ドイツ留学記録#3 こぼれたオレンジジュースと棚運び婆さん、あるいはレースカー狂いのスペイン人について
全ては零れたオレンジジュースに始まった
ターキッシュエアの快適な空の旅とは、隣人にオレンジジュースをぶっかけられることから始まるらしい。僕が寒いなあと思って出した上着に、となりの席に座っていた友達が思い切りオレンジジュースをかけた。もちろん、すぐに謝ってくれたし怒っていたわけでもないのだが、飛行機の中はひどく寒かった。
ターキッシュエアラインズのご飯はおいしいと聞いていたが、本当に旨い。何より日本人の口に合うし、種類も日本食と洋食から選べた。緊張のせいか、はたまた最近夜中までLOLを遊びすぎていたせいなのか、飛行機ではほとんど眠れなかったので、僕は映画を3本見ることにした。ディズニーの「クルエラ」を見たが、あれは最高の映画だ。星200000個くらいつけたい。マジで。
オレンジジュースをこぼしたこの彼女だが、この後も何度も世話を焼くはめになる。これがラブコメなら出会いの始まりなのだろう。なお、彼女を滞在先の家まで送り届けてから、僕の旅路は始まることになる。その話はまた今度にして、僕が彼女をおろしてから、自分の宿舎の最寄駅にたどり着いたところからの話をしよう。
ブレーメン到着 未知(棚運びBBA)との遭遇
それはそれとして、留学先のブレーメンに無事到着した。
町の中心地区(旧市街)までトロイムで向かい、そこからさらに乗り換えて20分ほど。ドイツっぽい街並みに少しだけ、東京の田園風景を混ぜたようなところへやってきた。
風が涼しく、半袖越しには普通に寒い。しまった、ちゃんと来て来ればよかったと後悔をしてしまう。するとふいに、一人の中年女性が私に話しかけてきた。
「ちょっといいかしら、棚を家に運びたいの。一緒に運んでくださる?」
あの、いくらなんでも僕の血筋が他人に話しかけられやすいからって、留学初日におばさんに話しかけられるってありかよ、と思った。荷物目的の犯罪者ではないか少し警戒してから手伝ってあげると、彼女は僕をねぎらってくれた。面白かったのはここからで、実は彼女はブレーメンの市庁舎で観光部門に勤めているらしく、英語でガイドまでしているらしい。僕がもし行くのであればタダにしてくれるとのことだ。ありがたすぎる。
下宿到着
坂道をしばらく下り、いよいよ下宿先へ。
なんといっても、家主のChristoph/Diana夫妻が親しい人柄で、しかも彼らの子供が超かわいかった。いやマジで、可愛すぎた。ピカチュウとポッチャマの人形をあげたら、眼を輝かせて「Danke」といっていた。守りたい、この笑顔。あああああ、西洋人の子供ってどうしてこんなにかわいいんだ? バイト先の塾の子供たちの5兆倍くらいかわいい(かわいい)。10歳くらいの子供なんだけど、本当にかわいい。守りたい、この笑顔。
Christophによると、僕の到着を1日遅く勘違いしていたらしく、僕以外に夏学期最終日を過ごしている人間が二人ほどいた。彼らについては、すでに家を出てしまったので今回は紹介を省きたい。それでは、今日であった変わり者のスペイン人、レースカー狂いのアルヴァロについて話したい。
「おい相棒(Hey Bro)、カーレース見ようぜ」
このカーレース大好きジャイアンは、アルヴァロ。僕のルームメイトだ。スペイン人らしく南国的な陽気さでぺらぺらと話をする彼は、ここから2週間ほど共同生活を送る相手である。歳は僕と同じ22歳で、流体力学を専攻。ロケットなどの機械いじりが好きらしい。こういう典型的な理系とあまりかかわってこなかったのでだいぶ新鮮だ。
そんな彼は、スペインで開催されているカーレースを僕ともう一人のフランス人と共に観戦した。最終的に1位と2位の間に20秒近い差ができてしまうという、見ていて「あっ、察し」となるような試合だったことを除けば、彼の推しチームが抜かし去る度に全員で「テンテンテンテンテンテテン!」とスターを取ったマリオのBGMを爆音で叫んだりして楽しかった(なお結果は25位と散々だった)。マリオは全世界共通言語である。任天堂に感謝しなくては。
なお、アルヴァロはフロムゲーの重度患者である。DK3で好きなキャラクターは何かと聞かれたので「ファランの不死隊」と答えたらめちゃくちゃ共感していた。オタクというものは全世界共通の反応をするものである。なお、彼は『進撃の巨人』もアニメで見ていたらしい。日本の文化がここまで知られているとむしろ誇りになる。ありがとう、すべての日本人よ!!!!
ブログというのはこんなことを書くものなのだろう。
明日は朝からスーパーで飯を買ったあと、いよいよブレーメン大学で歓迎パーティーやら学生登録やらをすることになる。これからを過ごすほかの友人たちに会うのも楽しみだ。オレンジジュースをこぼされたり、おばさんを助けたり。人生楽ありゃ苦もあるさ。
(水戸黄門のBGM)
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