TENETが難しかった話

公開前から話題だったTENETを観てきました。
非常に表現が面白く、かつ理解が追い付かない作品でした;;
パンフレット等もまだちゃんと読めていないし、熱が冷めないうちに勢いで思ったことを書こうと思います。

多少ネタバレを含みますので、以下は鑑賞後にどうぞ





本作の面白かった表現について

本作では、"時間操作"だけでなく"時間の逆行"を表現として多用していましたね。
多くの作品の時間操作は、ある特定の時間まで戻って、そこから時間の流れに沿って進むことで、過去を変えていくような手法が主じゃないでしょうか。

図1

図1

上の図1で例えると、描かれるのは"1-1.元々の時間の流れ"と、"1-3.過去へ移動後"の青い矢印が主であり、"1-3.過去へ移動する際中"の緑の矢印部分はあまり多く描かれていないものが多いように思います。

しかし、本作では過去へ移動方法として「時間を逆行する」方法を利用しており、その過程を「巻き戻し映像」のように描くことをメインギミックとしており、非常に面白い映像になっていました。
同一の画面上に時間的な方向が真逆な人や物の動きが混在しており、映像としての複雑さがありました。
下の図2の"2-1","2-2"の二つの逆方向の矢印が同じ画面内で起こっているイメージです。

図2

図2

単純に普通に動いている人の中に逆再生のような動きをしている人がいるのは観ていて面白かったです。
また、本来なら最後に見えるはずの結果がシーンの最初から見えており、その結果にたどり着く様子がシームレスに見えるのはあまり見れない描写でドキドキしました。
例えばカーチェイスのシーンでは車に乗ったときからドアミラーが割れていましたが、それが治る(ドアミラーを破壊した弾が逆行する)ことで攻撃されたことがわかる部分がありました。
他の時間操作ものでも後から攻撃されたことがわかる描写はありますが、リアルタイムで敵の時間が逆行して伏線回収とかはあまりなかったのではないでしょうか...?

本作の難しさ

時間が逆行するというだけでもあまり見慣れないし、理解するのが難しかったように思いますが、途中で「時間が逆行している人は酸素マスクをしている。」というルールが判明したのでそれを意識するとかなり見やすくなったように思います。
これに加えて、「逆行した状態でさらに逆行する」これが出てきてから複雑さが一気に増したように思います。
マイナスにマイナスを掛けるとプラスになるというかの如く、逆行して過去に戻った人がもう一度逆行することで、逆行していない人達と同じ状態になるため誰が逆行してきたのかが非常にわかりにくかったです...

図3

図3

しかも、複数のキャラクターが逆行してきた際に、一人が逆行中でもう一人が順行状態となる等、状況に合わせて時間の方向が変わるので、状況整理が追い付かない!

最後に

時間操作もののお約束である、散りばめられた"結果"の伏線回収等もあり非常に満足できる内容でした。
個人的にはキャットが憧れたのが自分自身であったという部分は素敵だなと思いました。自由をつかみ取った自身の姿が見えたからこそ、変化を決意できたのかなと思うと少しロマンティックですね。

他のキャラクターは「誰の指示で動いているのか」という謎がメインでしたし、それが主人公であったところから、おそらく主人公は再び時間を逆行し、終わりのないループに入るのではないでしょうか。
ニールは友情を手にしたと同時に終わってしまい切ないラストだなと...
キャットだけは自身の行動で自分を変え息子を取り戻したことから明確なハッピーエンドだったように見えました。。。

期待されていただけあり飽きさせないし満足できる作品でした。
パンフレットに詳しい解説があるようですので、家で観れるようになったら一時停止しながら頭を整理しつつ見たいですね。

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