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父、コロナ発症で入院する

両親が入所している施設がいわゆる「クラスター」になってしまい、父は陽性・発熱、母は抗原検査陰性だったけれど微熱があり、父と一緒にいたことからみなし陽性との連絡があった。
年末から外部から来るリハビリスタッフや施設の職員さんが感染し、その都度お詫びの連絡はあった。だけど、このウイルスの特性から考えて完璧に感染を防ぐ方法なんてない。言うまでもなく施設の職員さんたちは感染対策にものすごく労力を使っている。特に母のような認知症の入所者の対応には苦労しているはずで、頭をさげこそすれ文句を言う気になんてなれない。

年が明けて「入所者さんにも陽性の方が出ました」と連絡があったときから、これは時間の問題だなと思っていた。
両親ともワクチンは3回接種し、オミクロン対応の4回目は母のみ接種。父はたまたま直近で行った血液検査の結果が思わしくなく、主治医の先生が接種見送りしたほうがよい、とおっしゃったそう。ちなみにインフルエンザの予防接種はOKとのこと。
「そんなことってあるんですかね?」と私の主治医に聞いてみたけれど、「うーん、医者といってもいろいろいて、それぞれこだわりがありますからね。まあ私だったら高齢者が発症したときのリスクを考えて接種を勧めると思うけど…。」との返答だった。
気がかりではあったけれど覆す根拠もないのでそのままにしていたが、結局先に陽性になり、高熱が出たのは父。

陽性の連絡があったときに、施設側から「重症化したときにはどうしますか?」という確認があった。
救急搬送するのかどうか、というより、ぶっちゃけ延命処置しますか? ってこと。
もちろん入所時にも一筆書いたんだけど、回復の見込みがない延命処置は希望しないので、たとえば人工呼吸器に繋ぐことを目的に病院に搬送するということだったらやめてくれ、とあらためて伝える。

その日は解熱剤で熱も下がってきたというので安心していたけれど、翌日の朝早く主治医から直接電話が入る。
「お父さんの状況ですが…」と言われて、まずは腹をくくる。
転院させてもいいでしょうか? ということだったので話を聞くと、
・昨夜から胸の音がよくない(肺炎の疑い)
・早朝に施設の看護師から連絡があり往診(といっても同じ建物だけど)したところ、Sp02が80%台。
・酸素投与しても90%台に上がらない。
・これ以上ここでできることがない。
・それはつまり、転院しなければここでお看取りということです。
・ご本人は3日前まで歩いていました、転院して治療すれば回復の見込みがあるので僕はこのままにしておきたくない。
・ついてはご家族の意志を再度確認したい
という内容である。

回復するなら一も二もなく転院させてほしい、重症化の際に救急搬送しないでくれとは言ったけれど、それはあくまで見込みがないときの話なので、と答えたところ、すでに段取りはすべて整っていた様子。
保健所経由で問い合わせていて、日赤の受け入れOKがちょうど電話中に出たようで、「これから救急車で搬送します、のちほどご連絡します!」と電話は切れた。

一息ついて弟夫婦にLINEで連絡し、ふと、ダメかもしれないな、とは思った。
だけど一方で、脳梗塞で倒れたときにも助けてもらった日赤だったら大丈夫かもしれないとも思った。
結局、覚悟できているようで覚悟できていないんだ、私は。

その後、お昼前には一緒に救急車に乗ってくれた施設の看護師さんから「とりあえず落ち着いている」との電話があり、お昼過ぎには日赤の看護師さんから手続き関連の確認連絡があった。本当はもろもろの書類にサインをしなければいけないんだけど、すぐに行ける距離ではないので電話で話しながら代筆をしてもらう。
その後しばらくして、日赤での主治医となった内科の医師から電話が入った。

・一通りの検査を行った結果、炎症が強い、腎機能がかなり落ちていて腎不全という状態。
・肺炎ではある。が、CTを見るとコロナが原因の肺炎とはどうも異なっている。
・誤嚥性肺炎と思われるので、その治療をします。
・ご本人は会話もできる(といっても慣れない人だとYes/Noのコミュニケーションしかとれないと思うけど)し、SpO2の97%くらい、血圧も140/80と少し高めなくらいで安定しています。
とのことで、ホッとして力が抜ける。

ただ、病床ひっ迫はかなり深刻なようで、コロナ陽性にも関わらずすぐに日赤に受け入れてもらえたのは、かなりラッキーだったようだ。
運ばれてきたときには「とても帰せる状態じゃなかった」ので入院となったわけだけど、安定したら安定したでより重症な人のためにベッドを空けなければならない。
そのため「急な転院もありますが、その場合のご希望はありますか? おうちの近くとか。」と聞かれたものの、実家は畳んで私も弟も遠くにいるのでお任せします、と返す。

誤嚥性肺炎なら安心かというと全くそんなことはなく、高齢者の死因としては一二を争うものではあるけれど、まだ得体の知れないところのあるコロナ性の肺炎よりはまだマシなのかなとか、少しでもいいほうに考えてみる。

週末ということもありその後はどこからも何の連絡もないので、とにかく1日1日、なるべく積み残しがないように過ごして備えるしかないんだろうな。

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