【ショートショート】行列鑑定士
彼はお目当てのラーメン屋に着くと少し離れた所からしばらくその様子を眺めた。店先には10人程度の行列が出来ている。
そして手帳に何かを書き留めると小さくため息をついた。列の最後尾につこうかと1歩踏み出したが、
どうしても気が進まずそのまま踵を返して来た道を戻りはじめた。
彼は行列のビジネスネームで『行列鑑定士』を生業としている。しかし世間での認知はまだまだ低い。
北は北海道、南は沖縄まで行列の噂を聞きつけては現地に赴く。
そして行列を眺め観察し、(彼はそれを『行列の香りを嗅ぐ』