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「令和妙心寺六景」展示と、京都(独断)紅葉案内

令和妙心寺六景」という企画に呼んでいただきまして、描いたイラストが他の5人のイラストレーターの作品とともに12月4日(日)まで展示してあります。会場は京都にある「妙心寺」で、僕が描いたモチーフは「国宝・⻩鐘調鐘」です。残り会期が短いのですが、紅葉観光の合間にぜひお立ち寄りいただけたら嬉しいです。

イラスト「国宝・⻩鐘調鐘」

「⻩鐘調鐘(梵鐘)」は妙心寺にある国宝で、西暦698年に作られたと言われている日本最古の紀年銘鐘です。雅楽の六調子のひとつである「黄鐘調」の音に合うということで、「黄鐘調の鐘」という名前はそこに由来しているそうです。

レイアウトと下描き

実物は破損の恐れがあるということで屋内に展示されており、鐘楼にはレプリカが設置されています。ただ絵としてはやはり鐘楼に置かれた状態が描きたいと思ったのでそのように描きました。梵鐘としては時刻を告げる役目が大きいと考えたので、京都中に音が広がる様子が感じられるよう、視点を高くして奥に京都の街並みが見えるような構図にしています。

展示風景

僕の他にも著名なイラストレーターが参加されていますので、ぜひご覧いただきたいと思います。展示の詳細については公式サイトをご確認ください。

公式サイト:https://www.pixiv.net/special/taizoin/ja/myoshinji_rokkei/

また、インタビュー記事(https://www.pixivision.net/ja/a/8326)も公開されているので、そちらもあわせてご覧ください。

妙心寺のご案内

退蔵院の門

妙心寺は京都市右京区に在する日本最大の禅寺です。三門をはじめとした荘厳な建築群、国宝の梵鐘や瓢鮎図のほかにも、雲龍図やしだれ桜など、様々な見どころがあります。9月にも取材に訪れたのですが、先日展示の様子を観に行った際にはちょうど紅葉が見頃になっていて、雨にも関わらず多くの方が訪れていました。

展示会場から庭園を眺める

展示は退蔵院という施設内にあり、観覧には退蔵院への入場料のほかにお茶代が必要ですが、お抹茶とあわせて風流な庭を眺めるのは、いかにも京都らしい体験でした。また、作品にはそれぞれ解説も設置されていますので、そちらとあわせて鑑賞していただけると、作品に込められた思いを通じて妙心寺への理解も深まり、新しい側面が見えてくるかもしれません。

展示風景

なお、「令和妙心寺六景」の各作品のグッズがネットで販売されていますので、ぜひお求め下さい。販売サイトはこちら。また、妙心寺では「天野喜孝 退蔵院特別展」も開催されています。こちらもあわせてご覧ください。

天野喜孝退蔵院特別展の様子

秋の京都について

独断と偏見による京都紅葉地図

余談ですが秋の京都について。僕は2017年に京都精華大学の非常勤講師として勤めるようになってから毎月のように京都に通っており、紅葉の京都についても、その前年の特別授業の際を入れると既に7年連続で観光に訪れています。それでもまだ京都の全てを巡ったわけではないのですが、これまでに訪れた中でのお気に入りを幾つかご紹介しておきます。

真正極楽寺 (真如堂)

真正極楽寺の境内

京都市左京区、平安神宮から少し北東に歩いたところにあり、境内や本堂は無料で拝観できます。広い庭にバランスよく木々が並んでいて見応えがあるほか、三重塔など絵になる建物もあるのに意外と人が少ないため、落ち着いて紅葉を見学できます。アクセスが悪く小高い丘の上にあるためちょっと体力が要りますが、そのぶん風景が広々としているのも気に入っています。

金戒光明寺の紫雲の庭

隣接する金戒光明寺紫雲の庭(こちらは拝観料が必要)も紅葉の名所ですが、こちらも人が少ないため、あわせてゆったりと楽しむのが定番ルートです。

禅林寺(永観堂)

禅林寺、多宝塔から京都市街を望む

秋の京都でも一二を争う紅葉の名所です。境内には無数の紅葉が広がっていて見どころ満載。様々な建物が回廊で結ばれていて、複雑な構造を楽しめるのも魅力です。境内の奥にある多宝塔から京都市内を見下ろす景観も気持ちよく、一度は訪れていただきたいスポットです。

臥龍廊

普段は600円の拝観料を秋の紅葉シーズンは1000円に値上げしますが、それでも人が溢れて入場には長蛇の列ができ、境内も人だらけで落ち着いて見学できる雰囲気ではないのですが、紅葉の美しさでは確かに京都でもトップクラスだと思います。

南禅寺

山門からの眺め

京都観光では代表的なスポットで、一年を通じて観光客が多く見られます。紅葉も美しいのですが、ここはさらに赤レンガの水路閣との組み合わせや三門からの雄大な眺めなど、他とは一線を画する風景が楽しめるのが魅力です。僕はこの山門からの景色が特に好きで、たびたび登っていますが秋の風景もまた格別でした。京都市内から向かう場合は地下鉄東西線蹴上駅で降りて徒歩で向かい、先述の禅林寺とあわせて巡るのがオススメです。

東福寺

秋は撮影禁止になる通天橋の、夏の風景

京都の紅葉の名所の中では外せないお寺。見ごたえのある建築を抜けていくと高低差のある庭園が広がっており、谷を渡る通天橋からの景色はぜひ一度見ていただきたい壮麗さです。秋季は人が多く危険なため橋の上は撮影禁止になったりするのですが、それでも人が多く訪れるほど人気があります。紅葉のほかにも特徴的な市松模様の庭など、季節を問わず楽しめるので、是非訪れていただきたいです。体力のある方は、近くにある伏見稲荷の山頂ルートから降りる途中で東福寺方面に抜けていくルートが見応えがあってオススメです。

宝厳院

紅葉と苔の見事なコントラスト

宝厳院は京都市街から西に少し離れた嵐山にあります。嵐山というと天龍寺の豊かな景観も人気ですが、やはり宝厳院の苔生した庭と紅葉のコントラストは、一度は訪れてほしい魅力があります。広い庭に贅沢に敷き詰められた苔がまず目を引き、その上に鮮やかな紅葉が見える景色は、なかなか目にすることのない密度感でおもわず圧倒されました。この対比を眺めながら川の流れる庭園を歩いていると、完全に別世界に来たような気持ちになります。

嵐山公園から見下ろす桂川

上の写真は嵐山公園から桂川を眺める景色ですが、これも一度は見ておきたい風景です。写真だと分かりにくいですが、雄大な嵐山の自然が紅葉に染まって、またとない感動がありました。嵐山は他にも見どころが多く、本気で周ろうとしたら丸一日はかかってしまうので、余裕があれば京都中心部とは別に一日用意して観光していただくのがオススメです。

おわりに

秋の清水寺、コロナ前なので人が多い

他にも定番の清水寺瑠璃光院など、秋の京都は見どころばかりですが、今回は特に見どころのスポットや、人が少なくてゆっくり巡れるところを中心にご紹介しました。コロナ以降は一時期人も減ってきましたが、今年は久々に観光客が戻ってきた印象もあります。

京都はあまり慣れていないのでどこに行ったら良いか分からないという方に、この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。そして、その際は是非妙心寺にも足を運んでいただければ幸いです。

掲載した写真はすべて自分で撮影したものです


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