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【Interview】Loli Molina - アコースティック・フォルクローレ・ブルースとの間で ※期間限定 無料公開


期間限定・全文を無料公開中(2020/6/24現在)

(English follows)

永遠の少女を思わせる歌声。そう聞いて思い浮かぶシンガーの名前が、あなたにもきっとあるに違いない。
例えばリンダ・ルイスや、ブロッサム・ディアリー。ときどきふと、その面影に会いに行きたくなる声の持ち主たち。ロリ・モリーナの声と音楽にも、そんな風にリスナーを惹きつけるものがあるように思う。

ロリ・モリーナはアルゼンチン出身、現在はメキシコシティを拠点に活動するシンガーソングライター・ギタリスト。
本人いわく「アコースティック・フォルクローレ・ブルースとの間で迷走している」というその音楽性は、さまざまなサウンドとの接点を持ちつつも、世の潮流とすこし距離を置いたところに居場所を見つけているようだ。
何よりまずはその歌声を武器に、エレクトリックギターの音響的な響きとアコースティックギターによるクラシカルな(あるいはフォルクロリックな)演奏を使い分ける彼女に、本人いわく「本邦初」というインタビューを行った。
最初にその作品について簡単に触れつつ、後半部ではアーティスト自身の言葉をお届けしたい。

スケールアップした3作目と、新作4thアルバム『Lo Azul Sobre Mí』

ブエノスアイレス出身のロリ・モリーナは、現在34才(1986年12月15日生まれ)。本人によると、これまでの正式なアルバムは下記の5枚。

Los Senderos Amarillos (2008)
Sí O No (2011)
Rubí (2015)
Segundo Round (En Vivo) (2017)
Lo Azul Sobre Mí (2019)

僕がロリの音楽に初めて強く惹きつけられたのは、2015年の3rdアルバム『Rubí』が契機だった。

以前からその歌声で強いインパクトをシーンに与えていたが、この3作目で大きく作風がスケールアップ。自身の歌とギターをメインに据えつつ、フェンダーローズや管楽器などからなるアンサンブルはどこかロードムーヴィー的な響きを孕むようになる。
楽曲やメロディ自体も、それまでのポップなイメージから、フォーキーでやや静的なものへと変遷している。
彼女がフェイバリットに挙げるジョニ・ミッチェルともどこかで繋がっているような、詩的な楽曲とサウンドだ。

『Rubí』冒頭に収録の「Los Días」ライブ映像

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3rd album 『Rubí』(2015)

間にライブ作を挟み、昨年末(2019年)にリリースされた『Lo Azul Sobre Mí』が現在のところの最新作。
エレクトリックギターの少しざらつくような響きが印象的だった前スタジオ作とは変わって、この新作ではアコースティックギターの甘美な響きが全面に出た内容となっている。
現代アルゼンチン音楽を代表する声とギターの男性2トップ、フアン・キンテーロエドガルド・カルドーゾ絡みの楽曲がそれぞれ収められていることが暗示しているように、さらにディープな表現へと向かいつつ、フォルクローレにも接近していく道半ばを捉えたアルバムといえるかもしれない。
サウンド面では、曲により弦楽四重奏をフィーチャーしつつ、控えめかつ音響的なアレンジによって彼女の歌やギターと自然に溶け込むものとなっている。それは巷によくある<ウィズ・ストリングス>的なサウンドーーポップスとクラシカルを雑然と同居させたようなものとは一線を画すものだ。

『Lo Azul Sobre Mí』収録の「Martín」ライブ映像(7:41~)

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4th album 『Lo Azul Sobre Mí』(2019)

とにもかくにも歌声がクローズアップされることの多いアーティストだが、ミュージシャンとしては歌以上にギターへの意識が強いという。
2020年5月、行動規制が続くメキシコシティに住むロリ・モリーナに、自らの音楽の変遷について聞いた。

Interview with Loli (1/2)

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――自分の歌声が個性的だと最初に気づいた瞬間について、
そして自分が音楽とともに生きていくと決意したときのことを教えてください。

First, tell me about the moment when you first realized that your voice was unique, and when you decided to live with music.

Loli: 12歳くらいの時、歌うことが自分にとって特別で、癒しになることに気付き、それ以来ずっと歌ってきました。音楽の世界での生活がどのようなものになるのか、想像もしていませんでした...…でも音楽で生きていくという決意は、自分でもはっきり意識する前になされていたと思うし、音楽はいつも私のためにそこに在り、これからもずっとあるでしょう。お互いにリスペクトと愛のある関係だと感じています。

I realized singing was a very special and healing thing for me when i was about 12 years old and have sung ever since. I didn't know what a life in music would be like, i never imagined that it could turn into a career....but i guess the decision was made before i could realize, music has always been there for me and always will. I feel we have a relationship of mutual respect and love.

――演奏し始めた10代の頃の、音楽との関わり方はどのようなものでしたか?友人たちとの共通のお気に入りのミュージシャンなど…

What was your involvement with music like when you first started playing as a teenager? A common favorite musician with friends, etc.

Loli: 10代の頃、私はロックと多くの偉大なギタリストに出会い、また多くのインスピレーションを受けました。私はちょっとナードで、何時間も勉強したり練習したりするのが好きだったし、周りにミュージシャンの友達がいなかったので、楽器を持ちながらの孤独な儀式っていう感じだった。
当時はパール・ジャムジミ・ヘンドリックススティーヴィー・レイ・ヴォーンジョニ・ミッチェルなどを聴いていて……たくさんの音楽を聴くことで、ソングライティングや音楽制作などできる限りのことを学ぼうとしていたの。

In my teens I discovered Rock music and many great guitar players which inspired me a lot. I was a bit of a nerd and liked to spend hours studying and practising and i did not have any musician friends around so it was more of a lonesome ceremony with my instruments : )
At that time i was listening to Pearl Jam, Jimi Hendrix, Stevie Ray Vaughan, Joni Mitchell... and trying to lear all i could from songwriting and music making by listening to lots of music.


――アルバム『Rubí』の前後で音楽性が大きく変化したように思いますが、きっかけとなる出来事はありましたか?

Your musicality changed a lot before and after "Rubí", was there any event that triggered?

Loli: 『Rubí』の後、私は音楽業界についてより多くの意識を持つようになりました。常に新しい音楽をリリースしなければならない、毎月のシングル・リリースという業界からの期待、フルアルバムというコンセプトが時代遅れと感じられるようなメッセージによって、アーティストにどれだけダメージを与えうるか知るようになりました。
私はこのことに少し幻滅していて、自分自身についてもっと深いところに行きたいと思い、関係のある自分のルーツーースパニッシュギターによる沢山のこと、しばらくの間脇に置いていた、反射的でしみじみとした詩学を探りに行ったの。
Lo Azul Sobre Mi』のコンセプトは、人生の終わりのないサイクル、死、闇、スパニッシュギターとストリングス、そして自分の声だけが音楽の中に存在する要素というテーマを中心に構築しました。
ミニマルでありながら、とてもディープなアルバムにしたかったので、その結果にはとても満足しています。また、このアルバムでは自分自身や自分の快適なゾーンを繰り返さないように、ソングライティングの面で自分自身に挑戦する必要があると感じました。

After Rubí I gained more consciousness about the music industry and how damaging it can be for artists when the message is we have to be putting out new music all the time, the industry expects singles coming out every month and the concept of a full album seems to be outdated. I was a bit disenchanted by this and I decided i wanted to go deeper and deeper within myself, and i went to explore my roots which have a lot to do with Spanish guitar and a very reflexible and somber poetics i had put aside for a while. I built the concept of " Lo Azul Sobre Mi " around the theme of a never ending cycle of life -death, darkness, spanish guitar and strings and my voice as the only elements present in the music. I wanted to to a ver minimalist but very deep album and I am very happy with the results. I also felt i needed to challenge myself in terms of songwriting so i would not repeat myself or my comfortable zones in this album. 

――新作では弦楽四重奏をフィーチャーしていますが、どんな経緯で参加することになりましたか?また彼らをフィーチャーする上で、何か特別に意識したことはありましたか。
よくある "with strings" ものとは違い、アンサンブル全体の中にそれらが自然に溶け込んでいます。

A string quartet was featured in the new album. How did the idea come?
Unlike the common "with strings" ones, they blend naturally into the entire ensemble. Was there anything in particular that you were aware of when you invited and played with them?

Loli: 前々から弦楽四重奏でアルバムを録音したいと思っていたので、これは絶好の機会でした。ラミロ・フローレスに編曲を依頼したのは、『Rubí』で一緒に仕事をしたことがあったからで、彼の音楽の解釈の仕方や、いつも音楽の一部であると聞こえる編曲にはとても満足しています。彼は私が何をしようとしているのか、完璧に理解していると思います。
今回の場合、私はストリングスをとてもダークに、リスナーにとってそう簡単ではないようなものにしたいと思っていました。ラミロにこのアルバムを "夜の海の真ん中で突然一人になった時のようなサウンドにしたい"と言ったのを覚えています。厳かで、ダークだけれど、とても自由で美しい経験でした。私たちはプロデューサーのHernan Hechtと密接に仕事をして、この感覚と色彩を実現することができたし、チームとして良い仕事ができたと思います。
弦楽四重奏団はブエノスアイレスの優秀なミュージシャンのグループで、彼らは私と一緒に仕事をしたことがあり、この新しい音楽を完璧に理解してくれると信じていました。

I had been wanting to record an album with string quartet for a while, and this was the perfect occasion. I hired Ramiro Flores for the arrangements because we had already worked together in Rubí and I am very comfortable with the way he interprets the music and is able to write in a way that his arrangements sound like they have always been part of the music. I think he grasps and understands perfectly where i'm going. In this case i wanted the strings to be very dark and not so easy going for the listeners, i remember telling Ramiro i wanted the album to sound "like if you were suddenly alone in the middle of the sea at night", this somber, dark yet very freeing and beautiful experience. We worked closely with producer Hernan Hecht so that we could achieve this feeling and colour and I think we did a good job as a team. The string quartet that recorded is a group of very good musicians from Buenos Aires, Argentina that had already worked with me and I trusted they would understand this new music perfectly.

――当然かもしれませんが、エレキギターとアコースティックギターを弾く時では、演奏のアプローチが大きく変化しますよね。
新作では以前よりもアコースティックギターを演奏する比重が増えて、クラシックギターやフォルクローレのスタイルに近づいていると思います。
あなた自身のギターサウンドの変遷について、コメントをいただけますか?

Maybe It's gonna be an obvious question, but when you play electric and acoustic guitars, the approach to playing is very different, isn't it?
On the new album, you mainly play acoustic guitar, which I think is closer to the classical guitar music and folklore style.
Can you comment on the evolution of your guitar sound?

Loli: 両方のギターにはそれぞれのスタイルがありますが、私がクラシックギターからエレクトリックギターに持ち込んだものは、ピックを使わずに指で弾くことです。これはエレキギターに暖かみと丸みのあるトーンを与えます。
人生とキャリアを通してこの楽器を行ったり来たりしてきましたが、常にクリアでエモーショナルなトーン、表現力豊かで自然なサウンドを求めてきました。音楽が何を求めているのかを理解し、それを実現するために楽器に働きかけるようにしています。

Yes, both guitars have their different styles but there is something i have carried from classical guitar to the electric one which is playing with my fingers instead of using pick, and this gives the electric guitar a warmer and rounder tone. Throughout my life and career I have been always going back and forth from this instruments and I have always put up front the search for a very clear an emotional tone, a very expressive and natural sound. I try to understand what the music is asking for in every case and try to work around the instrument to achieve it.

――新作にはフアン・キンテーロの参加と、エドガルド・カルドーゾのカヴァー曲が収録されていますね。そのプロセスについて教えて下さい。

There is a collaboration of work with Juan Quintero, and a cover song of Edgardo Cardozo in the album. Tell me about how the process you went through.

Loli: フアン・キンテーロは "Frontera "のゲストシンガーです。私はフアンと深い友情を持っていて、このアルバムの楽曲の多くは彼の音楽とソングライティングへのアプローチから影響を受けています。
彼は素晴らしいミュージシャンで、感情を音楽や歌詞に変換する、とても自然で温かみのある能力を持っています。私は彼のことが大好きで、この曲を一緒に歌うことはいろんな意味で完璧でした。このような機会に感謝しています。

エドガルド・カルドーゾが書いた"Martin"は、彼の最近のアルバム『Las Canciones del Muerto』のために録音した特別な曲です。
この曲は、マルティン・フィエロの最初の詩を基にしたものです。パンパ地帯のガウチョについてのある種の叙事詩的な物語で、彼は無法者でありながら詩人でもあり、その冒険、悲しみ、ストーリーを本全体を通して語っています。それはアルゼンチンで最も重要なフォルクローレ作品です。
エドガルドはこの詩を取り上げ、歌詞をスクランブルにして、フィエロの言葉をコラージュしたようなものを作り、同じストーリーラインの別の意味をもたらしました。エドガルドの歌は、非常に繊細で叙情的なキャラクターを描き、実存的なレベルにまで問いかけています。私のバージョンのレコーディングにエドガルドの祝福を得られたことは、畏れ多くも光栄なことでした。この曲は、私のアルバムの意味するところを完成させる完璧な作品であり、私のルーツや私が表現したかった風景への旅に戻ってくるような作品だと感じたからです。

フアンとエドガルドの二人は、これまでもこれからも、アルゼンチンで最高の、そして最も興味深いミュージシャンの一人だと私は信じています。

Juan Quintero
is a guest singer in " Frontera " , he only came to sing his part. We have a very profound friendship with Juan and a lot of the music in this album is in a way influenced by his music and his approach to songwriting. He is an incredible musician with a very natural and warm ability to translate emotion into music and lyrics. I love him very much and singing this song together was perfect in many ways. I am very thankful for this opportunity.

Edgardo Cardozo wrote " Martin " which is a very special track that he originally recorder for his recent album " Las Canciones del Muerto ". This song he wrote, is based on the first verses of " Martin Fierro " which is some sort of epic story about a Gaucho form the Pampas who is kind of an outlaw but also a poet and he narrates his adventures, sadness and stories throughout the whole book. It is Argentina's most important Folkloric piece. so, Edgardo took this verses and scrambled the lyrics, making a sort of collage of Fierro's words which resulted in another meaning of the same storyline. Cardozo's song portrays a very sensitive and lyrical character and elevates questions to an existencial level. I was very humbled and honored to have Edgardo's blessing for the recording of my version as I felt it was a perfect piece that completed the meaning of my album, a journey back to my roots and my landscapes that i wanted to express.

I believe both Juan and Edgardo are some of Argentina's best and most interesting musicians there have ever been and will be, so it is a joy to have them participating in different ways in this music.

Edgardo Cardozo "Martín"

――彼ら二人の音楽はよりフォルクローレ色が強いものだと思いますが、あなたの音楽も、彼らと同じ家系図にあるものだと感じていますか?

Do you feel that your music is in the same genealogy as theirs (Juan and Edgardo)? Guess the music of them is more folklore.

Loli: 私はフォルクローレの背景から来ているわけではありませんが、どんなルーツミュージックにも深く共鳴します。ブルースもルーツミュージックだけど、また別の場所から来たもの。だから、私の道との自然な共鳴はそのことに関係していると思う。
私は今、2つのプロジェクトに取り組んでいてーーオルタナティブでブルース・サウンドに近いエレクトリック・アルバムと、より大きくて複雑なフォルクローレ的なプロジェクトですーー、とてもゆっくり、かつ慎重に取り組んでいます。

私にとって最も重要なことは、どのようなスタイルを表現するにしても、首尾一貫していて、自然で、正直な道を築くこと。
私はジョニ・ミッチェルのディスコグラフィーを見るのが好きで、彼女は何年にもわたって様々なアプローチやコラボレーションを続けていきながら、ひとつ中心に残り続けて変わらないことがある。それは純粋さと正直な自分であることで、全ての言葉と音の中に現れています。それこそが私の尊敬するものであり、私もこれからの数年でそうした作品を作ることができるようにと願っています。(それらの中には)間違いなく、私がエドガルドやフアンと取り組んでいる特別なプロジェクトもあります。 

I don't come from a folkloric background but I resonate deeply with any kind of root music. Blues is also root music but from some other place. So i guess my path and natural resonance has to do with that. I am working in two projects right now: an electric album that has more to do with an alternative and blues sound and a folkloric project, a bigger and more complex endeavour, which i am working on very slowly and very carefully. The most important thing for me is to build a coherent, natural, and honest path whichever the style i choose to express that is. I like to look at Joni Mitchell's discography and see she had many different approaches to her creativity and different collaborators through the years, but one thing remained central and the same: her pure and honest self in every word and every sound. So that's what i look up to and hopefully i will be able to craft this kind of works in the next years to come. Definitely there will be some collaborations with Edgardo and Juan on special project i am working on : )

――メキシコシティを拠点に活動していますが、どのような経緯で拠点を移したのでしょう?メキシコで気に入っている物事についても教えてください。

You're based in Mexico City. How did you move and get there? Tell me about your favorite things in Mexico.

Loli: 約3年半前にメキシコシティに引っ越してきました。異なる経験と変化への個人的な必要性からここに移動しました。私がいつも住んでいた場所とシーンを離れることは強烈な経験でしたが、この転居はとても深い個人的な変化を引き起こし、多くのことをもたらしました。そのうちの一つは『Lo Azul Sobre Mi』を書き、その誕生をもたらしたことです。

メキシコで一番好きなのは、古代からの文化や伝統が今も残っていること。その感覚においてとても豊かな場所です。私は多くの旅をしてきましたが、ここの自然界、生態系、生物多様性は変化に富み、貴重なものです。豊富な果物と火山が大好き!

I moved to Mexico City about 3 1/2 years ago, I moved here following a personal need to change and experience different things. It was a very powerful experience leaving the place where i had always lived and my scene, but this movement triggered a very deep personal transformation that resulted in many things, one of them the writing and bringing to life of Lo Azul Sobre Mi.
What i like the most about Mexico is the ancient cultures and traditions that are still present, it is a very rich place in that sense. I have been able to travel a lot and the natural world, the ecosystems and biodiversity here are varied and precious. I love the abundance of fruits and the volcanoes!

――このパートの最後に、何か付け加えたいことがあればぜひ。

In the end of this part, please tell something you would like to add.

Loli: 音楽作品以外にも、コラージュやビジュアルアートを発表しています。
これらのアートワークをシェアしているインスタグラムのアカウントはこちら:@laotralolimolina

Asides from my work in music i also do collage and visual arts, i have an instagram account where i share this work @laotralolimolina


Interview (2/2) - Talk about Quiet

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世の音楽家たちはいったい音楽をどのように聴き、捉えているのだろう?
ミュージシャンと一緒に音楽動画を見て(聴いて)もらい、その場でコメントをしてもらう企画記事<Talk about Quiet>。
(かつてミュージック・マガジン誌で松山晋也さんによって連載されていた記事「めかくしプレイ」に思いを馳せて。)

今回はギタリスト、シンガーソングライターという視点から選んだ下記の動画を、一緒に見ながらチャットしてもらいました。

How do the musicians listen to and interpret music?
This is a series called "Talk about Quiet" where people watch (and listen to) music videos with musicians, and to have their comments about each music via chat.

I asked Loli to watch and chat with me about the videos below, chosen from the perspective as a guitarist or singer-songwriter.

①Ralph Towner "Green and Golden"

Loli: まあ、これは私の好きなギター曲の一つなの!!!
何年も前に練習したけど、今弾けるようになるにはまた練習しないといけないわ。

i love love love it!
well, this is one of my favorite guitar pieces!!!
I studied it many years ago, would have to study it again to be able to play it now

――既にご存知だと思いますが、ラルフ・タウナーは元々はピアニストで、ギターを始めたのは22才になってからだと言われています。
12弦ギターの演奏でも知られていますよね。あなたもフェイバリットに挙げているエグベルト・ジスモンチと双璧のコンポーザー、マルチ・プレイヤーだと思います。

Probably you already knew, he is originally a pianist and it's said he has started playing the guitar when he was 22 years old.

He's also known for 12-string guitar playing. I think he's a multi-player and composer who's been touted alongside your favorite, Egberto Gismonti.

Loli: そうね、彼は素晴らしいし、音楽やアプローチの仕方には非常にスピリチュアルな側面があると思う。
エグベルトはこの宇宙で一番好きなミュージシャンです。

Yes, he is amazing and i think he has a very spiritual dimension in his music and the way he approaches it
Egberto is indeed my favorite musician ever in the whole universe

――あなたも時にはインストゥルメンタルの楽曲を作曲することもありますか?
Do you sometimes compose instrumental music as well?

Loli: そうですね、前作の曲は全てインストゥルメンタルとしても成立するようにアプローチしていました。
「ソング」としても成立するギター曲を作りたかったんです。
私は時々、このアルバムのスペシャル・ヴァージョンをリリースすることを妄想することがあります...…声はありません!ギターとストリングスだけです。

Yes, in a way all the songs from the last album were approached as if they would work instrumental
I wanted to create guitar pieces that could also work as songs
I sometimes fantasize with releasing a special version of the album... with no voice!
Just the guitar and strings

②Elizabeth Cotten "Washington Blues / I'm Going Away"

Loli: 彼女のことは知らなかった!素晴らしきシスター・ロゼッタ・サープを思い出すわ。
小さな女性たちがどんな風にしてギタリストとして歴史に認められてきたことか。
彼女は驚きだわ

I didn't know her! She reminds me of Sister Rosetta Tharpeits amazing
How little women have been recognized as guitar players throughout history
I find her amazing

――エリザベス・コットンはシンガーソングライターで、ギター・バンジョー奏者です。右手用のギターをそのまま逆に持ち替えて左手で演奏しています。弦も右手用のままなので、親指でメロディを弾き、他の指でベースラインを演奏しています。
これは彼女が80才ぐらいのときの映像です。

Elizabeth Cotten is a singer-songwriter, plays guitar and banjo. She plays right-handed guitar by her left hand, upside down. So she plays the melody with her thumb and the bass line with the other finger.
She is about 80 years old at this time.

Loli: 凄いわ
見せてくれてありがとう。彼女のこと絶対チェックしてみる!
もっと見たいわ。

Amazing
Thank you for showing me this, I will check her out definitely!
I'd like to see more of her, so I will look it up

――ロバート・ジョンソンがアイドルなんですよね?

You like the blues and Robert Johnson is your idol, right?

Loli: そう!私はとても古いブルースが好きなの…...スキップ・ジェームスもね。
ブルースはとてもリアルで、正直で、純粋な表現だと思うの。

Yes! I like very old blues music a lot... Skip James also
I find that music very real, very honest, pure expression

③Julieta Venegas "Limón y Sal"

Loli: フルートを演奏しているミュージシャンは、私の親友よ。
このアンプラグドは素晴らしい!アレンジはジャキス・モレレンバウムね❤ 

The musician playing flute is a very good friend of mine
This unplugged is great! The arrangements by Jaques Morelembaum ❤

――そのとおり!ナタリア・ラフォルカデがヴィブラフォンやバンジョーなど沢山の楽器で、またマリアナ・バラフもパーカッションで参加しています。

Sure! 
Also, Natalia Lafourcade participated with variety of instruments, such as vibraphone and banjo in the recording. Mariana Baraj plays percussion too.

Loli: そうね、みんなとてもパワフルな女性たちだわ。

Yes, very powerful women all of them

――ところで、メキシコのミュージシャンでシンパシーを感じる人は他に誰かいますか?

Are there any Mexican musicians that you feel sympathetic to?

Loli: そうね、私はナタリアの作品を尊敬していて、それは彼女が並外れて才能のあるアーティストだから。
長年地道に活動を続けてもいるわ。
私はエリ・ゲラ(Ely Guerra)にも影響力を感じていて、彼女は音楽業界からかなりオルタナティヴなキャリアを歩んでいると思う。
女性にとっては大変な時期ね。
"Hombre Invisible"でグラミー賞を受賞したわ。彼女はとても特別❤

Well I admire Natalia's work because she is an extraordinary and very talented artist
And she has been working steadily for so many years
I find Ely Guerra to be very inspiring also, she made a career always on a very alternative side of the industry
In a very difficult time for women
She won a grammy for "Hombre Invisible"
She very special ❤

④Kotringo & Mono Fontana "Kodomo no Sekai"

Loli: 素晴らしい!モノ・フォンタナは私たちアルゼンチンの多くのミュージシャンにとってのヒーローよ。
コトリンゴも素晴らしいわ

This is great! Mono Fontana is a hero to many of us musicians in Argentina
and Kotringo is great too

――コトリンゴのこと、知っていたんですね。

Oh, you knew about her!

Loli: ビデオの冒頭でMonoが言っていることが大好き。彼はとても謙虚に、彼女と一緒に演奏することを光栄に思っている
それはミュージシャンが音楽を共有する最も美しいことの一つだと思う……お互いの仕事に対する敬意と愛情を持って。

I love what Mono is saying in the beginning of the video, that he is so humbled and honored to play with her
That's one of the most beautiful things about musicians sharing music I think... with respect and love for each other's work

――モノ・フォンタナと一緒に演奏したことはありますか?あなたと彼のデュオ演奏はきっと素晴らしいと思います。

Have you ever played with Mono Fontana? I imagine that the duo with you and Mono would be great.

Loli: それはいいわ!
まだ起きていないけど
でも可能性はあると思います❤

I would love that!
It hasn't happened yet
But I think it could be possible ❤

⑤青葉市子 "機械仕掛乃宇宙"

――日本のシンガーソングライター、青葉市子です。この曲は彼女のオリジナルではなくカヴァーですが、パフォーマーとしてのポテンシャルを見せていると思います。

She’s a Japanese singer-songwriter called Aoba Ichiko. This is a cover song, not her original song but it shows her potential as a performer.

Loli: 知らなかったわ、彼女の演奏はすごい!

I didn't know her! She plays amazingly!!!

――2012年のフェスティバル<sense of quiet>で、カルロス・アギーレキケ・シネシらと一緒に演奏もしているんですよ。二人とも彼女の演奏に魅了されて、キケとはその後も来日時に交流があったりします。
彼女は手がとても小さいので、子供向けに作られたギターを演奏していると聞いたことがあります。

She has played together with Argentine musicians Carlos Aguirre and Quique Sinesi, in the festival “sense of quiet” in Tokyo, in 2012.
Carlos and Quique were both fascinated by her performance and continued to interact with her when Quique comes to Japan.
She plays a guitar made for children since her hands are small

Loli: wooooow

キケは私の先生の一人だったの
彼女に惚れ惚れする姿が目に浮かぶわ

Quique was one of my teachers
I can imagine him being so fond of her

――OH!

Loli: 素晴らしい繋がり!
彼女の音楽をもっと探してみるわ。素晴らしいサウンド!

Great connections!!!
I will look for more of her music, she sounds great!

――キケとのレッスンはどのようなものでしたか?

What was the lessons with Quique like?

Loli: いくつかのワークショップの後、個人レッスンをいくつか受けたわ……何年も前のことだけど、16歳か17歳でギターの道を歩み始めて、自分の音楽を書き始めたの。

私がキケについて最も印象に残っているのは、彼の穏やかな精神と音楽への敬意について。
彼はとてもスピリチュアルで愛に満ちた人だと思う。
とても澄んだ人だと思うし、彼と音楽の話をする機会があったことをとても大切にしているの。

I did a couple workshops and then I had some private lessons... it was maaaany years ago, I was 16 or 17 years old, starting my path in guitar and writing my own music

I think what i retained from him the most was his gentle, calm spirit and respect for music
I think he a is a very spiritual and very loving human being, I love to see musicians that are very virtuous leaving their ego's aside
I think he is very transparent, and I treasure all of those opportunities I had to talk about music with him

――僕が思うに、それらはあなたの音楽にも共通しているものですね。
そのクラスは作曲についてのものでしたか?

I think those are what your music has in common.
Was it masterclass for composition?

Loli: いえ、ギターワークショップ寄りの内容だったわ。

あるクラスでの出来事を覚えているの。
授業の場所に到着して、みんなで輪になって座っていて。
彼はため息をついた……動きをとめて……そして言った……
"ギターを弾くのはとても難しい……"

hahahhahaha

みんな笑ったわ。
彼はそういったタイプの先生なの。

Mmm no, it was more guitar workshop

I remember one class
We arrived to the place where the class was going to happen
And we sat in a circle, and he sighed... paused... and said ...
"Playing guitar is very difficult.... "

hahahhahaha

And we laughed
He is that kind of teacher

――めちゃいい話ですね!
ちなみにそのクラスでは、どんな種類の楽曲を演奏しましたか。

How nice story!
What kind of pieces did you played in the class?

Loli: フォルクローレへの彼なりのアプローチと、編曲についてだったと思う。
彼の"Seras verdad?"、そして"Alta paz"という曲を演奏しました。

I think we worked on his approach to folklore
And his arrangements
I played a song of him called "Seras verdad? " and "Alta paz"

――うわー、もっと聞きたいけれど、そろそろ時間ですよね?
ご協力ありがとう!楽しんでもらえたことを願っています。

Guess it's out of time? Thank you for cooperation! I hope you enjoyed

Loli: そうね、どうもありがとう。
いい質問だったわ。
それに私たちがこれらの素晴らしいミュージシャンたちと繋がっていることを知れたのもとても嬉しかった。
私の音楽に興味を持ってくれてありがとうございます❤︎

Yes Yoshi, thank you very much
I love your questions
And it's very nice to know we are connected with such great musicians
Thank you for your interest in my music ❤

Have a nice day!


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Loli Molina "Lo Azul Sobre Mí" Workshop

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新作"Lo Azul Sobre Mí"を題材とした、ロリ・モリーナのオンライン・イベントが決定しました!
世界の一流ミュージシャンが参加するコミュニティ型実験室<sense of quiet MUSIC LAB>のイベントとして行います。
プログラムの内容は今のところ下記を予定しています(Zoom meetingにて開催予定)。

①アルバム "Lo Azul Sobre Mí" 収録曲のショウケース・ライブ
②作曲ワークショップ
③Q&A
※日本語通訳有り

Loli Molina "Lo Azul Sobre Mí" Workshop
7/17(Fri)22:00
https://www.facebook.com/events/936412606799912/

【参加方法】
下記コミュニティ入会後、メンバー向けにアクセス方法をお知らせします(開催日当日のお知らせを予定)。
※イベント準備の都合上、7/15までにコミュニティ入会登録をお済ませ下さい。

<sense of quiet MUSIC LAB>
https://community.camp-fire.jp/projects/view/268145



この記事について

長文記事に最後までお付き合いくださり、ありがとうございます!

この記事は主に、
①作品・キャリア紹介
②インタビューその1
③インタビューその2/Talk about Quiet

の3部構成により成り立っています。
一つの記事に23,000字弱を費やしたのは、
20年のライター歴でほとんど記憶にないことでした。
また英語翻訳・併記も初めて行いました。

内容を面白いと感じていただけましたら、記事のシェアやドネーションにご協力をいただければ励みになりますし、この企画を続けていく支えになります。どうぞよろしくお願いいたします!

感想や、今後取材してほしいアーティストなどのコメントもお聞かせください。お待ちしています!

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レーベルNRT代表、ときどき文章。国際ピアノ音楽祭<THE PIANO ERA>、コミュニティ<sense of quiet MUSIC LAB>主催 https://community.camp-fire.jp/projects/view/268145 JFAサッカー4級審判員

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