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制作日記「40歳になって考えた父親が40歳だった時のこと 第0話掲載」

現在発売中の小説幻冬5月号よりエッセイ漫画「40歳になって考えた 父親が40歳だった時のこと」第0話が掲載されております。
初のエッセイ漫画連載。初の文芸誌。初の長タイトル。
どうぞご支持賜りたくお願い申し上げます。

コスメのネームに手こずってしまい、この制作日記が遅くなってしまいました。
というわけで発売されてから随分経っていますので当然僕のディープファンの皆さま(12名)はもう買ってくれてますよね。小説幻冬。
は?買ってない?テメー!っちくらぁ!っちくらちゃくらぁ!
なんて思うことはありません。
無理ありますよね。小説幻冬。なんやねんそれ。私も見たことありません。
漫画を全く読まない知り合いに「あんたの漫画どこに載ってんの?」とことあるごとに言われてきましたが、そんな私もとうとう小説幻冬まで来ました。
掲載誌を私の元にも送っていただきました。初初づくしのお仕事なのでこれは永久保存版にとっておきたいと思います。



目次載ってる


小説幻冬900円!高っ!!
今回の僕の漫画は10Pほどのショート連載なので、私の漫画を目当てに買っていただくのは少々忍びない思いです。母親だけでよいのではないかと思います。
ちょっと先になりますが単行本が出るタイミングで、またTwitterにもいくつかアップしますので、その時改めて読んでください。よろしくお願いします。
また元々小説幻冬の読者で今回初めて私の漫画を読んでいただき、調べに調べてこのnoteに辿り着いたあなた。初めまして。
「私がキラだ。」
どうぞ今後ともご贔屓のほどよろしくお願いいたします。


小説幻冬5月号全部読んでみた。

この制作日記の更新が遅れてしまったのにはもう一つ理由があって、せっかく掲載の機会を頂いた記念に1冊全部読んでから制作日記を書いた方が面白いんじゃないかと思ったからです。
僕はそもそも文芸誌を読む習慣はありませんし、これまでの人生で文芸誌を買ったのは村上春樹のインタビューが載った「文學界」ぐらいで、今回が初の文芸誌読破になります。
誠に無知でお恥ずかしいことなのですが、今回の雑誌に載ってる作家は名前はちょこっと知ってるかなーぐらいの方はおられますが、その著作はほとんど読んだことがございません。
僕はそこまで読書家でもなく、気になった本をたまに読むといった「一般人よりはちょっと読む方」ぐらいのレベルじゃないかと自分でも思っておりまして、つまり「日頃本を読まない人に近い感覚」です。
なので読書家の皆様におかれましては「こいつ、んなことも知らねーのか笑」と思われり部分も多分にあるとは存じますが、ご容赦の上、下記感想を読んで頂けますと幸いです。(予防線バッチリ)

1冊丸ごと読んでみた感想はズバリ「面白かった。」です。
本当に何の忖度もなくとても面白かったです。
裏を返せば「どうせつまんねーだろ。」と思ってたってことなんですが、正直なんかよくわからん難しい文章が並んでて、あとは最近の新聞みたいに広告ばかりで、「うわ〜不況だ〜。」と無駄に落ち込むんじゃないかと心配したりしましたが、そんな不躾極まりない私の予想を遥かに上回り面白かったです。
高ぇとか、見たことないとか言ってすみませんでした!
僕はジャンプを読むのも1時間くらいかかるので、全部読むのに8時間くらいかかりましたが面白かったです。

特に面白かった作品を挙げてみます。
今野敏「遠火」
新川帆立「女の国会」
群ようこ「本好きとフィギュア好きの新居問題」
真梨幸子「教祖の作り方」
町田康「旅に出ぬのがことばの修行」(エッセイ)
櫻井稔文「男のいない女たち」(マンガ)

この中でもちょっと泣いてしまったのが新川帆立さんの「女の国会」という作品です。
女性の市議会議員が主人公の小説なのですが、議員という普段知り合いにならない、馴染みのない職業の人の日常がとてもリアルに描かれていたのと、ストーリー的にも浪速節といいますか男同士の人情物語に近いものが女性主人公で描かれていて、グッときてしまいました。
雑誌全体に「どちらかというと女性向けの読み物なのかな。」という印象を受けながら読んでいたのですが、それは今流行りの「ジェンダー」とか「多様性」とか「男女平等」とか「これが変われば世の中すべては必ずよくなる」というような単純でわざとらしい上辺だけのものではなく、人の生活にきちんと接地した女性像といいますか、「女であること」あるいは「男であること」を「武器にしない」というような感覚を特にこの作品から感じました。
僕は漫画家なので、あらゆる表現において「漫画最強説」を常日頃(自室の壁に向かって)唱えていますが、漫画だとどうしても主人公は美形に描いてしまうだろうし、美形に描く(美形にすると決める)ことによって一つ表現の可能性が減るということなので、そうなるとこの二アンスの表現は小説でしか出来ない。漫画化、あるいはドラマ化すると表現の幅は確実に狭まらざる得ないんだろうなと思いました。となると小説ってやっぱすげーな。と思います。
あと偶然ですが、作中に現在リアルタイムで炸裂するパンチラインがありましたので、恐縮ですが引用させていただきます。

新川帆立「女の国会」より

中高年男性の皆さん。裏垢はバレないと思ってるのは自分だけです。くれぐれもお気をつけください。
本出たら買おうかな。

というわけで小説幻冬5月号読んでみた感想でした。
小説を漫画雑誌のように飛び飛びに読む感覚も新鮮でした。


連載の経緯を少し

父親に関してのエッセイ漫画は元々2020年末にTwitterに上げたのが始まりでした。
そのプロトタイプは下記のnoteにまとめてアップしています。

それをnote主催の「第二回#コミックエッセイ大賞」というのに応募しまして、幻冬舎賞というのを頂いたのが今回の連載に繋がった最初のきっかけとなります。
それから2年と4ヶ月。随分かかりましたが(池沢面太郎描いてたしね。)紆余曲折の末、無事開始まで漕ぎ着けられてよかったです。

note主催のエッセイ大賞は「創作大賞」と名前を変え、現在も作品募集中のようです。
色々な部門が設けられているようなので、ご興味ある方は応募されてはいかがでしょうか。

「応募されてはいかがでしょうか」と言いつつ、返す刀で水を差すようなことを言ってしまいますが、こういう賞に入賞して「本にしましょう」という時に「原稿料が出ない」ということがまれにありますのでお気をつけください。
本にするとなると180p近く漫画を描かなきゃいけませんので、かなりの作業量になります。
「賞金をもらったから」「編集者に悪いから」と思って安易に引き受けてはいけません。もちろん「この本で一発当てるから大丈夫!」という野心がある方なら全然いいと思います。
大切なのは自分で納得して引き受けることです。
実際本にするという話になった時は「原稿料は出ますか。」ときちんと聞きましょう。その金額が制作期間の生活費に対して十分か考えて、足りないなら交渉し、無理そうなら勇気をもって断りましょう。その時は賞金だけもらえばいいのです。その編集者がまともな方なら必ずわかってもらえます。
賞ってもらったらテンションが上がりますから、先のことを考えず引き受けて追い詰められてしまう人がたまにおられますので、注意点でした。
僕も今回もきちんと交渉しました。
あとはちゃんと本にして、ある程度評価されて、このnoteの創作大賞の成功例として残ることができれば、あたくしの仕事はその時初めてオールフィニッシュ。ミッションコンプリートということになります。
その辺も以降ご注目ください。


肝心の漫画についても少し

第0話冒頭より

1ページ目はこんな感じです。。。
うう〜。とにかく恥ずかしい。

エッセイというか少年期を思い出して描いているので、正式には回顧録(メモワール)に近いのかもしれません。
まず最初にどんな絵にすべきかに悩みまして、今も悩みながら描いています。「ちびまる子ちゃん」とか「山本さほ」さんのような絵を目指したいところですが、あのようなシンプルな絵こそ中々描けるものではありません。
お話の内容が暗いのでサラッとした絵がいいんですよね。なるべく立体感がなく、平面的でそっけない絵っつーか。
どうでしょうかね?あんまり描かなくってもスカスカになっちゃうし。悩みどころです。
いつものようにしつこくカケアミしたり、乳首にチリ毛を生やすのは厳禁です。悲しくなりすぎちゃいますからね。
まあそんな感じです。
というわけでしばらくの間は「コスメ部」とこの「40歳になって考えた(略)」の月刊連載2本でお送りします。
えー漫画家みたいじゃ〜ん。


引き続きご贔屓賜りますよう、よろしくお願いいたします。


サポートしていただけたら小躍りします。