【ショートショート】そして天使の羽根は落ちた
ベランダの手すりにもたれて夜空を見上げる少女。
そんな彼女の目の前にフワリと天使は回り込んだ。
「ところでリッコ。そろそろ決まった?」
「ちょっとピロちゃん邪魔。空が見えない」
「ここで何してるのさ」
「今夜は流れ星がたくさん見える夜なの」
パタパタと小さな羽根を動かし彼も夜空を見上げた。
「確か今夜は双子座のお祭りだったはず。こっちじゃ流星群て言うんだっけ。そんなことより早く願い事を言ってよ」
「別に無いから帰っていいよ」上を向いたまま彼女はそっけなく言った。
「何回も言っ