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サルコイドーシス検査入院日記(1996.1)

はじめに
 この文章は、私こと吉田柴犬がサルコイドーシスという特定疾患になった時、その病気であることを確定させるために入院して検査した際の日記である。当時は独身で30歳を過ぎたばかりの出来事だった。
 私の勤務先は巨大な社会福祉法人で、当時の所属部署は有料老人ホーム部門の本部、その隣に健康診断センター、反対側に巨大な総合病院がある。このお話はこの3つの建物の中のお話。
 もともと子どもの頃から大きな病気をしたことがなく、物心ついてから入院もしたことがなかった。それに注射が大嫌いで、病院や医者は苦手だった。
 この検査入院で正式に診断されたサルコイドーシスは、その後半年に1回、体中を検査してどこか悪くなっていないか調べるのを数年間続けた。肺のリンパ節の腫れもだんだん治まり、いわゆる自然治癒というか、通院の必要がなくなった。

( )の中、注:という記述は、後からの注釈(2022.5)である。

健康診断の再検査
 私がサルコイドーシスという病気の疑いがあると言われたのは、平成7年12月初旬の職員検診再検査だった。私の勤める社会福祉法人は病院や健康診断センターがあり、年2回、春と秋に職員検診を受ける。20代から脂肪肝と言われた私は必ず再検査になるのだが、このときは文書でなく、健康診断センター(注:職場の隣)より直接電話がかかってきた。担当の女性の方がいうには、肺に異常が見つかったので明日再検査をして下さいとのことだった。恐ろしい。
 自分では自覚症状も何もないけど、翌日、びくびくしんがら再検査に行くと、すぐにレントゲンを撮られた。そして、1階の受付で待つように言われた。とても長い間待ったような気がした、やがて名前を呼ばれて、診察室へ入っていくと、よく見かける先生が座っていた。机の上には、レントゲン写真がいくつか並び、先生の横に置いてあるファイルには肺ガン、、と書いてある。え、私、肺ガン?。あとで考えるとそのファイルは肺ガン検診という意味だったのだろう。とはいえ、その時には頭の中がパニックになってしまっていた。
 先生は何かデータを見ていたが、私が座ると、君は職員か?とたずねられ、そうですと答えた。何かドラマのようだなと思いながらも、先生の言葉を待った。あまりよくは覚えていないのだが、先生は私のレントゲンを見せて、他のレントゲンとして比べさせた。私の肺は比べるまでもなく真っ白だった。先生は、君の肺はリンパ管が腫れているのが分かるだろうと言った上で、ほぼ間違いないと思うが、サルコイドーシスの疑いがあると言った。サルコイドーシス?肺ガンではないようだが、一体それはどういう病気なのか?その後に先生がいろいろ説明して下さったが、理解できたのはその病気が原因不明で、そのため治療不能のため、特定疾患というものであるということだった。それで、どうすればいいんですかとお聞きすると、まず病院(注:となりが大きな病院)で検査してサルコイドーシスかどうかを調べる必要があるとのことだった。まあ、そんなに深刻になる必要はないとも言われた。それから名誉院長のS先生がその専門だということもおっしゃった。

病院の呼吸器内科受診

 診察室を出て、呆然としていると、受付で名前を呼ばれ、レントゲン写真のファイルも渡され、そのまま隣の病院の呼吸器内科に連れて行かれる。また大分待った後、名前を呼ばれ、診察室に入ると、Tという先生が診察をして下さった。診察といっても、結局はレントゲン写真を見て、多分サルコイドーシスの可能性が高いから、検査入院が必要でしょうということだった。ここでもこの病気にかかるとどのような症状が出るのかは良く分からなかった。
 職場に戻り、看護婦のkさんにサルコイドーシスの疑いがあると言われた、と告げて、仕事を再開したが、自分でも動揺しているのが分かった。あとは親に何と告げようと思ったりした。仕事が終わって、車で帰りながら考えたことは、情けないことに今のうちに美味しいものを食べておこうということだった。多分その日はカキフライ定食を食べたような気がするが、その後、数日間は食べたいものばかりを食べていた。(注:まあ、いつものことだけど。)

セカンドオピニオン
 その後、看護婦のkさんに紹介してもらい病院の看護婦さんに話を聞き、サルコイドーシスの知識を得ることができた。さらには、その看護婦さんの計らいで、呼吸器内科の科長のドクターの話も聞くことができた。(注:いまでいうセカンドオピニオンだけど、その頃、自分から希望して他のお医者さんの話を聞く、なんて考えられなかった。)
 呼吸器内科では、検査やCTスキャンを行い、サルコイドーシスの疑いがやはり強いので、正月明けに検査入院をすることになった。その頃には自分でも気持ちが落ちつき、病気についてもある程度説明ができるようになったので、ようやく親にも話すことができたが、それは健康診断センターに呼び出されてから1週間後のことだった。

情緒不安定の原因
 今になって考えると、あの時どうしてそんなに精神的に不安定になってしまったのだろうと思う。幸いなことに私の職場には相談できる看護婦がいて、隣接する同じ法人の総合病院で受診でき、検査入院もできた。そこには「サルコイドーシス外来」まであるという、サルコイドーシス疑いの人間にとっては、これ以上ないぐらいの恵まれた環境だった。まさに不幸中の幸いというものだろうと思うけど、それでもいろいろな心配をしたのも事実である。
 まず、サルコイドーシスと言われたものの、本当はもっと悪い病気なのではないか?という疑念である。そんなことはあり得ないのだが、一人でいるとそんなことを想像してしまっていた。次に自分はあとどのぐらい生きられるのだろうということもよく思った。これも医学的にこういう病気と診断されたわけでないので、漠然と感じたことである。
 あと、体の調子が悪いように感じたことが何度もあった。これは精神的なものからくるのか分からなかったけど、たとえば、熱っぽかったり、肺が苦しいような気がしたり、お腹が痛かったりした。(注:「病は気から」というけど、実際にはどこも悪くなかった。)人間は、病気と言われると、なんとなく具合が悪いような気がするのだ。
 その後、年末がきて、正月はいつも通り過ごしたので、精神的には大分安定してきた。正月休み明けの8日の月曜日には入院の用意をして出社したのである。

入院日記

平成8年
1月8日(月)雨

 荷物を持って会社に来る。入院の連絡が来ることになっていたけど、本当に来るのか心配だった。10時前に呼吸器内科のF婦長という方から11時に入院受け付けへ来るように電話連絡がある。

11:00 (入院受け付け)
 あらかじめ記入しておいた書類と診察券、保険証、互助会証(注:勤務先の福利厚生組織)を渡し、2〜3分待つ。とても多くの人たちが待っている。やがて名前を呼ばれ、保険証と互助会証は返してもらう。
 栄養科から食事の説明があるとのことで、またソファで待つ。栄養士が食べられない物はあるか、選択メニューの記入方法はわかるか、このジュースは一日のビタミンがすべて採れるので、昼食に出るので必ず飲め、、、と細かい説明をしている。私も説明を受ける。選択メニューは朝と昼で、いわゆるフルセレクトですごい。
 またソファで待っていると、やっと病棟へ案内される。所要約15分。
 病棟の前のソファでまた待たされたけど、もう一人のおばさんはもう慣れているようで、今回は個室しか空いていない、1日6000円は大変だ、と言っていた。入院しても費用の心配をしなくてもよいのは不幸中の幸いというやつだなと考える。(注:勤務先の補助、自己負担は原則戻ってくる)があるのと、サルコイドーシスとなれば、特定疾患のため、治療費が免除になる)

11:30 (10病棟7号室)
 6人部屋に入院する。思ったより、収納スペースはある。持ってきたバッグ2つ分を物入れに入れ、本を机の上に出す。こういう時じゃないと読まない本と好きな本を持ってくる。まず、入院のために買った3冊「”超”勉強法」、「遠州方言おもしろ読本」、「インターネット」、そして読もうとして何度も挫折を繰り返している「ワイルドスワン」(上・下)、よく分からなくて読めない2冊「愛は忍び耐える」(鈴木唯男著)、「中沢新一の宗教入門」、お気に入りの3冊「魯山人料理控」、「不思議の国のアリス」(傑作!)、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」である。パジャマ(というのだろうか)に着替えると病人らしくなったような気がするから不思議だ。
 隣のTさんという40代ぐらいの男性患者にあいさつする。話の途中でTさんあてに医師(以下Dr.)が訪ねてきて、2週間という入院期間の見込みを告げる。するとTさんは糖尿の治療もあるのだから、1カ月は入院してちゃんと直したい、こういう仕事(不明)をしていると休む機会はめったにない云々と言う。Dr.は肺と並行して糖尿も治療して、もし2週間で駄目なら延長する旨を説明し、Tさんは納得した。説明の仕方には好感が持てた。
 他の患者さん4名は皆寝ている。酸素のシュワーという音だけが部屋の中に聞こえる。窓の外を見ると私の働くK本部のビルのすぐ側だということが分かる。複雑な気分になる。

11:55 (初めての昼食)
 スピーカーから新幹線が東京駅に着く時に鳴るようなオルゴールの音がして、食事の時間であることが告げられる。入院してまだ20分の私が食べられるのかどうか不明だけど、思いついて、持ってきた箸、スプーン、カップを出す。

12:05 (採血)
 看護婦(以下Ns)が来て採血をするとのこと。カップも二つ渡され、尿と便も採るように言われる。

12:10 (昼食)
 どうやら私も昼食を食べることができるらしい。メニューは五目ソバ、ほうれん草のお浸し、生野菜のヨーグルトかけ、ジュース。ソバの麺はさすがに柔らかいが、量も多く、少々残す。出汁も薄味で結構美味しい。ほうれん草はやはり薄味の出汁がかけてあって美味。生野菜もヨーグルトと食べるのは、、、と思ったが結構美味。ジュースは入院受け付けでも説明を受けた栄養科K科長の信念の現れのジュースだろう。ニンジンの入ったオレンジジュースの味でまあ、飲める。そばだけ飽きて少し残すが、もともと汁ソバが苦手なためである。

12:30 (はみがき、採尿)
 洗面所へ行き、歯を磨く。ついでにおしっこだけでもとろうと思うが、15cc程しか出なかった。これで足りるのか不安になるが、置けという場所に置いてくる。
 病室に戻ると向かいの方(ずっと寝てた)が起きていて、上半身を起こしているので、挨拶しようとするが、呆然としている。「ごはん、食べますか?」と声をかけると、「これは朝食、昼食?」と聞かれたので、「昼食です。」と答えた。とりあえず、M氏寄贈の「ゴーマニズム宣言差別論スペシャル」を読む。

13:00 (睡眠)
 ゴーマニズム読み終わる。神経が疲れる。しかし、世の中にまだ部落差別があるというのはどうも実感できない。差別というのが人間の基本的な感情であるということが分かる。そういう私も心の中ではWindows95を差別しているが、これは人格を持った人ではないから少し違うと自分に言い聞かせる。しかし、待つのも疲れる。誰も説明に来ない。寝る。

14:20 (検温)
 Nsに起こされるまで熟睡する。体温を測り、血圧、脈を採られる。自分がK本部の職員であることなどを話すが、やはり場所は知らなそうである。感じのいい田舎のおねーちゃんという印象。名札が見えないので、名前は分からず。担当のDr.がK先生であることを告げられ、入院生活のしおり、病棟見取り図がケースに入ったものを読んでおくようにとのこと。

14:45 (KDr.)
 K先生がベッドに来る。検査の概要について知らされる。肺の気管支鏡検査(肺生検・BAL=水で肺を洗う!!の2種類)、眼科、心電図、内蔵エコー、全身炎症反応等々。若い先生だが、好感が持てる。検査の結果の返し方について聞かれ、その都度知らせて欲しい旨を伝える。聴診器と触診を行う。そして、動脈採血をするので、20〜30分ぐらい横になっているように言われる。ベッドで横になっていると寝てしまう。

15:30 (動脈採血)
 K先生に起こされる。左手の動脈から採血される。5分間ほど強く押さえるよう指示される。痛かった。
 読みかけのまま持ってきた「超勉強法」野口悠紀雄著を読む。この本のいう3原則、1.面白いものだけ勉強しろ 2.8割できたら次へ進め 3.全体を理解しろというのは何事にもあてはまる法則のような気がする。この本の面白さはこの著者の現実的で論理的なもの考え方とかライフスタイルにあると思う。
 自分にあてはめてみると、英語、国語については共感できるところが多い。苦手な数学はできないのも自慢で、あえて勉強しなかったような気がする。
 これを読んで感じるのは、今だけが学歴偏重社会であるわけでないということである。著者は、日本は勉強することがきちんと評価される珍しい社会だと言っているが、確かにそうだと思う。学歴社会だと批判する人に限って、学歴=能力と考えて、学歴だけで人を判断する傾向にある。資本主義社会で労働に向く人材を判断する基準のもっとも妥当なのが学歴だというだけであることが分からないのである。

16:00 (心電図、肺活量、レントゲン)
 検査を3つすると言われ、1階の検査受け付けへ行く。ソファで待っていると、検査技師のAさん(知り合い)に会う。腹部エコーの予約が入っていることを教えてもらう。やがて呼ばれて心電図をとり、肺活量の検査をする。検査をして下さったYさんという女性の技師は私が職員と知っていろいろ話しかけて下さる。
 終わって画像診断部へ行き、名前を告げると部屋の前で待つように言われる。名前を呼ばれると、研修でお世話になっているKさんだった。あいさつをして、レントゲンを撮ってもらう。入院ですか?などと会話をするが、研修の講師の時とは全く感じが違い、プロという感じの対応。帰りに売店でウーロン茶を買う。本屋は16:30で終わっていた。売店には読めそうな雑誌はなかった。

17:30 (お見舞い)
 職場のKさん、Kさん、Mさん、Yさんがお見舞いに来てくれる。Kさんには頼んでおいたミネラルウォーターとポカリスウェットを持ってきてもらう。

17:50 (お見舞いその2)
 Hさんがお見舞いに来てくれる。オレンジジュースをもらう。

18:00 (夕食)
 メニューはごはん、ひれかつ、厚揚旨煮、りんご。食堂で食べる。おかずは冷えているが、結構おいしい。米もおいしいと思う。カロリーは750kcalと書いてある。この2300というのが一日のカロリーか?全部食べる。

19:00 (家へ電話)
 家へ電話。両親は10日にお見舞いに来るとのこと。病棟の呼び出しの電話番号を伝える。10日は遅い方が良い(肺生検の後のため)ことを伝える。

20:00 (お見舞いその3)
 布団に入って寝ていると、M準備室のお調子者Iさんがお見舞いに来て下さる。職場で誰も食べないで残ったようなあられを土産にいただく。お見舞いは可愛いおねーちゃんか、こういう能天気な男が向いている。30分以上も話す。
 夜の検温は37.4度。微熱がある。本を読むか、何か書くかしかなさそうなので、お見舞いに来て下さるのはとてもうれしい。Iさんでもそう思うのだから不思議だ。

21:00 (消灯)
 Nsが回って、部屋の蛍光灯が消される。しばらくはスタンドの光でダカーポを読むが、すぐに寝てしまう。夜中の3時ぐらいに目が覚めるが、またすぐ熟睡する。

1月9日(火)雪のち晴

6:00 (起床)
 オルゴールが鳴り、起床時間であることが告げられる。一度起きてベッドのカーテンをあけるが、まだ眠いので寝る。検温は35.9度。熱下がる。

6:45 (お茶のサービス)
 ヘルパーさん(以後Hp)が各部屋を回り、お茶(白湯)をついで歩く。これは朝晩2回あるようである。私もカップにお茶をもらう。薄いお茶だが、温かいので少し飲む。

7:30 (朝食)
 オルゴールが鳴り、朝食。食堂へ。カウンターへ行くと、名前を言わないのにセットしてくれる。不思議、もう名前と顔を覚えているのか?昨日の夜配られて記入した食事の選択用紙はいつ回収されているのかも不明。
 メニューはごはん、◎南瓜味噌汁、◎大根辛炒め、○春菊お浸し、牛乳。南瓜の味噌汁は初めて食べるが、美味しい。大根辛炒めは大根と豚肉の炒め煮であるが、温かく量も多く、美味しい。春菊は大好物だが、上にかつおぶしをかけたい。満腹となる。病院の食事を続ければ痩せるとみんなに言われるが、本当だろうか。間食は一切しないことにする。

8:00 (洗顔・はみがき)
 このまま職場に行けば働けそうな気がするが、寝る。

8:20 (採便失敗)
 昨日とれなかった便をとろうとトイレにいくが和式は使用中。しかたなく、洋式でできるか分からなかったが、前寄りに座り、土手のところにのっけようとしたが、重みですべて水没して失敗する。すべて水の泡になる。ものすごい敗北感。

8:40 (清掃)
 清掃が始まり、一時、廊下に出る。10分ぐらいで終わる。また、寝る。

10:10 (心臓エコー)
 起こされて心臓エコー検査と言われ、1階検査室へ。ゼリーのついた小さめの機械で胸をなでられる。10分ぐらいで終わり、病室へ戻る。ダカーポを読む。

11:00 (RI検査)
 RI(ラジオアイソトープ)検査といわれ、核医学検査室へ行く。ここは前を通るたびに、核って細胞の核とかデオキシリボ核酸とかそういう核なのだろうか、それとも原子力の核なのだろうかと思っていたが、まさか自分がその検査を受けるとは思わなかった。専用のスリッパに替え、待合い室で待っていると壁に検査の仕組みが説明してあるので、読むと原子力の方面の核であった。核汚染とかもんじゅとかどうねんとかいう言葉を思い浮かべるが、検査の仕方は平和的で放射性物質を含む薬品を注射して一定の時間を置いたあと撮影をするらしいことがわかる。(あまり平和的とはいえない気もする)
 すぐ名前を呼ばれ、注射をされ、10〜15分ぐらい待ってCTの小さいようなもので胸の撮影をする。手を上に上げていなければいけないため、疲れる。男性の技師と、若い女性の技師が2人でやるのだが、どうもやり方を教えながらやるらしく、もたもたしている(ように感じる)。これが男と男、女と女、男と若くない女の組み合わせならこうは思わないような気がするが、途中で昼休みの順番まで話をしているのが聞こえ、許せんと思う。女の顔を見てからでも遅くはないと思って、終わったあと見ようとするが、見えなかったので、ブスだろうと思うことにする。
 病室に戻る途中で、院内の本屋の人に会い、どうしたの?と言われる。(いつも職場に雑誌を届けてもらっている)病室に雑誌を届けようかと言ってくれるが、礼をいって断る。

12:00 (昼食)
 メニューは◎ちらしずし、△赤出しなめこ、◎疑似豆腐、ジュース。ちらしずしはとても美味しい。疑似豆腐というのはネーミングがおかしいのではないかと思う。だって豆腐の料理なのだから。
 左隣の患者さんはMさんといって、ガソリンスタンドの夜勤をしていて、今月で定年退職を迎える方。喘息の定期受診で来たら、安静で即入院となったそうだ。この方と右隣の糖尿のTさんが国立病院もS(私の勤める社会福祉法人)になるらしいとうわさ話をしている。Mさんは老人の住宅になるらしいととか結構知っているが、市がやるといったことは知らないようだ。 
 売店で買ってきた週刊文春を読む。顔面相似形という企画が最高。シャ乱Qと上沼恵美子が似ているのと、羽田元総理と村上春樹が似ているのは嬉しかった。

13:30 (着衣交換)
 パジャマとついでに下着を替える。昨日は風呂に入れなかったので、眼科が終わったら入ろうと思う。

13:50 (ツベルクリン反応)
 ツベルクリン反応の注射を左手にされる。マジックで○を書かれたので、もしかしてお風呂はと、尋ねると2日間入っては駄目と言われる。体温36.6度、血圧高め。
 「遠州方言おもしろ物語」を読む。忘れていてなつかしい方言もあったが、やはり、今ひとつピンとこないのは、私が福島県生まれでネイティブスピーカーでないせいか。これは是非Kさんにあげよう。

14:40 (眼科)
 眼科へ行く。視力検査をするが、診察はDr.の都合で明日と言われ、戻ってくる。

17:00 (お見舞い)
 M準備室の新人(Kさん、Yさん、Nさん、Mさん、Nさん)がお見舞いに来てくれる。やっぱり女の子の見舞いは嬉しいが、5日に分けて1人ずつ来てくれるともっと嬉しいと思う。

17:40 (お見舞い2)
 Kさん、Nさん、Yさん、Hさんがお見舞いに来る。MさんからInternet Magazineを貸してもらう。

18:00 (夕食)
 メニューは、ごはん、○シャンテリー、◎大根味噌かけ、○サツマイモキントン、◎キノコ煮込み。シャンテリーとは白身魚の蒸したのにタルタルソースをかけたもの。大根味噌かけはとても美味しいが、ふろふき大根というのが一般的な名称ではないのだろうか。

19:00 (お見舞い3)
 歯でも磨こうと思い、洗面所へ歩いていると、Iさんが向こうから歩いてくる。偶然ではなく、お見舞いに来てくれたようだ。50分ぐらい話をする。入院手術体験者だけに、ある種の共感をもって話ができて嬉しかった。

20:10 (就寝準備)
 向かいの方(Sさん、大分悪そう)に目礼してカーテンをひく。右隣のTさんも「カーテンをひいていいですか?」と声をかけてきたので、「お休みなさい」と答えると、「まだ、私は寝ませんよー、8時じゃ寝れないよー」と言われた。
 本を読みすぎて飽きたので、廊下の隅に置いてある、号遅れのぼろぼろの雑誌、漫画を手当たり次第読む。週刊ポスト、現代、大衆、漫画ゴラク、フライデー、フォーカス、そして女性自身。

20:40(検温)
 Nsより明日の昼食は禁食です、と言われ、札をベッドにかけられる。たしかカレーライスを選択したと思ったが、がっかりする。体温は36.6度。
 夜中に右隣のTさんがナースコールでNsを何度か呼ぶ。熱が39度近くあるらしく、寒いを連発している。気温が下がっているのか、少し寒い気がする。

1月10日(水)晴れ

6:00 (起床)
 放送には気づくが、起きられない。検温で起きる。36.4度。平熱。また寝る。

7:00 (朝食)
 放送で起きて、寝ぼけたまま、食堂へ行く。オルゴールを聞くと食事だと思うようになるのは、パブロフの犬になったような気分である。朝食のメニューは、ごはん、◎豆腐の味噌汁、◎きんぴらごぼう、○大豆卸和え、◎牛乳、◎缶みかん。味噌汁はだしがきいていて美味しいし、きんぴらも美味。大豆卸和えは名前の通り、大豆を煮たものに大根おろしをかけたもので、淡泊すぎるか。

8:00 (清掃)
 室内の清掃は毎日行われるようだ。

9:00 (清拭)
 体を拭くタオルが配られる。風呂に入れないのでもらう。熱いタオルで体を拭くがあまり気分は良くならず。昨日風呂に入っておけばよかったことを悔やむ。

10:00 (洗髪・洗顔)
 我慢ができなくなって、頭だけでも洗おうと思い、浴室へ行くが、誰かが入っている雰囲気。職場(上に研修施設がある)で入ろうと思い、5階へ行くと、ラッキーなことにKさんがいるので、入院している経過から説明し、シャワーを使わせてくれるよう頼む。K課長の使った部屋を使わせてくれる。パンツだけになり、体を濡らさぬよう、頭と顔を洗う。備え付けのドライヤーで髪を乾かす。まるで、私のために作られた施設だと勝手に考える
 病棟に無断で来たので、早めに戻ろうと思うが、Kさんが3月で退職することを聞かされ、30分以上も話し込む。もう一度お礼を言って、病室に戻りかけると、今度は、5階にホテルマンのIさんがいるので、挨拶する。「どうしたよー」(遠州弁)と言われ、しばらく話をしてから病室へ戻る。

11:30 (インターナショナル)
 右隣のTさんに変わった見舞い客がある。どうも若い女性のようだが、アジア系の言語を話し、Tさんもその言語で答えている。何を話しているのか分からないが、親密な感じはする。向かいのSさんはNsから喘息について説明を受けている。だんだん内視鏡検査の時間が迫ってくる。
 昨日、K先生からは麻酔について、内視鏡で何をするか、説明をしていただいているが、さすがに気が重い。お昼のオルゴールが鳴っても、食堂に行けないので、寝てしまう。

12:50 (内視鏡検査)
 Hpが内視鏡の順番を告げに来る。上着を着て、ティシューをもって、看護室の前に行く。Hpより終了後、2時間は安静のため、帰りは車椅子と教えられる。内視鏡検査室へ着くと、外のイスで待つようにと言われ、待っているとすぐ名前を呼ばれる。部屋に入ると、床屋のイスのようなものに座らされ、麻酔の説明を聞く。(午前に説明に病室まで来て下さったそうだ)
 まず、吸入器で麻酔液を15分ぐらい大きく吸入する。すると、舌がだんだん痺れてきて、重くなってくる。吸入中、肩から注射をされ、気分を和らげるのと、唾液を少なくするためと説明される。吸入が終わると、Dr.が麻酔液をシュッシュッと開いた口の奥にかける。これは舌にガーゼを巻き、自分の右手で舌を引っ張って、大きく息を吸ったり吐いたりする。その合間にシュッとやるのだが、当然オエッとなってしまう。何回もオエッとした後、だんだん麻酔が利いてきたのかいくらでも大丈夫になる。そして唾液が全然出ない。
 次に歩いて廊下をはさんだ部屋に移動し、あおむけに寝る。ここはかなり仰々しい部屋で、機材がたくさんある。口に蛇口のようなものをくわえさせられ、目はガーゼで覆われる。気配で周囲に4〜5人の人たちがいることが分かる。すると、Dr.らしき人が、始めることを告げ、口の中を管が通っていく。もっと、ゲッとなると予想していたが、麻酔のせいか、ほとんどならない。何か話しながら中の管をいろいろ動かしているのがわかる。
 急に緊張感が走ったので、私も緊張する。どうやら胸に発疹らしきものが出始めたらしい。自分としては緊張したり、気温変化でよくなることがあると言いたいが、しゃべれない。そのうち、だんだん口の中の舌の感覚が戻ってくるのを感じてきた。何回かせき込むが、今、せきしちゃ駄目と言われる。がまんするのはとても苦しい。
 ようやく管を抜かれたので、やっと終わったと思ったら、Dr.が「吉田さん、半分終わり。」と言うので、目の前が真っ暗になる。「麻酔が切れる前に急いでやろう」といいながらも、アレルギーの点滴をしたりした後、もう一度内視鏡を入れられるが、今度は我慢できず、ものすごくせき込む。「麻酔が切れた」と言われ、すぐ抜かれる。あと半分はやり直しと告げられる。目のガーゼをとってもらう。のどがおかしくて、つばがのめない。飲み込まないで、吐き出すように言われ、ティシューに出すと、血が混じっている。
 K先生もいて、2つの検査をする場合は麻酔が切れる場合もあるので、来週、また生検をやりましょうと言う。私は肺を水で洗う方がまだだと何故か思いこんでいたのだが、そうではなかったようだ。できればK先生もいることを事前に教えて欲しかったと思った。点滴をつけたまま、車椅子で病室まで戻り、酸素までつけられて寝る。

16:00 (2時間後)
 起きると、点滴は終わりかけで、Nsが来て、注射を2本入れて、管の一部はつけっぱなしにして、テープで止めてくれる。アレルギー用のようだ。口の中が何ともいえず、気持ち悪い。右隣のTさんは氷まくらを所望する。熱が高く辛そうだ。
 寝たまま「インターネット」を読み始める。きっと難しいか、面白くないか、どちらかだろうと思って読むが、分かり易く、面白い本だった。特に鉄道の路線ネットワークにたとえ、「インターネットは簡単な技術ゆえに普及する」という点や、「会議や投票がインターネットでできる、というよりインターネットのほうがよい結果になる場合が多い」という点が面白い。
 在宅勤務の時代が来るという人がいるが、私はそうは思わない。少なくとも一般サラリーマンは、どんなに通勤が辛くても、一つの場所に集まって働くことを望むだろうと思う。特に日本では職場は純粋に労働だけを行う場ではないからである。(悪い意味ばかりではない)

16:20 (眼科受診)
 眼科から呼ばれる。車椅子で行くように言われ、Hpに連れていってもらう。受診の結果、虹彩(という字で合っているか)に若干炎症があるが、サルコイドーシスの場合はぶどう膜(目の裏側らしい)に炎症が出やすい。点眼薬を2つつけて、1週間様子をみると言われた。1つは炎症を押さえる薬、もう1つは瞳孔を開く薬とのこと。帰りは病棟の人がなかなか迎えに来てくれず、10分以上も待つ。病棟に戻ると、前を父親が歩いていた。

17:30 (両親見舞い)
 これまでの経過を説明し、特に困ったことはないことを伝える。母親が金を置いてこうとするが、使い道もないし、ここには保管できないからと断る。後で後悔する。しかし、なるべく遅く、午後7時以降の方がよいことを伝え、向こうも了解しているのに、何故こんなに早く来るのか不思議である。
 途中、Hさん、Hさんがお見舞いに来る。女性自身とパズラーを下さる。Tさんからメッセージもいただく。感謝。両親は10分ぐらいで帰る。 
 病室に帰るとKさんからクロワッサン(食べる方の)と飴、Mさんから「美味しんぼ53巻」の差し入れ。感謝。

18:00 (夕食)
 今回はさすがにベッドで食べる。メニューはごはん、◎さわらのみそ漬け、◎ひじき、◎くるみ和え、○牛乳かん。のどに食べ物を通すのは少し不安だったが、痛みはなく、通常通り食べる。昼抜きだったので、おかわりまでして全部食べる。おかずはみんな特に美味しく感じた。右隣のTさんがイチゴを下さる。3こ食べる。クロワッサンも1こ食べる。

18:30 (K先生)
 ベッドにK先生が来て、来週、もう一度内視鏡を行うこと。心臓のエコーは異常なしだったことを告げる。また、発疹の話になって、何かあったら言って下さいとのこと。また、寝てしまう。起きて、「美味しんぼ」を読み、また寝る。

1月11日(木) 晴れ

6:00 (起床)
 時間を確認しようとして腕時計を見ると電池切れなのかとまっている。道理で昨日の夜、まだ午後10時30分かと驚いたはずだ。4時でとまっていただけだった。今日の天気を確認しようとして、カーテン越しに窓の外を見ると、日の出がとてもきれいである。写真を撮りたいぐらいである。
 しばらく外を見ていると、左隣のNさんと顔があった。奥なので、隣とはいえカーテン越しだったので、初めに挨拶して以来である。すると、Nさんはベッドサイドのイスを指して、どうぞどうぞというので、お言葉に甘え、座る。Nさんの話によると、彼はガソリンスタンドで働いていて、今月で定年。18才で戦争に行って、シベリアにも3年いた。本当に無茶して働いたという。明日退院だから、Nsに今日いっておいて、窓際に移してもらいなさいとしきりにすすめてくれた。70才になってから、会社の方針で危険物取扱主任者の試験を受けなければいけなくなって、勉強したという話をしばらく聞く。30分ぐらいでどうやって切り上げようか考え始めたところでNsが検温に来て、助けられる。体温は36.4度。

7:30 (朝食)
 メニューはごはん、◎油揚げの味噌汁、○納豆&うずらの卵、○お浸し、◎生卵、◎牛乳。納豆と生卵とくればご飯は一杯では足りない。まず、茶碗にすこしよそい、生卵かけごはんにする。生卵を少しだけかきまわして、醤油をちょっと垂らし、ご飯にかける。うめー。すぐたべてしまう。味噌汁も美味しい。お浸しもまあまあだ。もう一度、ご飯をよそってきて、納豆を糸だらけになるまでかき混ぜる。真っ白になったら、薬味の葱をいれ、うずらの卵をいれ、醤油(ついてくるたれは邪道)を少しずつ加える。うめー。今日の朝食は今までのベストだった。満足。

9:30 (心電図)
 24時間の心電図をとると言われ、1階の検査室へ。肺活量検査の時と同じ女性の技師の方に、少しは入院生活も慣れたかと聞かれながら、胸に線をつけられ強力なばんそうこうで貼り付けられる。24時間つけて、行動も記録するよう、記録用紙も渡される。腰にウォークマンのようなテープレコーダの一種をつけて、病室に戻る。村上春樹の「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を読み始めるが、すぐ寝てしまう。

11:00 (検温)
 起こされて体温と血圧を測る。36.8度。今度はもらった女性自身を読む。皇室事情に多少詳しくなる。前から天皇が一年任期の抽選制というのはどうかと考えていたが、それでは女性誌は盛り上がらないだろうと思う。
 しかし、隣の家の詮索をするのも考え物だが、全く遠い英国王室、皇室、芸能人の話が好きな人が多いのは何故か不思議な気がする。職場に電話して、Yさんに官製はがきとティシューのボックスを依頼する。仕事については驚くほど心配がない。

12:15 (昼食)
 メニューはごはん、、◎魚の煮付け、○中華風もやし和え、◎バナナ。きんめの煮付けは美味しい。きれいに煮て、さらしネギを散らしてある。

12:55 (久保先生)
 K先生がみえ、心電図検査の話と内視鏡再検査の話をする。アレルギーの注射は抜いて良いとのこと。

15:50 (コーヒー差し入れ)
 Kさん、Kさんに寝込みをおそわれ、カセットコーヒーをもらう。コーヒーは飲んでいないので結構嬉しい。職場にある私のマッキントッシュの調子が悪いらしい。見に行かねば。

16:00 (懸賞はがき書き)
 懸賞はがきの記入を始める。

16:20 (マックのメンテナンス)
 職場へ行き(徒歩1分)、マックを少しいじる。どこも悪くなさそう。このまま仕事も出来そうだが、病室に戻る。

17:10 (再び懸賞はがき)
 再び懸賞はがきを書く。

18:00 (夕食)
 メニューはごはん、△とり唐揚げ、◎信田煮、○白菜浅漬け。珍しく、とり唐揚げはべたべたしている。油の温度が低いのでは。信田煮とは青菜と油揚げの煮浸し、美味しい。食後にもらったカセットコーヒーを入れる。

18:30 (検温)
 36.1度。明日は腹部エコー、胸部CTの検査のため、昼食は終わってからと告げられる。

19:00 (家へ電話)
 家へ電話する。特に伝えることはなく、まだ問題なしという。

21:00 (消灯)
 夜は初めて眠れない。昼間寝過ぎだろうか。向かいのSさんの具合が悪そうで、何度もナースコールでNsを呼ぶ。午前1時すぎに寝る。おかげで、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」と「愛は忍び耐える」を読み、サライとdancyuを読む。dancyuのせいで、生姜焼定食が無性に食べたくなる。

1月12日(金) 晴れ

6:00 (起床)
 また起きられない。眠い。Nsより今日の検査の腹部エコーと胸部CT、昼食はその後と再確認あり。

7:30 (朝食)
 メニューはごはん、○芋味噌汁、○厚揚野菜煮、○目玉焼き、○牛乳。さすがに少し飽きる。

 9:00 (シーツ交換)
 エコーを呼ばれるが、心電図の機械をまだつけたままと言うと、その後にしてもらったと言われる。心電図はなかなか呼ばれないので、Nsがばりばりと剥がしてくれる。痛かった。

11:30 (K先生)
 日曜の外泊許可を乞うが、2泊でもよいと言われる。しかし、居心地がいいので、こちらから1泊にしてもらう。昔の人は住めば都とはよくいったものであると思うが、少し違うような気もする。

11:45 (懸賞はがき下請け依頼)
 Kさんが官製はがきと懸賞雑誌を持って現れる。ウィークエンドにパワーブック(ノートパソコン)を借りられるよう依頼。

12:20 (Hさん見舞い)
 仕事が午前中とのことで見舞いに来てくれる。

13:10 (Yさん見舞い)
 仕事の話もあって、Yさん見舞いに来てくれる。組合の通販カタログを貸してもらう。

14:10 (腹部エコー)
 呼ばれて1階へ降りる。担当は時々一緒にテニスをするAさんだった。いろいろ話しながら、ゼリーのついた機械を腹に当てられる。終わると、カルテを持って画像診断部まで送ってくれる。

14:30 (胸部CT)
 全部で20分ぐらいか、造影剤か何かを注射をしたりして撮影する。どうもCTという検査は精神的に疲れる。終わると気を取り直して、売店へ行き、ウーロン茶を買う。OさとAさん(直属の上司)に会う。Aさんには巨大な年賀状を送ったのだが、無事着いたようで安心する。本人は絶句して喜んで下さった。390円も使ったかいがあったと思う。

15:20 (遅い昼食)
 病室に戻り、食堂へ行って昼食をもらう。レンジで温め直してくれる。メニューはレーズンパン、○魚マスタード焼き、◎ひじきサラダ、○グレープフルーツ、○ヨーグルト、◎おやつのクッキー。パン3こは結構多い。魚のマスタード焼きはマスタードの味はしない。ひじきのサラダはしそ味のドレッシングがとても合う。

16:00 (検温)
 37.0度。微熱。

16:20 (洗髪・洗顔)
 またK本部の5階へ行き、Kさんに頼んでシャワーを使わせてもらう。病室へ戻ると氷枕が置いてある。まずい。シャワーを浴びている場合でなく、寝た方がよいのだろうか。

16:45 (Yさん登場)
 となりの6号室からYさんという50がらみの小柄なおじさんが移ってくる。何でも人間関係で移ってきたと本人が言っているが、うるさそうな予感がする。

17:00 (Kさんお見舞い)
 Kさんにシャワーの礼が言えなかったと思っていたら、病室まで来てくれた上にお見舞いまで下さった。お金はお返ししようとするが、本でも買いなと言うのでお言葉に甘える。中の手紙にはババの気持ちですと書いてある。感謝。マイケル・クラントンのロスト・ワールドを買わせていただこうと思う。

17:40 (パワーブック登場)
 売店で買った文春を読んでいると、Yさんがパワーブックを持って来てくれる。今日は財務課の新年会とのこと。

18:00 (夕食)
 メニューはごはん、◎さしみ、○けんちん煮、△とろろ昆布汁、◎小倉煮。食べて3時間しか経ってないが、ご飯を少な目によそった以外は全部食べる。さしみは陶器製の角皿の上につまを敷いて、上にまぐろと白身魚。結構美味しい。あと、かぼちゃと小豆を煮た小倉煮は甘くなくて美味しかった。

20:30 (検温)
 36.4度。熱下がる。明日、9時からガリウムシンチ検査というのをやると言われる。こわそうだ。
 目薬をつけ忘れる。周囲の音が気になるため、耳栓をして寝る。熟睡。途中、右の耳栓がとれてしまいどこにいったのか分からず、かまわず寝る。

1月13日(土) 晴れ

6:00 (起床)
 よく寝た。ぼーっとしてると、右向かいの方が夜眠れるか聞いてくる。よく寝てますと正直に答えると、うらやましい、私は1時間も眠れないと言う。すかさず、右隣のTさんが私のいびきはすごいから、一度耳鼻科で診てもらいなさいと言う。ハイと返事をするが、大きなお世話だ。眠れなくて申し訳ないとも思うが、あまり昼間元気でいられてもうるさそうなので、耳栓をあげないことにする。
 布団に入ったまま、「中沢新一の宗教入門」を読む。93年に出た本だから、もちろんオウム以前の本。著者も言っているように、難しいことを考えてるのだから、やさしく説明できない、ということなのだろうが、難しい。ただ、何となく、宗教が「生命システムの中に限定されない意識の存在」について考えるものである、ということが分かる。この本だけ読むと仏教の方が奥が深そうな感じはする。

7:30 (朝食)
 アナウンスと同時に食堂へ。メニューは◎パン(レーズンパン3つ)、○野菜スープ、△ブロッコリサラダ、○ゆで卵、◎甘夏缶、◎牛乳。パンは美味しい。3つは少し多い。ブロッコリサラダは少し冷えすぎで美味しくない。残さず食べる。ゆで卵についてきた塩は0.5gと書いてあるが、かなりの量のようにみえる。ゆで卵なら0.1gぐらいしか使わない。

9:00 (ガリウムシンチ検査)
 呼ばれてRI検査室へ。右腕に注射をする。あと火曜日また来ていただくと言われる。今日はこれだけ。注射した右腕が痛い。大丈夫だろうか心配になる。売店に行き、痩健美茶を買う。K本部へ行くと、Hさんが土曜当番。少し話をして、本屋へ行き、マックファンはまだか聞くと、火曜日とのこと。病室まで届けてくれるというが、礼を言って断る。病室へ帰る。

10:00 (ひなたぼっこ)
 廊下の窓際のソファで、陽に当たりながら、Kさんの貸してくれた早川一光著「ボケないひけつ教えます」を読む。この人の本は一度だけ読んだことがあるが、この人の口語体の関西のノリでどんどん読ませる。
 暑くなってきて、汗をかきながら本を読んでいると、向かいの病室から50才ぐらいの方が向かいに座ってきた。珍しく黒足袋をはいている。検査入院の話から、黒足袋のことを聞くと、冬は暖かいので、踊り用のを買う。3000円ぐらいの福助のブランド品だそうである。靴下よりは高いけど、長持ちする云々。薬指を紅指といったのが、面白かった。仕事についても聞きたかったが、長くなりそうなのでやめる。

11:00 (懸賞はがき書き)
 早川さんの本を読み終わり、懸賞はがき作成にとりかかる。11枚完成。

12:00 (昼食)
 メニューはご飯、△柳川風煮、◎白菜土佐和、◎もも缶、◎きんとん、ジュース。柳川風煮はあまり美味しくなかった。熱の通り過ぎで卵がぼろぼろになってしまった。白菜は美味しかった。きんとんもよく出るが、いつも美味しい。

12:45 (お見舞い)
 Hさんがお見舞いに来てくれる。このワープロを打っていると、NさんとIさんがお見舞いに来て下さる。看護室で断ってから、タイドプール(院内の喫茶室@昭和感たっぷり)へ行き、私はコーヒー、彼女らは食事をする。Nさんとは久しぶりに会う。シャ乱Qのつんくに似ていると思っていたが、あまり似ていない。NさんとIさんは、今夜6時から飲み会だそうである。メンバーを聞くと、Nさん、Tさん、Sさん、Nさん、Iさん、Tさんという凄い取り合わせである。Nさんは勤労学生のため、読み終わった「超勉強法」をあげる。

14:00 (検温)
 検温。37.0度。微熱。病気のせいなのか、それとももともと平熱が高いせいなのか?分からず。寝ることにする。

14:15 (Sさんお見舞い)
 と、ここまで書いたところで、Sさんがお見舞いに来る。廊下のソファで話す。今まで、Nさん、Iさんが来ていたことを話す。「VOWプラス3」と「特選街別冊」を下さる。1時間以上も話をしてしまう。上司のTさんの話に爆笑する。心がなごむ人は世の中にたくさんいる。

16:00 (ワープロ入力)
 SさんをK本部の入り口まで見送り、病室に戻る。前の日記を入力する。廊下に出て入力していると、右隣のTさんが出てきて、向かいの人に脅かされたと言う。看護婦に言っておくと言われたそうだ。向かいというのは右向かいの人か、それとも向かいの新しい人か。病室に戻り、これを打っていると、向かいの人は寝ながら、寝言で何か反論をしている。看護婦とか、そういう言葉がたくさん出てくるので今の状況についてのことなのだろう。大きな声で話しながら笑っている。気持ちが悪いが、あまり気にしないことにする。

18:00 (夕食)
 メニューはごはん、◎鯖みそ煮、◎なます、△サラダ、◎つみれ汁。鯖は切り身を崩さず煮込んだ上品なみそ煮。定食屋風の筒型が好きだが、味はとても美味しい。つみれ汁も醤油味で熱くて美味。サラダはキャベツの千切りに缶みかんが混ぜてあるのが惜しい。給食を思い出してみかんだけよけて食べた。別々なら美味しいのに、と思う。
 戻ってくると、右となりのTさんからごはんはどのぐらい食べているか聞かれ、普通に一杯と答えると、足りるのか?と言われる。多すぎるぐらいだと答えると、俺は大食いなのかなあと呟いていた。

18:50 (家へ電話)
 K本部の5階へ行き、家へ電話する。明日帰ることを再度伝える。今日は注射1本だけだったことも伝える。特に話すこともなくすぐ切る。
 病室に戻ってくると、Sさんが廊下のソファにいた。お父様が10病棟に入院していると聞いたことを思い出す。しばらく話をする。スーツと私服では印象が違う。もちろん誰でも人の親、人の子である。病室に戻り、しばらくワープロ打ち、飽きると今日Sさんにもらった別冊特選街とVOWを読む。途中何度も爆笑しかけたが、さすがにこらえる。

21:30 (消灯)
 遅めに蛍光灯が消される。夜はあまり寝付けなかった。左隣のNさんが大分せき込んでいて、苦しそう。これは慣れるが、問題は向かいのYさんである。うわ言なのか独り言なのかとくかくのべつひとりでしゃべって、ふっふっふっふっと笑うのである。おまえはなにわの雁の助はんか!?とも言えないので、耳栓をして寝ようとするが、しばらく眠れない。右隣のTさんも眠れないようである。

1月14日(日) 晴れ
6:00 (起床)
 眠い。一番寝覚めの悪い朝だ。お茶をついでもらい、上半身を起こしてぼーっとしていると、急に右向かいのHさんが「吉田さんは今日は外泊かね?」とカーテン越しに話しかけてくる。「ええ」と答えると、今度はどこに住んでるか聞かれ、S台と答えると話は終わってしまった。しかし、今度は向かいのYさんがS台に反応して、何かぶつぶつ3分以上もしゃべっていた。これは私は無視するべきではないのかと一瞬迷ったが、心配は無用だったようである。

7:30 (朝食)
 パブロフのオルゴールがなり、食堂へ向かう。いつもは5〜6人が食堂で食べているが、今日は外泊が多いのか、3人。今日のメニューは、ごはん、◎大根味噌汁、○温泉卵あんかけ、◎ひじき炒め煮、◎ヤクルト2本。味噌汁がとても美味しい。温泉卵は個人的にはただの醤油かだし汁だけかけるほうが美味しいと思う。ヤクルトは久しぶりに飲むが、異常に甘い。食後にもらったカセットコーヒーをいれて飲む。TVでは社会党の村山さんが何かしゃべっている。平和な日曜日の朝である。

8:00 (シャワー)
 今日、家に帰ってからゆっくり風呂に入ろうと思っていたが、我慢できないので、風呂に入ることにする。病棟は9時からとなっているので、K本部の宿泊室をお借りする。金曜日にあらかじめKさんに頼んでおいて使っていい部屋番号を聞いておいたのだ。まず、1階へ行き、鍵を借り、診断書と有給休暇の届けを1週間延長して上司のAさんの机に置く。5階へ言って、シャワーを浴び、ドライヤーで髪を乾かす。火曜日にKさんにお礼を言おうと思いながら病室へ戻る。服を着替えて、帰る準備をする。持ち物は読み終わった本と、洗濯物(パンツとタオルのみ)とこのパワーブックのみ。向かいのYさんはずーっと何かしゃべっている。

9:00 (体重測定)
 放送で体重測定をするので歩ける人は看護室の前まで来るようとのこと。行こうと思うと、右隣のTさんが後から追ってきて、「向かいの2人(右向かいのHさんと、向かいのYさん)は、ここじゃなくて精神科で診てもらった方がいいんじゃないの。おれなんか、顔を見つめられて話しかけられて困っている」と話す。気にしてると自分の方がおかしくなっちゃいますよ、というと、そりゃそうだな、と言う。やはりこの人はかなり繊細な神経を持っていて、まいっているのだ。少し同情する。体重を測ると、服を着ているとはいえ、1kg増えている。入院すれば痩せるというのは一般論だったようだ。

10:00 (中国大陸)
 廊下のソファでワープロを打っていると、右隣のTさんが廊下に出てきて、もうつき合いきれないと言う。向かいのYさんの独り言をいっているのだ。あれはあれで本人のストレス解消だろうが、こっちがおかしくなると言いながら、本を読んでいる。しばらくして、持っている蓋付き、取っ手付きの中国製の湯飲みを見せて、これは冷めないしとても便利だという。そこから中国のウーロン茶の話になり、料理の話になり、中国の物価がいかに安いかの話になり、中国の交通事情の話になり、中国人の奥さんの兄弟の話になったところで、Tさんの点滴の時間となった。

10:30 (外泊)
 看護室に挨拶をしてから、家に帰る。日記もしばしお休み。帰りは翌日15日(祝)16:00予定。

1月15日(祝) 晴れ
16:00 (帰院)
 1泊家で過ごし、戻ってくる。看護室に報告し、病室に入る。パジャマのようなものに着替える。向いのYさんが別のNさんという方に変わっている。これで落ち着いた入院生活が送れそうである。
 外泊中には、食べたかった生姜焼定食、寿司、カツカレーを食べて満足した。夕食は食べることができるか不安になる。本屋で買ってきた「マックティップス」という本を読む。800円ぐらいだが、役に立ちそうな本である。

18:00 (夕食)
メニューは、◎赤飯、◯塩焼きの魚、◎きんぴら大根、◯麩の清汁。成人の日だから赤飯か、やわらかめだが美味しかった。心配だったが、残さず食べる。

21:00 (検温)
 37.1℃、微熱。氷枕を依頼する。明日はガリウム・シンチ検査と胃カメラ。「寝る前に下剤を飲んで、明日は一日中おしっこをとる」と言われて、気分がめいる。夕食後はマイケル・クラントンの「ロスト・ワールド」を読む。

21:30 (下剤)
 下剤(氷の入ったレモン味のジュースみたい)を飲む。気分としてはすぐにでも出そうである。

23:40 (ヴェラキラプトル)
 ロスト・ワールドを読みおえる。夢中になって読んだ。耳栓をして、無音の中で読むのは恐い。明日の検査よりもヴェラキラプトルに襲われるのはいやだと思う。

1月16日(火) 晴れ
5:30 (下剤その後)
 起こされてトイレに行くよう言われる。下剤の効果は強力で、永遠に出るのではないかと思うほどである。

6:00 (起床)
 眠い。検温36.4℃。朝食は抜きで、水も飲んではよくなさそうで、口の中がカラカラになる。歯を磨き、うがいをする。

8:40 (清掃)
 Kさんのところに行くが不在。メモを残して病室へ戻る。

8:50 (ガリウム・シンチ検査)
 病室に戻るとHpがガリウム・シンチ検査とのこと。RI検査室へ行く。すぐに名を呼ばれ、室内へ。ベッドに仰向けになる。上には直径1.2m、厚さ30cmぐらいの金属の円板状のものがある。これが音もなく1分間で10cm以下のスピードで体の上、5〜6cmをなぞっていく。途中3回円盤の位置を変え、うつぶせになってもう1回。1時間ぐらいでかかる。寝ているだけだが肩が凝る。

9:10 (病室にて)
 病室に戻るとHさんが胃カメラはどうだったか聞いてくるが、まだですと答えると、今度は隣のTさんにも検査後でどんな風か教えてくれと言われる。誰かが落合信彦の「太陽の馬 上・下」を置いていってくれたようだが、私が読めるだろうか。

10:45 (胃カメラ)
 Hp(可愛い)に連れられ、検査室へ行く。肺の内視鏡検査をしたところで胃のあれを防ぐ薬をキャップ1杯飲む。その後、水飴のような粘性のあるまずい薬を口の中にためているように言われる。だんだん舌が痺れてくる。次に肩に注射。これは結構痛い。かなり待ってから隣の部屋へ。ピアノでサザンとか流れていて暗い。横に寝かされて、腹を丸めるような姿勢を取らされる。舌を弛緩させておくよう、目はなるべく開けておくよう、などと恐ろしいことを言われる。
 やがて先生が来て、「口にパイプをくわえさせられておえっとくるが、入れば楽になる」と言われる。管をどくどくと差し込まれる。おえっとくる。背中をさすられて、力を抜くよう言われる。入ってからはお腹の中の違和感がすごい。かなりダイナミックに管が動かされるが、何回かおえっとくる。先生が「スカーか?、、、スカーだな、、、。」という。スカーフェイスという言葉が浮かび、傷のことかしらん、と苦しいながらも思う。すると管に何かずりずり入れはじめて、助手の方が待機、「開いて」、「つかんで」、と先生が指示する。一体何をつかんでいるのか不安になる。それからしばらくしてやっと管を抜かれる。激しく咳き込む。だ液は全部出すように言われる。
 先生が少し荒れた跡があっので、検査に出しときます、あまり心配は要りません、とのこと。やはりスカーは傷なのかと感心する。終わってうがいをして、注射を1本打たれる。薬をわたされる。12:45に半分を飲み、30分後に昼食をとるよう言われる。売店でポカリスウェットを買う。

11:50 (看護婦)
 病棟に帰り、食堂で食事を遅くしてもらうよう頼み、病室に戻る。Tさん、Hさんにどうだったか聞かれ、楽とはいえないと答える。Tさんは「ここのNsには本当に頭が下がる、としみじみ言っている。私も本当にそう思う。感じのよいNs、Hpばかりである。可愛い人も2〜3人いる。
 「2度目の大往生」を読む。永六輔はしゃべり方は気にくわないが、活字は読める。1時間ぐらいで読めたが、最初の「大往生」ほどは面白くなかった。宗教についての話はとても面白く感じた。

12:45 (薬)
 もらった液体の薬を半分飲む。どろっとしてまずい。

13:15 (昼食)
 食堂へ行く。メニューはごはん、◎炒りどり、○和風サラダ、○枝豆茹、◎牛乳、◎ジュース。朝食抜き、水分無補給だったので、水分がおいしく、お茶もたくさん飲む。

13:45 (Kさんと雑談)
 Kさんのところへ行く。シャワー借用のお礼をいい、しばらく話をする。病室に戻って、何となく寝る。起きて雑誌を読む。

16:30 (検査技師Aさんと雑談)
 検査技師のAさんが病室に寄って下さる。10病棟の検査の帰りとのこと。家が近所同士だったことが分かり、ローカルな話で盛り上がる。

17:20 (Hさん&Hさん)
 Hさんが社内報とMac Fanを持ってきてくれる。しばらく話をしていると、Hさんがくる。薬の残りを飲むが、胃がもやもやする。

18:00 (夕食)
 メニューはごはん、◎ハンバーグ、◎サラダ、◎リンゴ。ハンバーグはジューシーでとても美味。付け合わせにほうれん草とコーン。ご飯も普通に食べてしまう。

18:30 (お茶)
 Hさんと院内の喫茶へ行くが、終わっていた。そこで、外のカレー屋さんに行く。セイロンミルクティーをおごってもらう。

19:10 (S次長)
 家へ電話して、病棟へ戻るとS次長にお会いする。お父様が同じ病棟に入院しているそう。胃カメラの話で盛り上がる。

19:30 (Iさん)
Iさんが見舞いに来る。どうでもいいバカ話を1時間以上する。

20:45 (K医師)
 K先生が来る。検査同意書にサインをして、退院の見込みについて尋ねるが、検査の結果まちで早くて来週月曜とのこと。仕方がないとあきらめる。K先生によれば、今のところ、サルコイドーシスによる合併症はでていないとのこと、肺の内視鏡の結果はサルコイドーシスであるとのこと。明日は検査のため、昼抜き。ロストワールドの恐竜に食われるよりはましかとまた思う。

1月17日(水) 晴れのち曇り
5:30 (採血、採尿)
 起こされて、血とおしっこをとる。

6:00 (起床)
起床。ベッドの中で、Mac Fanを読む。

7:30 (朝食)
メニューはごはん、◎油揚げの味噌汁、◎納豆、○かぶの即席漬け、○モモ缶、○牛乳。昼抜きなので、ごはんを多めに食べる。胃の調子はまだおかしい。歯磨きをして病室に戻ると、Kさんが新聞を持ってきてくれる。

10:30 (寝る)
寝てしまい、起こされると、Nsに今日は整形と眼科の受診と言われる。

11:50 (差し入れ)
 Kさんが来る。M田さんの差し入れでドカベン3巻。代わりにMac Fanを渡す。

12:40 (眼科)
 目の炎症は治りつつある。しばらく目薬の点眼を続けるようとのこと。月末(2週間後)にまた受診するよう言われる。

13:15 (内視鏡検査)
 直接、内視鏡の部屋へ行く。もう顔の分かるDr.ばかりいらっしゃる。まずはK先生に先日より強い麻酔というのをかけてもらうが、やはり頭がぼーっとする。今日ははじめから点滴をする。この間の検査の場所に移り、目隠しをされ、栓ををくわえる。気道にカメラが差し込まれる。この間より苦しくない。
 今回は肺の細胞をつまんでとる(!!)とのことで、痛いときはしゃべれないので、ベッドを叩いて知らせるよう言われる。これではハーポ・マルクスみたいである。何回か痛みを覚え、ベッドを叩く。その度に体の向きを変え、大きく息を吸ってはくよう言われる。細胞をとった結果、出血したようで、皆の動きがあわただしくなる。かなりどきどきする。何か薬をいれているようだが、そのためかすごくせき込む。苦しい。このあとも必ず出血するようで、途中で検査をやめたようである。終わり頃には薬のせいか、喉がとてもヒリヒリする。時間もかなり長引いたようである。カメラを抜かれてゲホゲホやると、タンに少し血が混じっている。少しぼけーっとしていると、車椅子に座らせてくれる。
 K先生とT先生が説明をしてくれる。やはり細胞をとると出血してしまうので、6つ細胞をとるはずが、3つになってしまったとのこと。もう一回検査、と言われないことだけを願う。時計を見ると14時25分だった。検査の時間は20分ぐらいか。この間は長くて辛かった。
 Hpに車椅子を押され、画像診断部へ。肺のレントゲンを正面、側面と撮る。眠いというか、疲れを感じる。麻酔のせいか。

15:00 (ドカベン)
 病室へ戻る。寝かされて、点滴と酸素吸入をする。寝ようと思うが、寝付けず、ドカベン3冊を読む。Nsが来て、血圧、酸素量をチェック。注射を1本打たれる。
 その後、K先生が来て、出血の話をして、苦しくないか聞かれる。ずっと目をつぶってみるが、なぜか眠れない。少し熱っぽい感じ。

17:30 (お茶)
 Hpさんが大きなやかんでお茶をつぎにまわる。食事はベッドへ運んでもらうよう依頼する。Yさんがダカーポを持ってきてくれるので、仕事の話を少しする。

18:00 (食事)
 メニューは◎シメジご飯、◎大根味噌煮、◎ニンジンサラダ、◎たぬき汁、○ポテトグラタン、◎パインアップル。少し苦労して食べる。満腹になる。たぬき汁は何でたぬき汁か分からず。少し元気になったような気になる。今回はのどが痛かったがハチミツあめとお茶で大分痛みがやわらぐ。

18:40 (爽健美茶)
 Hさんが来る。爽健美茶とのどあめを頼む。のでがかなり痛い。熱が37.0℃で氷まくらを頼む。

20:00 (電話)
 1階で家に電話する。親も少し安心した様子。病室に戻って、せき込むと血痰が出た。気持ち悪いが、あとは出ない。

1月18日(木) 曇り
6:00 (起床)
 36.6℃。平熱。

7:30 (朝食)
 メニューはごはん、◎豆腐味噌汁、◎鰯鰹煮、○辛子あえ、◎牛乳。のどが痛かったが、すべて食べる。ごはんがとてもおいしく感じた。

8:45 (雑談)
 隣のTさんと中国の話をしばらくする。

10:30 (リンパ管)
 K先生が来る。のどが痛いというとうがい薬をだしますとのこと。生検の結果しだいでは、リンパ管から採取するといわれる。

11:00 (検温)
 36.5℃、平熱。

12:00 (昼食)
 メニューはごはん、◎サワラ焼浸し、◎芋人参煮、◎ごまあえ、◎もも缶。記念におかずの写真を撮る。

13:00 (昼寝)
 午後はほとんど寝っぱなし。隣のTさんは一時帰宅。

 15:30 (サンドイッチ)
Hさんが来る。本屋と喫茶に行く。サンドイッチ2切れをもらい、コーヒーを飲む。

17:20 (見舞)
 Yさん、Iさん、Hさん見舞いに来る。サライ到着。

18:00 (夕食)
 メニューはごはん、○天ぷら、○ワカメ甘酢、◎タクワンあえ、○ヨーグルト。天ぷらはさすがに冷えている。天つゆは熱い。夜もべたべたしているのは仕方がないか。海老2本、白身魚、ピーマン、さつまいも。さつまいもは茄子と勘違いして、最後の楽しみにとっておいたら、悲しかった。栄養科の職員はあまり愛想がよくない。すくなくともにこにこしている人は少ない。

19:00 (見舞)
 Nさんが見舞いに来てくれる。バームクーヘンをくれる。Tさんも来る。イソジンうがい薬が届く。

20:00 (職場)
 Nさんを入口まで送り、隣りの建物の職場に顔を出す。Tさん、Yさん、Oさんが残業している。いつものようにTさんをからかってから病室へ戻る。

1月19日(金)
6:00 (起床)
 今日はのどのエコーと整形外科の受診。のどのエコーは来週、リンパに管を通すかもしれないと言われ、その準備とのこと。気持ちが悪い。向かいのNさんがNsにゲートボールやらなきゃと話している。Nsはけっこう受けていたが、本人は大真面目で、メンバーがならなくなるから休んでいられないと言っている。

7:30 (朝食)
 メニューは○パン(食パン2枚、ロールパン1個)、○ポタージュ、○いんげんチーズ、◎ヤクルト、◎ヤサイサラダ、◎バナナ。焼いていない食パンは給食以来か。記念に写真を撮る。

9:30 (K先生)
 K先生が来る。昨日の整形のわびを言われる。そういえば、昨日は整形外科には呼ばれなかった。週末は外泊してよいと言われる。

10:30 (レントゲン)
 昨日買った雑誌2冊、文庫2冊をすべて読み終える。気楽に読めるものがなくなる。レントゲンは混んでいて、30分以上待つ。車椅子のおじいさんが待ちくたびれて廊下で「腰が痛い。先生早くやってくれ」と大声で叫んで、Nsをあわてさせていた。やっと順番がきて、手と足のレントゲンをとる。

11:50 (Kさん)
 Kさん来る。仕事の研修の話をする。

12:10 (昼食)
 メニューはごはん、◎たき合わせ、◎ほうれんそうおひたし、◎味噌レバー、◎リンゴジュース、◎プリン。味噌レバーとは、レバーと細かい野菜の煮物。

12:40 (整形外科)
とくに問題ないと言われる。

15:00 (のどエコー)
 検査技師のAさんとK先生による検査。リンパ節があまり目立たないと事で、月曜日の肺生検の結果次第でリンパを切るかどうか決めるとのこと。

15:30 (職場)
 職場へ行く。上司のA さんと話をする。Mさんと取引先のTさんとしばらく雑談。


18:00 (夕食)
 メニューはごはん、◎さしみ、◎炒り豆腐、○玉ねぎ味噌汁、○いちご。さしみと炒り豆腐が美味。ごはんをおかわりしてしまう。味噌汁は玉ねぎとなめこの赤だしという馴染みのないとりあわせ。

20:20 (みかん)
 向いのNさんがでかい声でまわりにみかんを配っている。元気になって明日退院らしい。Tさんも病棟を移るような話をしていたので、話をきくと消化器病棟に移るらしい。初めて知るが、どうも銀行マンらしい。20分くらいしゃべる。

1月20日(土) 曇り
7:30 (朝食)
 ごはん、◎わかめ味噌汁、◎鰯鰹煮、◎キュウリ風味漬、△さつまいもレモン煮、△キウイ、◎牛乳。

7:50 (シャワー)
 シャワーを浴びる。

9:30 (コーヒー)
 M課長が見舞いに来て下さる。喫茶でコーヒーを飲む。M課長はココアを飲む。

10:00 (峰竜太)
 隣のTさんと話をする。何でも学生時代はラグビー部だったらしく、同僚の弟は峰竜太だそうである。しばらくラグビーの話をする。

11:00 (入院延長)
 K先生が来る。肺内視鏡の結果はうまく分からなかったようで、来週手術(という言い方をされたので、驚く)しましょう、一週間程度入院も延ばしてください、とのこと。ショック!!。火曜日には手術(!)の日時をお知らせします。とのこと。リンパを切ると言っていたので、恐ろしかったが、やはり手術か。検査でかえって具合が悪くなるような気がする。

11:45 (退院?)
 Nsから退院かもしれない、と言われる。??? どういうことかよく分からない。

12:00 (昼食)
 メニューは◎おむすび(鮭、タラコ)、◎ゴマ風味浸し、◎さつま汁、◎みたらし団子。本当に退院できるのか半信半疑で食事をする。巨大なおむすびを3個も食べて苦しくなる。これが病院最後の食事か?と複雑な気分。でも、手術もいやだと思う。

13:00 (退院決定)
 病室に戻るとK先生がいて、退院決定。詳しい説明を別室で受ける。これによると検査の結果が今日出たなかで、肺の細胞にもサルコイドーシスの組織があったので、サルコイドーシスが確定したとのこと。病気と決まって退院というのは少し変な気がするが治療法がないのだから仕方がない。
 いろいろ調べた結果でも目の炎症以外はサルコイドーシスの影響はないとのこと。半年ごとのサルコイドーシス外来に通うことになる。それよりもサルコイドーシスとは関係ないが、脂肪肝の方が問題だと言われる。これはやせるだけでも値は改善されるので努力するよう言われる。
 病室に帰り、服に着替え、同室の方々に挨拶して家に帰ることにする。

終わりに(2022.5記)
 後に知った知識では、サルコイドーシスは5年以内に自然治癒する場合の確率が大きく、特定疾患の中では比較的心配が少ない病気らしい。
 昔は肺の切除手術とかしたらしいけど、あまり効果がないということで、いまはしないらしい。
 それでもサルコイドーシスになると、いろいろな場所が悪くなる可能性があるため、安心はできない。
 この病気の可能性がある、と言われてから、色々と不安になったり、心配になったりしたけれども、原因がわからないのだから治療法もないため、「どこか悪くなったら治療します」という説明を受けて、「あ、これは健康であることと何も変わらないのでは、、、?」と思ったら、急に気が楽になったことを覚えている。



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