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水曜日どうでしょうのディレクターが見た、新聞業界どうでしょう?釧路はどうでしょう?

先週、札幌の地にて道新青年会の全道大会が行われた。
コロナ禍で人数制限があり、現地とリアル開催併用で行われたが、
私は今年最終年度という事で現地で発表も兼ねて参加させていただいた。
第2部では、講演として「水曜日どうでしょう」のディレクターであり、あのナレーションを担当している藤村忠寿氏の講演があった。
そこで、
新聞について。
新聞販売店について。
常識をぶち破る発想について。
などが、語られた。
とても面白くて、新たな発見もあったが、
色んな意味でハッとさせられたので、
綴ってみます。

道新青年会の全道大会とは?

北海道新聞の販売店は、全道に521店ある。
内訳は、新聞だけを取り扱って専門に新聞販売を行なっている販売店が288店、
小さな町や村の中にあり、商店や農協などに委託などしている副業店が233店ある(2020年7月現在)。
札幌、函館、旭川、釧路(2022年に十勝と合併)4ブロックに分かれて、道新会連合会という組織が形成されている。
道新青年会は45歳を卒業とした、販売店主や所長を目指すメンバーで構成され、
労務対策や販売促進、新規事業などを研究したり、実践したりしている。
年に一回全道大会が行われ、各ブロックが持ち回りで主幹している。
昨年、私が会長の下、釧路で主幹した様子は過去のnoteでご覧ください。↓

今年は釧路の活動として、
物販の事業や道新全面広告を使った意見広告について発表しました。

藤村氏、講演でいきなり常識を破る

第2部において、今年度は藤村氏の講演が設けられ、
いきなり常識をぶち破った挨拶から始まった。
藤村氏は冒頭からこう語ったのだ。
「講演って、普通はパワポを作ってスクリーンに映しながら、色々解説するでしょ?でも僕は、今日はパワポも使わないし、ましてや、立って話もしないです。椅子に座って、皆さんと同じ目線で話します。」
と様々ユーモアを交えながら、
冒頭の3分くらいで皆の心を掴んでしまった。

水曜どうでしょうが出来た成り立ち

水曜どうでしょうは、やはり、常識をぶち破るところから始まったそうだ。
北海道の深夜番組といえば、札幌中心に、お店を紹介したり、札幌ローカルタレントがパチンコしたり色々な事にチャレンジする姿を放送したりするのが、定番で、それが常識と認識される。
ただ藤村氏は、まず試聴率100%を取れる番組という入り口から考えたそうだ。
だから常識で考えられる深夜のターゲット層という概念は無く、深夜であろうが、どの世代でも楽しくて、見たい番組を作りたい!
そして全国放送で同時刻に放送されていた、
「ひとりごっつ」に札幌のエンターテイメントで試聴率を超えたい!という大きな夢から始まっていた。

みんなの合意≠ヒット作

「水曜どうでしょう」はみんなの合意から始まった番組ではない事は、前段の文章で読み取れると思う。
まず北海道の深夜番組の企画段階で、世界を旅するという内容が、全員の合意を得られるわけがない。
大概の人はこう言うだろう。
「常識的に、せめて遠くても北海道のどこかで撮影しよう!」
「予算的に無理だろう?!」
「無名な人が登場して、全国の番組に勝てるはずがない!」
などなど、やってもいないが、皆の経験値の常識で、多くの壁を作られてしまう。
実際そうだったみたいだ。
結局面白いアイディアはこうして、皆の常識の壁が立ちはだかり、
頓挫してしまうのだ。
だから、みなが合意する企画というのは
簡単で、
わかりやすくて、
省力化で、
綺麗にまとまってしまう。
だから誰の心にも響かない!
と藤村氏は語ってくれた。

常識の壁をぶち破る?!

では、藤村氏は実際にどうやって、その壁を越えたのだろう?
いや、ぶち破ったのだろう?
何か企画をして、反対意見が出た時は、こう考えるそうだ。
「なるほど、ここが一般の人が思う常識の壁か?そこを越えれたら面白いことができるぞ!」
と、
でも、常識の壁というのは多くの人が持っているので、
そう簡単に正面から行って、越えたり、破ったり出来るものではない。
だから、知らないうちにやってしまって、ダメだったら謝るしかない!
との事だった。
確かに失敗したら怒られるけど、成功を証明するのは、やって結果を見せるしかない!
その成功をほらね!出来たでしょ!
ってその景色を見せてあげて
皆の常識の壁を破ってあげるしか
無いのかもしれない。

新聞屋の常識は?

現在、新聞は大幅に部数が減少し、
コロナ禍で折込が減って、
会の挨拶でもマイナスなワードがどうしても多くなってしまう。
ただ、藤村氏は、衰退していく新聞業界の大変さを理解しながらも、
ずーっと、自分自身の新聞愛を語ってくれた。
毎朝、コーヒーを淹れて、1時間じっくり読んでいる事。
新聞はネットと違い、事実が並べられているので、感情に惑わされず、ずっと見ていても、嫌な気持ちにさせられない事。
紙の新聞を読むことで自分自身の文化レベルが高く知識人になったようで、心地良い事。
などなど、新聞の良いところを一通り語り、
さらに、読者投稿(はいはい道新)の素晴らしさを熱弁してくれた。
おじいちゃんや、おばあちゃんの、ちょっとした喜びや悲しみは、Twitterより面白い!と
「転んで、助けてくれた人の名前を聞き忘れたので、この場で感謝を述べたい」「10年後に完成予定の札幌新幹線に対して、駅の不便さにクレームを入れる足の悪い90代のおじいちゃん」
藤村氏は読者の声に、いちいちツッコミを入れて楽しんでいるそうだ。
そして講演の最後に、こう締めくくってくれた。
「こういう新聞ファンの僕のような人がいて、それを届けている皆さんは、もっともっと誇りに思うべきだ」と激励をくれたと同時に、こういう新聞ファンの人がもっと喜ぶ情報やサービスを販売店独自で行えば良いという事もおっしゃってくれた。
どうしても、新聞屋さんの常識として、部数を管理する事ばかりに目が向いて、新聞部数は減るものとして捉えてしまい、最近はその部数の奥にいる読者の皆さんの喜ぶ姿を忘れていたのかもしれない。
当たり前なんだけど、自分自身が、もっともっと商品である新聞を深く愛し、お客様に熱く語れるようにならなければいけないと強く感じた講演でした。

釧路はどうでしょう?

最後に、懇親会の席で藤村氏に、釧路の印象を聞いてみた。
すると、
1番住みたくない街だなー。と言われてしまった。
十勝は住みたいけど、と
理由は、なんか暗い感じがする。との事。
確かに、最近は釧路に明るいニュースもないし、
十勝のように、面白い事がドンドン行われている情報発信も少ない気がする。
住んでいる僕らがそうさせているのかもしれない。
釧路の常識の壁も打ち破り
面白い事をしている人で溢れる街にしたいとも同時に思う、良い機会になりました。

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