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議論すべき論点を広く洗い出し、絞り、深めるとは

  DaaS (Discussion as a Service) という本の一節です。

良かったらどうぞ!

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 議論の参加者が「何について」「どのように」議論するのかをファシリテーターが設計するときに注目すべきものが「論点」です。

「論点」とは「その意見や主張が、どういった問いに答えているのか?」という「問い」

「論点」とは、意見や主張自体ではなく、「その意見や主張が、どういった問いに答えているのか?」という「問い」を指します。

「論点」の把握とコントロールの難しさ

 議論の場でさまざまな意見が出て対立や混乱が起きている場合には、以下の2つのパターンが考えられます。
 
「同じ論点(問い)について議論しているが、その論点にたいする意見(答え)が異なっている」場合と、「論点そのものが異なっている場合」です。
 議論が錯綜して何について話をしているかわからないというときは、意見の違いだけでなく議論している論点自体が見失われ、噛み合っていないまま議論がなされてていることが多いのです。
 そして「噛み合っていないな」ということまでは分かるのですが、「何がどう噛み合っていないのか?」を正しく認識し、適切に対応するのはとても難しいものです。

 ファシリテーターは、メンバーが重要な論点について考え、意見を述べた上で、彼らを適切な方向へ導かなければならない。
 具体的には、本来議論すべき論点が漏れていたら補い、論点がずれて錯綜していたら、論点を整理することなどが挙げられます。

 論点の把握とコントロールは非常に難しいです。

 何故なら、発言の中に論点が明示されていなかったり、複数の論点が含まれていたりすることが多く、その立て方も自由度が高いためです。

図論点把握の難しさ

【出所】グロービス・吉田素文. (2014)ファシリテーションの教科書―組織を活性化させるコミュニケーションとリーダーシップ(Kindleの位置No.1123).東洋経済新報社.Kindle版より筆者作成

論点の地図のための3つのステップ

 これを乗り越えるために有効なのは、「あるべき議論の論点の地図」をつくり、様々な意見を即座に位置づけられる状態を用意することです。具体的には、次の順番を意識すると良いでしょう。

1) 論点を広げる(洗い出す):合意に必要な「議論すべき論点」と、参加者の関心や利害に立って「議論になりそうな論点」をチェックすることで、重要な論点の見落としを防ぐ。具体的には、テーマ自体から論理的に洗い出す方法や、3CやSWOT分析、バリューチェーンなどの「フレームワーク」を活用する方法のほかに、「合意形成のステップを細分化して論点を押さえる」方法があります。

※1 3CとはCustomer(市場・顧客) Competitor(競合) Company(自社)の3つのCを分析で、企業を取り巻く環境を明らかにし、今後の経営戦略を導き出すための有効なフレームワークを指します。

※2 SWOT分析とは競合や法律などの自社を取り巻く外部環境と、自社の資産やブランド力などの内部環境を分析することで、戦略策定やマーケティングの意思決定、経営資源の最適化などをおこなうためのフレームワークを指します。

※3 バリューチェーンとは製品の製造や販売、それを支える開発や労務管理など、すべての活動を価値の連鎖として捉える考え方のことで、競合と比較して強み、弱みを分析して事業戦略の改善策を探るフレームワークを指します。

図代表的なフレームワーク


【出所】グロービス・吉田素文. (2014)ファシリテーションの教科書―組織を活性化させるコミュニケーションとリーダーシップ(Kindleの位置No.1146).東洋経済新報社.Kindle版より筆者作成

2) 絞り込む(重みづけ):重要な論点に議論をフォーカスさせられるように、重みづけを行います。
・論点を絞り込むときは、「議論すべき論点」「議論すべきでない論点」「確認だけ必要な論点」「置いておく論点」の4つを意識すると良いです。


3) 深める:意見が分かれるポイントや結論に大きな影響を与える論点について、議論の活性化のために更なる深堀りを行う。質の高い議論をするための「議論の切り口」を用意しておくこと。

図論点把握のステップ

【出所】グロービス・吉田素文. (2014)ファシリテーションの教科書―組織を活性化させるコミュニケーションとリーダーシップ(Kindleの位置No.1269).東洋経済新報社.Kindle版より筆者作成

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