カンカン、と楽器の音で目が覚めた
カンカン
コンコン
コン…
カンッ
遠くから、音が鳴る。
誰かが金属を鳴らして、演奏しているようだ。
ここちがよい。
だんだん、意識がそちらに近づく。
サーッ
サーッ
しおさいの音も聞こえてきた。
わたしはふわっとしたなにかのうえで、
えらそうに音を聞いている。
アジアのどこかのおうじさまである。
わたしはおうじで、
誰かの奏でる音をえらそうに、
だけどあったかい心で聞いている。
モヤモヤした意識がパッと目覚める。
「いったい誰が演奏しているのかい!」
…あぁ、雨が、ひさしにあたる音だったのか。
なーんだ。
あぁ、だけど、すごく素敵な演奏だ…
君たちはこんな音が出せるんだね。
それから、コーヒーの準備をしたり、机の上を片したり、ランプの明かりをつけたりしていたら、演奏はいつの間にか終わってしまっていた。
ぼくはおうじさまじゃなくなっていた。
生きる。 解釈が交わる世界で、手を取り合いましょう。