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外食SaaSがコロナの苦境を乗り越えた秘訣

こんにちは。はじめまして。
クロスマート代表の寺田と申します。

2018年7月にクロスマート株式会社を設立しました。
創業から4年間、山あり谷ありでしたので、これまでの道のりを赤裸々に語りたいと思います。

クロスマートは外食向けの受発注サービス「クロスオーダー」を運営しています。外食向けのサービスなのでコロナの影響は大きく、会社存続の危機に直面しました。営業活動ができず、売上も停滞、このままでは倒産かも・・・という危機を、社員一丸となり、なんとか乗り越えてきました。

今回は創業からこれまでの試練と、それをどのように乗り越えてきたのか、書かせていただきます。同じく苦しい経験をした、スタートアップの仲間たちに少しでも役立てば嬉しいです!

1. 突然訪れたコロナショック

クロスマートは2018年7月に創業しました。
外食産業では食材の受発注がいまだにFAXや留守電で行われています。受発注をデジタル化することで外食産業の発展に貢献したい、外食に携わるすべての人に喜ばれるサービスを作りたい。そういう思いで「クロスオーダー」を開発しました。

サービス開始は2019年11月。コロナが話題になり始めたのが2020年1月。ここからが試練のはじまりでした。

コロナの影響で、外食産業の売上高は大きく落ち込みました。

外食する機会が減り、飲食店の売上が減る。売上が減れば、食材の仕入れも減る。食材を販売する卸売業者も危機を迎えていました。そんな中で、外食産業の受発注を効率化する「クロスオーダー」が売れるはずもなく、売上高は伸び悩んでいました。

2. 資金調達が白紙に

2020年6月、決まりかけていた資金調達が白紙に、、、

「コロナで事業の先行きが不透明」という投資家からのフィードバック。自分たちも事業の先行きに不安を感じていたので、それがピッチにも表れていたのではないかと思います。

特にアーリーなフェーズでは、事業の可能性よりも、その起業家に投資したいかというのも判断のポイントになります。その点において、当時の自分は、自信のなさや不安がピッチに出ていたのだと思います。決まりかけていた資金調達が白紙になった。いよいよやばい。
この時、ランウェイが残り6ヶ月という状況でした。

キャッシュがいつまで持つのか、楽観、現実、悲観の3パターンでシミュレーションを行っていました。悲観的に考えると、残り6ヶ月・・・という状況。

3. 生き延びるために

繰り返される緊急事態宣言、一向に戻らない外食産業。
営業したくてもできないジレンマ。日々減っていくキャッシュ。この頃、はじめて「倒産」という言葉が頭に浮かびました。

会社を存続させるためには、痛みを伴うコスト削減をしなければならない。
この時、月の売上100万円、コストが約1,000万円。コストの約70%が人件費でした。できればやりたくない、人件費の削減も考えなければいけない局面を迎えていました。

・インターン生の退職(当時20人いたインターン生は全員退職)
・社員のグループ会社出向(当時社員11人のうち、3人がグループ会社に出向)
・業務委託の契約終了

特に社員の出向はつらかったです。今思い出しても胸が痛い、、、
クロスマートに入社してくれた社員を、裏切ってしまった罪悪感。経営者としての力不足。自己嫌悪。不安で眠れない夜。この時が精神的に一番しんどかったです。
出向しなければならない社員は、もっとつらかったと思います。本当にごめん、、、

出向してもらう社員と面談し、本当に申し訳ない。必ずチームで再会しよう。と伝えました。

「ふざけるな」「辞めます」と言われることも覚悟していたら、むしろ励まされて、泣けてきたのを覚えています。何があっても最後まで絶対に諦めない、と心に誓いました。

4. 選択と集中

2020年7月、3名が出向し、クロスマートに残ったのは8名。やるべきことを絞りました。

プロダクトを磨く(コロナで営業活動が思うようにできないので、営業人員を減らしプロダクト改善に取り組む。この時から杉原くんがPMになりました。結果的に、この意思決定は最高でした。)

顧客の解像度を上げる(執行役員が広島県のお客様先に1ヶ月間常駐。卸売業者の仕事をイチから体験。どういった人たちが、どんな職場で、どんな思いで仕事をしているのか。業務フローの理解はもちろん、彼らの仕事を肌身で感じる。)

資金調達に集中(社長である私はここに集中する。)

広島県で部屋を借りて、1ヶ月間生活する執行役員の榊。

5. 危機を乗り越えるウルトラCはなかった

2020年後半にかけて、プロダクトの品質は大幅に向上しました。
お客様もコロナで苦しい状況でしたが、解約率は1%未満という低い水準でした。これは、プロダクトの改善スピードを評価いただけたことと、今後の進化に期待していただけたことが大きいと思っています。

1ヶ月間の常駐をへて、お客様と共にプロダクト改善を進めたことで、お客様がクロスマートを応援してくれるようになりました。「一緒にプロダクトをつくってきたから、クロスマートを成功させないといかん!」と言っていただけることも増えました。あの時、1ヶ月間の常駐を快く受け入れてくれたお客様には、絶対に恩返しします。

資金調達は数十社にピッチさせていただきました。
コロナで事業環境が厳しいのは変わりません。自分たちが取り組んでいる課題の大きさ、少ないながらもお客様に喜んでいただけている実績、今後の可能性に共感いただけるよう、本気のピッチを繰り返しました。自分の声を録音して、話すスピードや内容を見直して、XTech西條さんには毎晩遅くまでピッチ改善に付き合っていただきました。西條さんありがとうございました。

6.現在のクロスマート

創業から4年、本当に山あり谷ありでした。
自分が経営者としてもっと優秀だったら、しなくてすんだ失敗もたくさんあります。白髪も増えました。

ただ、クロスマートを創業して本当によかった。
出向していた3人も戻ってきてくれました!(出向先のグループ会社にも感謝です)。現在は社員30人、これまで退職者は1人もいません。決して順風満帆ではなかったこの会社に残り続けてくれた社員には感謝し、誇りに思っています。

2021年2月、ついにシリーズAの資金調達に成功しました。
出資してくださった投資家さんはきっと、事業の蓋然性よりも、クロスマート社のしぶとく諦めない姿勢を評価してくれたのだと思います。株主の皆さん、ありがとうございます!

この2年で、事業も大きく成長しました。
ARRが1億円を超えたときは、すごく嬉しかったです。

MRRは右肩上がりに成長しています。
全国の飲食店27,000店舗が、日常的にクロスオーダーを利用してくれています。

コロナで働き方も見直して、フルリモート・フルフレックスで一人一人が働きやすい環境をつくっています。クロスマートにはパパママ社員も多く、取締役は育児休暇を取りました。

日本の外食は世界に誇る素晴らしい産業・文化です。それを支えている全国の卸売業者さんや飲食店さんを尊敬しています。クロスマートはその想いと営みをテクノロジーで支え、外食産業の発展に貢献していきたいと思います。

会社に危機はない方がいいと思います。できればもう経験したくないです。
ですが、危機を共に乗り越えたことで生まれる、信頼と絆もあります。
社員との絆。お客様との絆。株主との絆。
クロスマートは危機を通して、ひと回り強くなりました。

大好きな仲間たち

クロスマートはサービス拡大に向け、採用強化しています。

・もう少し詳しく事業について聞いてみたい
・今後の事業展開について聞いてみたい
・食品流通の課題についてディスカッションしたい
気になる方は、ぜひお気軽にご応募ください。


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