「相手を喜ばせる聞き方」とは
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話し手の言葉を待つ
「聞き上手とは、質問がうまい人」と思っている人も多いでしょう。
しかし、いくら質問をするといっても、畳みかけるように質問し、自分の聞きたいことが終わると話を変えてしまうようでは、相手は拍子抜けです。
人はつい自分が知りたいことばかりを尋ねてしまう
人はつい自分が知りたいことばかりを尋ねてしまう。
「私、雑貨屋を開こうと思っているのよ」と言われたら、つい「どこで?」「開業資金はどうするの?」と質問したくなるものだ。
自信があってもたじたじになりますよね。だがこの質問の仕方はまずいのです。
言った意図をまだ掴めていないから
何故なら、相手が「私、雑貨屋を開こうと思っているのよ」と言った意図を、まだ掴めていないからです。
相手はこの後、「主人が後押ししてくれたの」とのろけたいのかもしれないし、「今の仕事に嫌気がさして」とグチを言いたいのかもしれません。
ところが、「どこで?」「開業資金はどうするの?」と質問されると、話し手はそれに答えざるをえなくなり、話が意図から外れたコースに行ってしまう。
その結果、不満を抱えることになるのです。
本物の聞き上手は、共感を示し、話し手の言葉を待つ
本物の聞き上手は、「雑貨屋? いいじゃない」「へー、積極的ね」などと共感を示し、話し手の言葉を待ちます。
すると話し手は、自分が話したかったことを自由に言葉にできて、満足するでしょう。
相手の人柄に焦点を当てる
「明日ゴルフなんですよ」「小学生の子供が2人いて、言うことを聞きません」「仕事が営業なもので」と言われて、「私、ゴルフのことはわからないので」「独身なもので、子供の話はちょっと」「営業はしたことがないので」と、全く話についてきてくれない人がいます。
これでは、会話をできる人が限られてしまい、自分の小さな世界から出られないままです。
相手が話せるように、うまく質問すればいいだけ
こんな人は、自分がゴルフや子育ての話をしないといけないと思っているのかもしれないが、これは思い違いです。
相手が話せるように、うまく質問すればいいだけです。
コツは相手の人柄に焦点を当てること
コツは相手の人柄に焦点を当てることです。
ゴルフや子育てや営業そのものではなく、相手の人がどう感じ、いかに振る舞うかを聞かせてもらうのです。
例えば「ゴルフをする時は、どんな気持ちなのか?」「子育てで腹が立つのはどんな時か?」「営業で困った客とはどんなタイプか?」などと話を向けてみると、相手からエピソードが出てくるだろう。そこには感情があり、人間模様があり、ドラマがあるはずです。
「言葉」より「気持ち」を返す
「リンゴが好き」と言われたら「リンゴが好きなんだ」と返す「オウム返し」は、聞き上手になるための定番のテクニックでしょう。
だが、オウム返しを実際の会話で使うと、失敗に終わることが多い。
その原因は、気持ちが入っていないと相手に違和感を与えてしまうからです。
オウム返しじゃ「びっくりした気持ち」や「羨ましいを気持ちを返す」
聞き手が返すべきは、相手の言った言葉ではなく、気持ちだ。「今度、ドイツに行くんだ」と言われたら、「へー、ドイツですか」ではなく「えーーーっ、ドイツ!」「わーーーー、ドイツですか!」と、びっくりした気持ちやうらやましい気持ちを返す。
そうして初めて、相手の話すスイッチをオンに出来ます。
コツは、相手の話の中で気持ちが激しく動いた言葉に反応して、オウム返し
また聞き上手は、ここぞというタイミングでオウム返しを使い、会話を弾ませる。
コツは、相手の話の中で気持ちが激しく動いた言葉に反応して、オウム返しをすることです。
「給料が3万円上がったのよ」「わーーーっ! さんまんえん! 頑張ったね、すごーい!」といった具合だ。
まとめ キーワードに驚きや羨望などの気持ちを最大限にまで込めて反応
話し手の「ここは驚いてよ」「ここは食いついてよ」という期待を察して、キーワードに驚きや羨望などの気持ちを最大限にまで込めて反応すれば、相手は大満足です。
話すはずがなかったことまで話してくれるかもしれません。
【参考】野口敏(2023).『話していると楽しい人 しんどい人』.三笠書房