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南国あるある タイル事件(3)

2月13日の晩のことです。
「バン! バババン!」という音がして、タイルが次々に盛り上がってきました。
音がするたびに、盛り上がったタイルがさらに盛り上がります。

我が家はリンクハウスで、長屋のようにつながっています。
これはうちだけなのか? 近所の家でも同じことが起きているのではないか?
もしかしたら、「今タイルが盛り上がってきてさ~」「うちも~」なんて話をしている人が外にいるかもしれません。
とりあえず、外に出てみることにしました。
盛り上がったタイルを踏むたびに、メリメリとタイルにひびがはいりました。

外に出てみましたが、道には人がいませんでした。
隣の家は留守のようです。
まだ旧正月で帰省しているのでしょう。
隣の隣の家は車があるのでいると思うのですが、電気が消えています。
夜10時半ごろでしたので、声をかけるわけにもいきません。

私がおびえている間に、夫がネットでタイルについて検索していました。
その結果、「暑いとタイルが盛り上がってくることがある」とのこと。
たしかに、タイルが盛り上がったのは、家の中で一番暑い場所です。

夫に電話をかけて、
「まだ音がしてるよ! さっきよりもっとタイルが盛り上がってるよ!」
と言うと、「暑いせいだ」と。
私が「床の下に動物がいるみたいで怖い」と言っても、
「動物は出てこない。怖いなら自分の部屋にいろ」という返事。

タイルが盛り上がったのは、家の中央部分です。
2つのバスルームの間のスペースと、夫がオフィスと呼んでいる部屋です。
私の部屋は大丈夫だったので、夫の言うとおりに自分の部屋に引っ込むことにしました。

結局、「バン! バン!」という音は、断続的に1時間くらい続きました。
最終的には一番ひどいところで3センチくらいタイルが浮き、床が波を打ったようになりました。

私はベッドに入り、どうしてこんなことが起きたのかと考えてみました。
たしかに、夫の言うとおり、タイルが盛り上がったのは暑さのせいでしょう。
しかし、これがなぜこのタイミングで起きたのでしょうか?
それは、私たちが新しい家を見に行ったからかもしれません。

この家はこれまで15年間、私たちを守ってくれました。
ゲートのない(警備員のいない)エリアですが、一時帰国や帰省で家を空けても、泥棒に入られることはありませんでした。
この家はずっと私たちを守っていたのに、私たちがこの家を売って、新しい家に引っ越そうとすることに怒りを爆発させたのではないか。
私にはそんなふうに思えてしまうのです。
(つづく)


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