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二度の転院〜父のその後

1月13日に誤嚥性肺炎+コロナ陽性で入院した父の容態はとりあえず安定し、日赤の病床はより重症度の高い人に空けなければならないため、コロナ療養受け入れのE病院に転院になったのが1月18日。
日赤の先生からは、この年齢・状況にしては比較的うまく治療が進んだとの説明があった。
施設はコロナ陽性でも受け入れOKだったけれど、父はまだ痰の吸引が必要で、それは夜間にも行わなければならない。が、お世話になっている施設では夜間の痰吸引は対応しておらず、もう少し回復しなければ帰れないので入院となった。
夜間対応ができない点については、正直「え? そうなんだ。」とは思ったけれど、脳梗塞で入院していたリハビリ病院から施設に移るときにそもそも選択肢がほぼなかったんだから、仕方ないといえば仕方ない。

そしてこのE病院もコロナの療養期間が終わったら出なければならず、入院してすぐ地域連携室の方が「次の病院のご希望はありますか?」と聞いてきた。
特に希望はないけれど、施設の職員さんに付き添ってもらうことを考えて施設に近いところがあれば、と伝えた。

あわよくばこの病院で夜間の吸引が不要なレベルまで回復して施設にそのまま帰れたらいいのに、と楽観していたが、2月に入ってすぐにH病院の地域連携室相談員を名乗る男性から電話があった。
いきなり「お父さんは2週間抗生物質投与しても誤嚥性肺炎がよくならない。そうなると治療法が他にない。治療しないということは入院適応にならないからうちに打診されてるんですけど引き受けられないと思います。」という。

客観的事実を並べたらそういうことになるだろう。
一昨年の6月に父が倒れてから母が認知症になり、ここまでの間に本当にたくさんの方にお世話になったけど、こういう言い方をする人に初めてぶつかり面食らう。
さらに「今の施設さんでは対応してもらえないんだから、別の施設を探さないといけないんじゃないでしょうか。あ、これは今の施設さんに言わないでくださいね。」とも。

結論からいうと、父は今日、このH病院に転院した。
一般的には2週間が治療の目安となるが、コロナ罹患後は経過が異なり、もうしばらく治療を継続して快方に向かうパターンがあるとのことで、受け入れてもらえることになったそうだ。
転院にはまた施設の職員さんと看護師さんが付き添ってくれて、父は車イスに座って移動できたそうだが、実のところはそれほどよい状態でもないらしい。
職員さんにLINEで送ってもらった入院治療計画書を見ても、楽観的ないことが素人の私にも明らかにわかる。

来週、家族に対する医師からの説明があり、施設の看護師さんが行ってビデオ通話を繋いでくれるというので、「私、直接行ったほうがいいんじゃないでしょうか? 父の様子も正直よくはないですよね?」と聞いてみると、職員さんは一旦受け止めてはくれたものの面会は一切不可とのことで、暗に来なくてもいいと言われる。
まあ、予想はできたけど。

弟夫婦にも共有したけど、例によって「ご連絡ありがとうございました。」の返信。これも予想できたけど、あとで言った言わないと揉めたくないので淡々と送る。

父は職員さんと看護師さんの顔を見てもすぐにはわからない様子だったけれど、母は元気にやっていることを伝えると、少し笑って左手でOKの意志を示したそうだ。
一方で母は職員さんたちが心配していたほどは混乱もせず、父の部屋に行って寝てみたりしていたけれど、今日は「どうして部屋が2つあるのか」と不思議がっていたそうだ。
目の前にいないと、父のこともこんなに簡単に忘れてしまうんだろうか。
だとしたら、あまりに残酷だよな、認知症って。


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