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【エッセイ】思ってたより残業って暗くなかった(そういう意味ではない)

最近めっきりテレビを観る時間が減ってさぁ。
と少し誇らしげに話す自分をたまに見かける。
確かにダラダラとテレビ画面に視線が向けられていた時間は減ってきてはいるのだが、その分その視線はスマホ画面に向けられていたりする。
そして、ダラダラとニューストピックスを貪り
『俳優の○○、あの涙の理由を赤裸々告白』なんてのに興味を惹かれタップしてみると
『俳優の〇〇が1日放送の【○△□特番】に出演し…』とテレビ番組の焼き直し記事であることが少なくない。
なんじゃい結局は間接的にテレビ観とるやないかと自嘲し、ならいっそテレビ観ようかとリモコンに手を伸ばすと
『最近、ネット上で話題の…』というフレーズがテレビから発せられたりして、自分は結局何発信の情報を得ているのだろうかと、頭の中は『たまごニワトリのアレ』状態になる。
テレビっ子だった子供時代はテレビから放り込まれる情報やらコンテンツやらを曇りなき眼で無条件に視聴していた。
今より相当コンプライアンスの低かったそれらは、今考えると雑だったが、それ故に刺激的だったのは確かだ。
芸能人達が集団で催眠術にかけられたりする番組に純粋に驚いたり
心霊写真やUFOの存在を検証する番組に夜中におトイレに行けなくなるくらい恐怖してたり
ゴールデンタイムの家族団らんの時間帯に、お姉さんが胸をポロリしていたり
テレビとお茶の間のパワーバランスって、今思うとベテラン社員と新入社員くらいの差があったように思う。
なので「テレビでそう言ってた」というフレーズには相応の真実味を帯びていて、友人と会話する際にそのフレーズが飛び出すと「じゃあ、そういうもんなのか」と納得せざるを得なかったような記憶がある。
と、前置きが長くなってしまったが
『常識』という知識がまだまだ不十分だった幼少期に、何となくテレビからの情報でそれらを埋めてしまっていたことに大人になってから気づくことがよくあった。
ドラマの中で会社員が残業をするシーンが出てきた時、
その大体は暗いオフィスの中でポツンと演者のデスクだけが照れされた状態でデスクワークしている演出がなされていた。
ザッピングして突然その場面に出くわしても、一瞬で「お、残業してるね」と分かったものだ。
そして己が社会人となって、いざ同じように日々残業をするようになったときに、違和感を覚えはじめる。
「アレ、思ってたより残業って暗くないぞ」
さらに、悲しいことにそれが深夜残業にまで突入してしまった時に、人のいなくなったブロックの電気は消灯するので近しい状態にはなるのだが
「アレ、それでもやっぱり残業ってそこまで暗くないぞ」
と、なったものである。
最近のドラマには疎いので知らないが、最近の残業シーンはどうなっているのだろうか。
気にはなるがリモコンに手が伸びる程ではない。


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