嫌われたくないと思うこと
嫌われるのが怖い。
誰だってそうだろうけど、嫌われるのが怖い度合いを数値化したら、私は平均よりやや高いのではないか。
そのことに気づいたのは中学生のときだ。
当時「っポイ!」という漫画が大好きだったのだけど(本当に名作なので未読の方は是非……!)、その中に万里というキャラクターが登場する。
万里は人気者でモテモテ。幼なじみの平がいて、他にも友達がたくさんいて、傍目にはまったく孤独そうじゃない。
しかし、両親が多忙でほぼ一人暮らし状態であることに淋しさを感じている。
そんな万里が過去を回想する回がある(1話完結か前後編なのだ)。
万里は自覚のない淋しさを埋めるために夜遊びを繰り返し、なんとなく家出をしてしまう。そして、一人で喫茶店を営んでいる男性に拾われて、少しずつ心を開いていく。
彼との交流によって、万里は自分がいかに周りから嫌われないように笑顔を作っていたか、いかに淋しかったかをようやく自覚する。
この話を読んだとき、ものすごく万里に共感した。
どこに共感したのかというと、「自分が嫌いな相手からも嫌われたくなかった」といった万里の独白。
わかる!!
全力で共感する。
だけど、ふと疑問に思う。
え、それって万里だけなの? 普通みんなそうじゃないの?
そう思い、作品を読み返す。たしかに、万里以外のメインキャラは人から嫌われることを怖がっていない。
読者しかわからない話になって申し訳ないが、平・真・トラオ・花島田に関しては、「好きな人の目を気にする」感覚はあるものの、「万人の目を気にする」感覚はほとんどないようだ。
唯一、万里とヒナキだけはその感覚がある。特に万里は、表立った描写は少ないものの、たぶんその感覚が人一倍強い。
このときはじめて、「人から嫌われることを恐れる感覚」には個人差があることに気づいた。
そういえば、私が
「この前○○ちゃんがそっけなかったんだけど、嫌われてたらどうしよう」
などと相談するたびに、母は
「なんであんたはそう友達の顔色ばかり気にするの! 悪いことしてないなら堂々としていなさい」
とイライラしていた。
幼かった私は内心「なんで親なのに私の気持ちがわかんねーんだよ」と思っていた。
だけど、私と母では「人から嫌われたくない度」が大きく違うのだ。私のそれが10だとしたら母は3くらい。
わかってもらえなくて当たり前だったのだ。
◇◇◇
私の「人から嫌われたくない度」は年々下がってきている。学生時代が10だとすると、今は7くらい。
昔は、全人類に嫌われたくなかった。
今は、「好き~どちらでもない~嫌い」のグラデーションのうち、「好き~どちらでもない」に該当する人にのみ、嫌われたくない。
「嫌い」に該当する人から嫌われたとしても、たいしたダメージを受けなくなった。「ふーん」くらいにしか思わない。
人から嫌われることがまったく怖くなくなったら、さぞ生きやすいんだろうなぁと思う。
「人から嫌われたくない度」が1~3くらいの人には、素直に憧れる。
だけど、自分が今生でその境地にたどり着けるとも思えない。
だから、そういった人たちの発信は「そうなれたらいいなぁ。でも、私には無理だろうなぁ」くらいの気持ちで受け止めている。
嫌われることを恐れない人生は、来世に期待だな。
ちなみに、「っポイ!」ではトラオ推しでした。
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