見出し画像

Post Maloneが「White Iverson」をリリースしたとき

今じゃ普段HipHop聴かない人でも知ってる存在となったPost Maloneさん。今年のグラミー賞も、2部門ノミネートされてますね。すごいっす。アルバムは集計期間と被ってなかったんで、『Hollywood's Bleeding』は来年に持ち越されるのかな。期待した方々安心してください。グラミーからスルーされてるわけではありません。

そんなPost Maloneさんですけど、この特大ヒットがあったからこそ、今の彼がいると言っても過言ではないです。7.7億回再生されてるMVからもわかる通りです。

いつものNoteとは違った感じで、「White Iverson」にまつわるあまり知られてないことを、ここでは取り上げていこうと思います。最近の情報一切ないです。和訳でもないです。どんどん逆行していきます。

リリースまで

2015年2月4日にSoundcloudに同曲をドロップするのですが、2015年に入ると少しずつ力をつけてきます。1月は自身の楽曲が1日に1600回再生され喜んでいました。現在と比べると、微々たる数字ですが、誰しもキャリアの初期は地道に数字を積み上げるものです。

Fkiとも繋がったことで、アングラでは彼と名前が知れ渡っていくように。この時期にOG Macoなんかとも会ってますね。2012年の下旬ごろから楽曲をアップロードを始めたので、2年と少しばかりでここまでコネクションが広がったことになります。

キャリアは前進していたのですが、「White Iverson」については納得いくリリースではなかったよう。本人談によると、どこかから漏れたためリリース時期を早めざるを得なかったらしいです。ただ、この曲だけは他と比べても明らかに反応が違いました。

画像1

何とSoundcloud層に引っかかり、4日で10万再生を稼いでいます。1ヶ月前は1600回であったのと比べると、ものすごい出来事でしょう。

1ヶ月経たないうちに50万再生も突破し、プロデューサーのRex Kudoも喜んでいます。(Geniusではなぜかクレジットが抜けています)当時Rex Kudoは、Waleなんかとも曲制作していまして、デジタルで1位も獲得しており、2人とも駆け上がっている最中でした。Rex Kudoは後に、Young ThugやLil Uzi Vert、Futureなんかにもビートを提供しています。

画像2

Post Maloneはそれからすぐに、KEY! のライブに呼ばれて出演するなど、リアルでも活動も広げていきます。


バスケットボール愛

White Iversonってどういう意味って人もいると思うんですけど、Iversonはバスケットボール選手のアレン・アイバーソンから取っています。

今でも熱狂的なファンが多くいるほど、アイバーソンのプレーは魅力的でした。上の動画を見れば、その意味がわかると思います。伝説のクロスオーバーからマイケルジャクソンとの1on1まで、鮮明にイメージできるようなプレーをいくつも残している選手です。カリスマですね。2001年にMVPも取っています。

そのアイバーソンを自分自身と重ね合わせたのが、WhiteなIversonというわけです。イントロで「ダブルOT」「俺が新しい3だ」と言っているのは、アイバーソンのように、ダブルOT(つまりは土壇場)でビッグショットを決めること、上のサムネの通り背番号3を引き継いで行く、という意思表明です。

ただこの曲はアイバーソンだけにとどまらず、様々なバスケットボールリリックが出てきます。いくつか例を上げると、


「コンコルドを爪先に」

-アイバーソンがリーボックと契約する前は、エアジョーダン11 コンコルドを履いていたことに由来する。

「ダブルOT、KDみたいに」

-KDもNBA屈指のクラッチシューターとして知られており、ネームドロップ。

「ニューオリンズのADみたいに金が飛んでく、ハーデンみたいにミスはしない」

-AD(アンソニー・デイビス)は、驚異的なジャンプ力を誇るニューオリンズペリカンズ(今はレイカーズ)のエースで、お金が飛んでいくのをかけています。ハーデンは、ヒューストンロケットのエースで、高い精度のシュート力とかけています。

「赤と黒それと金、俺がアンサーだ、質問するな」

-赤と黒というのは、アイバーソンのシューズカラー。さらに、金はスラングとしてBlueと使われることもあり、タイトルのWhiteも持ってくると、アイバーソンが所属していたシクサーズのユニフォームカラー(赤、黒、青、白)が全て揃うことになります。「俺がアンサー」は、アイバーソンが現役時代のニックネーム「The Answer」から取っています。

画像3

もっと色々あるんですけど、あとは調べて見てください。

伝えたいのは、バスケットボールが好きすぎるラインが、オタクたちの胸に突き刺さった可能性もあるということです。ちょっとかじったくらいじゃ出てこないリリックばかりです。

父親がダラス・カウボーイズ(NFL)の従業員だったため、スポーツと比較的近い家庭で育ちました。音楽活動を始める前年に、地元ダラス・マーベリックスがNBAを制覇していたこともあり、そこからの影響も強いものと思われます。

実際に足を運んだり、

2kで自分を作って遊んだりするレベルの本物です。バスケのリリック書くなら、とことんやれというのが彼の成功例からわかります。バスケ以外でも同じことでしょう。


自分に投資

このWhite Iversonをリリースするにあたり、Post Malone自身も髪型に変更を加えています。

画像4

2014年まではこのようなスタイルだったのですが、

画像5

アイバーソンをトレースするかのような髪型に変更しています。キャラとヒット曲を重ねることで、インパクトを最大化することに成功していますね。

また、サンクラの再生回数が回ったことで、ボストンやシカゴ、オハイオなど地元以外でもライブに呼ばれるようになります。そこでの波及効果も大きなものだったでしょう。

3-7月はMVに向けて動いていくのですが、MTVやRevoltの協力が得れたのも大きかったようです。リーボックからも靴をプレゼントされるなど、何かしら人を巻き込んでいくような動きがあったのが見て取れます。

そしてPost Malone自身もMV撮影に50万ほど出したと言っており、するべきところで確かな投資もしたようです。

WhiteとIversonをとことん推しつつも、フレックスが垣間見える完成度の高いMVになり、これがブーストとなって一躍スターの座を手にしました。


フック

ソーシン、ソーシン、ソーシン、、、ってフックが嫌でも耳に残ってると思うんですけど、sauceってスラングからきています。とんでもなくキャッチーですよね。意味は「かっけえ」ってことがわかれば大丈夫です。

saucin' 、swagging、ballin' と連続で言葉が流れてくるんですけど、saucin' は一説だとヒューストンのスラングという言葉があります。ラッパーのSauce Walkaもヒューストン出身ですし。同じテキサスとして、見えないバックアップがあったかもです。

Geniusオタクによると、ストリートボーラーのPhilip Championのニックネームが「Hot Sauce」だったからという指摘もあります。

彼もまたアイバーソンのようなクロスオーバーを得意としています。

sauceって言葉自体、Post Maloneがオリジンという訳ではないですけど、Future&DJ Escoの「Too Much Sauce」、Beyonceの「Formation」(I got hot sauce in my bag, swagという超かっけえリリックがあります)というsauce関連の楽曲が2016年にヒットしたことで、Post Maloneのsauceの価値を保っていたかもしれません。のちのロングヒットにも繋がります。

swagは、Justin Bieberが言いまくったことである種一般化した言葉ですね。sauceよりは子供っぽい印象です。数ヶ月後にPost MaloneはJustin Bieberと実際に出会っているswagなイベントもあったので、全て繋がっているということです。

ballin'は、それこそバスケットボールからきてるスラングで、金持ちって意味を含みます。まぁ全部関連してるってことです。

簡単なフックにも聞こえますが、最も効果的な言葉をチョイスしていたのがわかると思います。こういうのを才能っていうんですかね。


まとめ

特にまとめることもないんで、これでWhite Iverson特集おわりです。ありがとうございました。


written by Yoshi

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?