
・テンポ
・明るさ
・人気度

などの特徴が抽出されています。
これらの数値を使って様々な分析を行うことができ、MUDEAではこの分析結果を生徒様の配信曲や音楽活動に活用できるサービスを提供しています。
本記事では、これらの特徴からいくつかを取り上げ、グラフにして視覚化し、音楽トレンドの解説をしていきます。

そもそも現在、どの年の音楽が聴かれているのか?

2022年に再生された楽曲の年度別データ

これは人気度でわかります。
多少のばらつきがあるとは言え、予想通りというか、当然というか、(あるいは予想外か?)より最新の楽曲が聴かれているという結果です。
注目すべきは
・1950年代後半の音楽から再生回数が大きく増える
・2010年代中期の音楽から再生回数が大きく上昇

あたりでしょうか。
1950年代後期から現代的な楽曲としての形式が完成してきたこと、2010年代後半から音楽配信が一般化したことで、それに合わせた音楽をリリースするアーティストが増えたこと(あるいはそのアーティストの世代と同世代のリスナーが増えたこと)。
などが考えれれます。

アコースティック度が減り続け、電気、電子化した現代の音楽

年々下がるアコースティック度

音楽には音響としては3つの大きな世代と言えるものがあり、
・アコースティック(生楽器:ピアノやストリング、管楽器など)
エレクトリック(電気:アンプを通した音です。エレキギターやエレクトリックピアノなど)
エレクトロニック(電子:デジタル音です。シンセサイザーの音など)
現代の音楽はアコースティック度(生楽器の割合)が減り続けています。
グラフにしてみるとわかる通り、1950年代〜1980年にかけ、一気にアコースティック度が減ったのは、エレキギターなどが急激に普及し、ロックやロックの要素をアレンジに取り入れた音楽が音楽市場を席巻していった変遷がよく現れていると言えそうです。
そして1980年からのデジタル時代以降には、実はそれほど大きな変化は見られていませんでした。
しかし2010年代後半からまた急激なアコースティック度の減少傾向が見られます。
これはストリーミングに最適化された、デジタル音楽の急増を意味しているのではないか?と考えられます。

ダンス曲は増え続けている

ダンス曲は増え続けている

これも想像はできる結果ではありますが、グラフにしてみると、2010年代になってからのダンス曲の割合の増加はかなり顕著です。
ダンス曲度合いは、いわゆる踊れる曲、というだけではなく、周期性(繰り返し)がその楽曲にあるか、によって判断される指標のため、現代の曲は黒返し=つまりループ曲が増え続けているのだとも考えられます。
先のデジタル化急増との関連もありそうです。
一方、1930年代頃の異常なダンス曲度合いの高さは、、、理由については楽曲を個別に検証する必要がありすですが興味深くはあります。

音楽は年々短かくなっている。2010年代以降の楽曲の長さの急激な減少

2010年代後期からの急激な音楽の長さの減少

ご確認いただける通り、2010年代、つまり音楽配信の時代になり、音楽は急激に短くなっています。
数値はミリセカンド(1000分の1秒)のため180,000が180秒=3分です。
80年代〜90年代のCD時代に4分以上あった曲の長さは、短かったダウンロード時代を経て、3分強までに短くなっており、この傾向はまだ続くと予測しております。
一方(ばらつきがあるとは言え、、、)1920年代〜1960年代初期までは3分前後だったことを思えば、その時代に戻った、とも言えます。
この1920年代〜1960年代はラジオの時代です。
急激に音楽の長さが増えた1960〜2000年代はアナログ盤~CDの時代です。
音楽配信はメディアとしてはラジオに近い、と考えることもこのデータからも言うことができるのでしょう。

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