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罪悪感ってなくなるんだね

ここ1週間近く、母からのLINEをブロックし、通話も着信拒否したままだ。自宅の固定電話にかけてくることもあったけど、先月末に解約したところ。
自分でもびっくりするくらい気持ちが安定している。
多少なりともあった罪悪感まで、日に日に消えつつあるところだ。

これまでも、わけのわからないことを繰り返し言ってきた後、母が落ち着きを取り戻し私が頭を冷やす間の数時間とか、夜21時前に「おやすみ」とLINEで言ってから朝までとか、限定的に着信拒否にしていたことはあった。
だけどLINEのブロックまではしなかったし(通知OFFにはしてるけど)、24時間以上着信拒否にしたことはなかった。

小規模多機能ホームを利用し始めてから、ほぼ毎日電話かLINEで「助けてください、家に帰してください。」、「お金がありません。」or「知らないお金がたくさんあります。」が繰り返される。
お金については日帰り帰省で私が預かり、そのあと数時間だけヘルパーさんと帰宅したときに持ち出した父の財布にいくらか入っているので、当面問題はない。
「家に帰してください」に関しては、もともと小規模多機能型の事業所はデイサービスとショートステイを組み合わせることができる上に、例えばお昼だけ帰宅したいときもちゃんと送迎してくれる。自宅にいるときに手助けが必要であればヘルパーさんも一緒に来てくれる。
つまりそもそもの話、施設に閉じ込められているわけではないのだ。

近所のMさんが電話してくれたときには、母自身は「病院に泊まっている」と言ったそうなので、わけがわかってないのかもしれない。
なので、最初は根気よく電話でもLINEでも説明したし、「帰りたい」と言われればケアマネさんにもその都度お願いをした。
が、説明したところで記憶には残らないし、ケアマネさんも昼間は自宅で自由に過ごした方が母も気楽だろうと考え、落ち着いた様子のときをみはからって「今日は明るいうちだけ家に帰ってみますか?」と誘ってくれる。
が、それに対しては「家に帰ったら怖い」「誰かいる」「娘(私)に怒られる」といって、ケアマネさん曰く「泣き崩れる」そうだ。
そしてまた次の日、朝に夕に「助けてください、家に帰してください」という連絡がきて「振り出しに戻る」毎日。

つらい。しんどい。ものすごい徒労感。
でも親だからしょうがない。施設の職員さんにも申し訳ない。
そう思いながら過ごすうちに孫たちの休園休校が始まってしまい、ちびたちの世話をしながらボケたおばあさんが泣いてかけてくる電話対応をしなければならなくなった。
大声で話す様子を見て「ばあば、誰と電話してるの?」「何を言ってるの?(方言なので)」と機関銃のように質問され、イライラの度合いが急上昇する。
ああ、これは無理だ。もたない。

電話を切って着信拒否にし、どんどん入ってくるLINEに「子どもと孫のほうが大事ですから、あとは職員さんに頼んでください。どうしても電話したかったら弟にかけてください。」と入れて、ブロックしてしまった。
自分が書いたのにあまりにも人でなしのようなメッセージに思えて、トークも非表示に。
そのあとのケアマネさんからの連絡では、一旦自宅に帰る気になって車まで行ったけど、やはりそこで「怖い」と泣き出して帰らなかったとのこと。
べつに、私が何かしようがしまいが、結果は同じなんだ。

翌日は着信拒否だけ解除して買い物に出たところ、運転中に着信履歴がたくさん。母は若いときから耳が遠いので電話は大きな声で話す必要があり、外出先ではなかなか電話しづらいものがある。どうせ話の内容はいつもと同じ、緊急性があるものはケアマネさんか施設職員さんからかかってくるもの。
そんなことを考えている間にも数回の着信が続き、「家に帰ってからにしよう」とスーパーのカートを押し始めたら、今度は弟から電話。

「おかあがなんぼ電話しても出てくれんいうて、わしのとこに言うてきたで。」
ほうほう、私が出なければちゃんと弟に電話できるじゃないか。
そこで弟にこれまでの経緯と母の現状、ずっと施設に滞在していてほぼ毎日ケアマネさんと連絡をとっていることを、グチを交えてそれこそ機関銃のように話した。必要なことはその都度、弟夫婦と私のグループLINEに残しているけれど、あまり電話で話すことはないので。
大人になってからの接点が少ない姉弟なので詳しくはわからないが、姉が母親の悪口をまくしたてるのを「ふんふん、そういうことね。了解。」とさらりと受け止めるあたり、なかなかデキるじゃないかと思う。

「そんなわけだから、気持ちが落ち着いたら電話も出る、と思う。」と伝えて電話を切り、ついでに母もまた着信拒否にした。弟がうまくやるだろう。

電話で母の声を聞かなくていい、他人が見たら鬼のような娘だと思われるであろう返事をしなくていい、前日のコピペかと思うような「助けてください、家に帰してください。」のLINEを見なくていいし、「昨日も言いました!」という冷たい返事をしなくていい。
もともと年に1回しか会わなかった私が、いくら実の娘だからといって母に魔法をかけられるわけではないのだ。そんな力は持ってない。
遠く離れた場所で私が無理をしたところで、母の状態が変わるわけでもない。これ読んでなんて冷たい娘だろうと思う人は叩けばいいよ。
そういうのわりと平気だし。
今ひとつ現状を把握できていないように見えた弟も、ここに来てだいぶ事情がわかってきたようだし、戦力にもなりそうだし。

たぶん、緊急事態宣言があけて面会ができるようになるまで、私はこのままにするんじゃないかな、と思ってる。
いいほう悪いほう、どっちに転ぶか今はわからないけど。


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