引き続きオンライン開催!ポケットマルシェ代表高橋博之氏「地域主義の再生にむけて」|GRゼミ9期第14回振り返り(2022年2月15日)
こんにちは!おやぶんです。
2/15のゼミは、引き続きまん延防止等重点措置においてオンライン開催となりました。
今回は、前回の「療育サービス」からガラっと変わり、新鮮な食材を農家/漁師から直接買えるポケットマルシェ(ポケマル)創業者であり、関係人口提唱者としても知られる高橋博之氏に登壇頂きました。
今迄の講義では、パワーポイント等による資料をもって講義が進むのですが、今回は資料一切なし、口頭のみで展開されました。お話の領域は非常に広く、それぞれに強いメッセージがあったのですが、タイトルをあえてつけるなら「地域主義の再生にむけて」と定めることができるかもしれません。
略歴
2012年東日本大震災時に、高橋氏は37歳、岩手県議会議員でした。巨大防潮堤ありきでの復興計画に異を唱え、「自分こそリーダーになる」と心に決め、県知事選に出馬。「ぶっちぎりの二位」という結果になりました。(得票は1位にも大差をつけられたが、3位には大差をつけた。)
その後「政治でダメなら事業で世を導く!」という意思において、ポケットマルシェを立ち上げ、現在に至ります。
巨大防潮堤ありきの復興計画
吉田さんの提案で、防潮堤の話をさらに深く聞くこととなります。
「巨大防潮堤ありきの復興計画」に対し、以下2つの理由より反対したといいます。
① 価値観・哲学によるところ
アニミズム的な価値観・哲学。自然を支配コントロールしようとする考え方、施策に異をとなえる
(参考)アニミズムとは
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%9F%E3%82%BA%E3%83%A0
② 自治
行政が「巨大防潮堤ありきの復興計画」をつくり住民に説明された。本来は、それぞれの地域の特性、文化に応じて住民が決めるべきだ。
地域主義について
さらに詳しく、住民自治による復興の好例として宮城県東松島市があげられました。
東松島市では住民たちが専門家の声を聴きながら復興計画案を作成し行政に提案しました。結果住民は復興計画をジブンゴトとしてとらえ、よい結果が生まれた。
逆に他の自治体では、防潮堤づくりに時間がかかり、避難地での生活に慣れ、完成した現在、、もともと住んでいた海辺へ戻る人は少ない。つまり防潮堤は誰を守っているのか?という状況。あるいは防潮堤があることで防災意識が希薄化し、新たな災害において被害が増えた地域もある。とのこと。
なぜ東松島氏では住民の主体的な動きができたか?についても質問があり、回答は2点。
① 住民自治が震災前にも文化として持っていた
② 官と民の中間支援組織が、行政・住民間の翻訳をし、コミュニケーションがうまくいった
ということも伺いました。
災害前に地域主義が根付いてなければ、災害時にはなおさら自治は機能しないということを強調されていました。
さらに「自然災害は社会の弱点を突いてくる」という話から東日本大震災においてはその弱点は「過疎(地)」であったと。
「地方の過疎」の「都会の孤独」はコインの裏表
災害によってもたらされてたのは悪いことだけではなく、高橋氏は都会からきたボランティアによって新たな希望、可能性を確信したそうです。
震災後に集ったボランティアは初めて生産者と出会い、体感する。そこで生産された農産物、海産物をボランティア自ら都市へ営業をする。ボランティアは感謝されることで心が満たされた。
実はボランティアも都会では、代替可能な機械の部品扱い、あるいはエンドユーザーに合うこともなく、仕事にやりがいを感じない。など「被災」していたのだ。
ポケットマルシェ創業のきっかけとして、震災のような悲惨な状況がなくても。都市と地方の間に多様な関係人口を生み出したい。という思いがあったといいます。
自殺抑止
話は少し進み「自殺」の問題へ
都市部でも地方でも同じく自殺は存在する。地方には自殺を抑止する背景があるという。それは「自分がいなくなってしまったら無くなってしまう「何か」がある」ということ。農地であったり、そこで育てられる作物であったり、伝統であったり、住民同士の絆であったり。
都市部において「被災」している人は、その「何か」がない。
私自身、非常に強いインパクトを受けました。その「何か」が都市には必要なんだ。と。
地域主義
最後に地域主義の再生についてお話がありました。
地域主義とは
「生活者」が自然・歴史・風土(固有性)によって、経済的・政治的・精神的に自立し、独自性を追求すること」
と高橋氏は述べました。
成長一辺倒の世界から、ひとりひとりが尊厳をもって生きる社会へ。
資本主義を否定するわけではない。資本主義発展の理論的支柱となったアダム・スミスは、「倫理」と「共感」について協調している。「倫理」と「共感」がなくなったことで資本主義が暴走した。あらためてその重要性が問われているのではないか?
というところで約1時間のお話しは終了。
グループワーク
毎回実施するグループワーク。お題は「特に都市部では自らを束縛する生き方を散見する。彼らがもっと自由に生きていく、働いていくために必要な施策は?」
時間が限られていたため、「自ら束縛する生き方」になってしまう理由出しで終わってしまうグループもあり、あるいは具体的な施策を提言するグループもあり。
深いテーマであるため、アウトプットは次週への持越しとなりました。
今回非常に熱量の高いお話しで、学びが多いのはもちろん、自分に置き換えて考えられました。これもジブンゴト化かも?
次週も楽しみです。
おやぶんでした♪
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