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中国で話される言語=中国語ではない話

世界で一番話されている言語は?と問われれば、皆さん間違いなく、答えるのが、「中国語」だろう。色々統計はあるが、文部科学省のデータによると、中国語を母国語としているのは、8億8500万人、中国語を使用している人口は、10億7500万人だそうだ。もちろん世界で一番多い言語人口だ。

「おいおい、中国の人口は、14億とか言わない?」という声が聞こえてきそうだが、この中国語と言われているのは、中国語の標準語で、中国語でいう「普通語」、英語でいう「マンダリン(Mandarin)」を指している。ここでわかるように、中国、台湾、香港で使われている言語=中国語では必ずしもないのだ。

しかも使用している漢字もエリアで異なる。中国大陸で使われている文字は、「簡体字」で、漢字の画数を簡略化したような文字。そして、香港、台湾で使われている文字は「繁体字」で、漢字によっては、日本の漢字以上画数が多い文字だ。

以下にわかりやすく、いくつかの漢字で比較してみよう。日本語、簡体字、繁体字で、それぞれ違うもの、全く同じもの、一つだけ違うものなど、並べてみると特徴があって面白い。

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私も初めて中国大陸で簡体字を習った時には、「なに、この漢字? 簡略してどうしてこうなるの?」と日本語の漢字を知っているが故に、なかなか慣れない文字もある。またよく混同してしまう文字もある。表の最後に書いた「瀋」「沈」は、日本の文字でも「沈」という文字があるので、「瀋陽」という地名を「沈陽」だったかなと思ったりする。

日本人で馴染みがある中華圏の言葉としては、断然広東語だろう。香港映画でジャッキー・チェンで話している言葉だ。中国の北京や上海の方にとっても外国語状態の言語で、簡単な言葉挨拶言葉でも全く違っている。

例えば、香港の朝の挨拶は、「おはよう:早晨(ゾウサン)」に対して、これが中国では、「早上好(ザオシャンハオ)。皆さんがよく知っている「こんにちは:ニーハオ」、香港が行った時は「ネイホウ」と言わないといけない。

私は全く広東語はわからないのだが、それに輪をかけて、先日、弊社の香港スタッフが書いてくれたブログ「広東語も日本語と同じく外来語なしだと会話ができない?」を読んで衝撃だった。広東語に英語が多用されて、今や英語を使わないと自然な会話ができないくらいになっているというのだ。

広東省の友人は、同じ広東語でも、中国大陸と香港では、微妙に言葉遣いが違い、話して中国大陸出身とわかると、ちょっと田舎者のような扱いを受けると話していた。英語を交えて話すこと、それもそんな要因の一つなのかもしれない。

ちなみに以下が、香港スタッフが上げてくれた例。皆さん、いくつ意味がわかるだろうか?

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こうして見てみると、字体としては、簡体字、繁体字、言語としては、中国語、広東語、上海語、閩南語などなど、中華圏の言語といっても複雑な要素がいっぱいだ。これらをすべて習得するのは、不可能だけれど、ともかく10億7500万人としっかりコミュニケーションを取れる期待を持って、中国語の標準語をこれからも学び続けていきたいと思う。



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