見出し画像

あいさつとスキとフォローが上手にできません。

通っていた高校は、あいさつを重んじる系の校風でした。工業系の高校でしたので卒業後すぐに社会人となる場合も多く、学校の教育方針からそうなったんだと思います。縦割り社会のようにバキバキした雰囲気もあったせいか、いまだに当時の先生や先輩にあいさつするときは緊張します。インタビュアーとして企業の社長とお話するほうが気が楽です。

高校時代は、先輩を視界のすみにとらえると、遠くでも聞こえるように「コンチワッ」と言わなければいけません。後輩ができたらできたで、発言元が定かではない「コンチワッ」をもれのないように聞き取り、あいさつを返すのです。いやでも視覚と聴覚は研ぎ澄まされます。

先日、天気がとても良い日がありました。時間があったので愛車を磨こうと外で作業をしていました。

車にホースで水をかけていたのですが、少し先に赤ちゃんを抱えた女性が散歩をしていました。女性はにこにことしていて、口が小さく動いています。きっと赤ちゃんに話しかけていたのでしょう。二人の服を濡らしてはいけないと思い、一度手を休めました。

赤ちゃんを抱えた女性は、私の濡れた車の前を横切るところでした。私がぼーっと突っ立ってることに気付き、少しだけ目が会いました。

「あいさつするか?声で赤ちゃん驚く可能性もあるな。でもな」と思ったあたりで、女性は赤ちゃんとのおしゃべりに戻ってしまいました。しばらくその二人を眺めたあと、「あいさつをしたらよかったかな」と少し後悔していました。むかしは人感センサーのようにあいさつをしていたのに。

noteで記事を見て「いいな」と思うと、スキを押して表現することもあると思います。筆者の考えや文章を気に入ってフォローもしますよね。

私は、なぜだかわかりませんが、赤ちゃんを抱えた女性にあいさつをするかどうか悩むことと同じように、スキやフォローを戸惑ってしまいます。余計なことをたくさん考えてしまうのです。

また違う日、仕事中に眠気に襲われ、なんとかさねばと散歩に出かけました。道路に面して庭があるお宅の前に通りかかり、子どもがふたり自転車の練習をしていました。睡魔のせいでウミウシのごとく歩く私に片方の子どもが気づき、わざわざ自転車をとめて「こんにちは!」と笑顔であいさつをするのです。怖がらせないように努めて優しく「こんにちは」と返すと、満足げに練習に戻りました。

そして昨日、相変わらず眠気を覚まそうと散歩をしていたところ、小学生の集団に出くわしました。みんなでどこかに遊びに行くようです。車の迷惑にならないよう、きれいに一列に並び、私が進もうとした通りを横切っていきます。列を切ってしまってはかわいそうだと思い、邪魔にならないところで横断を待っていると、最後尾だった大将のような男の子が「こんにちは」と声をかけてくれました。嬉しくなり、ちょっと声を張って「こんにちは!」と返すと、頭を下げてかけていきました。

簡単に考えてもいいのかもしれないな、と思いました。あいさつをするかどうかなんて悩まなくてもいいし、あいさつと同じように、「いいな」と思ったら、スキもフォローも気軽にしてみてもいいのかもしれません。昔のような「コンチワッ」はもう出ないと思いますけど。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?