社長はいくら虚勢はっても潜在意識だけは騙せない

利益を出し続けることの難しさ

経営者は利益を上げ続けなくてはいけない。
一代目社長の親父は、ゼロからの出発だったから、毎年純利益が上がっていった。
私がバトンを受け取った時、その伸び率を維持することは難しい状態だった。
少なくとも私はそう思い込んでいたし、社員も私が社長だからという理由もあるが、難しいと感じていただろう。

途端に私は守りの姿勢に入ってしまった。
もともとの弱気がそれに拍車をかけ、どうにか会社が傾かないようにだけ心を尽くした。
社員もこれを維持して、会社がそこそこの利益を上げて、自分たちが不自由無く暮らせればいいと思っていただろう。
完全に斜陽な会社が陥る罠にはまっていた。

二代目でも創業社長より利益をあげられる人もいる

どんなにストレスになっていたか。
どんなに努力しても頑張って働いても、暗黒面しか味わえない最悪な時期だった。
だが二代目社長で、一代目をはるかに上回る業績をあげている者がいる。

守りに入ろうとしないで、積極的にしかけていく、その気持ちが先代を超える存在にしていったのだと思う。
そりゃあ、私も守りの姿勢は良くないと頭ではわかっていた。
誰だってそう思っているだろう。

しかし、実際に自分をそういう方向で走らせることは至難の技だ。
そこで二代目社長の器量が決まってしまう。
自分で限界を決めてしまうのだ。
おそろしい、まったくもっておそろしい!

自分で限界を決めてしまう思い込みの恐怖

私は「親父を超えることはできない」と、そう思いたくないと考えていても、潜在意識では勝手に思いんでいた。
潜在意識や無意識はこれ以上ない位厄介だ。
暗黒時代、完全に自分の思考に自分の行動が支配下に置かれていた。
しかも潜在意識から、奴隷根性のように染み付いていた。
だからどうあがいても、私は私を変えることができなかった。

修験道、瞑想、自己催眠、自己啓発、さまよい歩く二代目社長

修験道、瞑想、自己啓発、書物、自己催眠・・・・・
やればやるほど無力感を味わった。
潜在意識、無意識を変えると立派な謳い文句をしているところでさえ、まったく後に味わう体感と超越的な効果に比べれば、子供騙しもいいところだった。

潜在意識、これは一朝一夕にできあがるものではない。
だから、威力のない潜在意識アプローチ法では、強固に構築された私の弱気など何の効果も持たなかった。
一時的に気分が高揚したこともあったけれど、私の潜在意識はすぐに元どおりにしてしまった。

社員にマイナスの影響を与える社長

何度も書いたが、私がいくら虚勢を張っていても、私の弱気はそのオーラとともに周囲に悪影響を与えていただろう。
社員を導けるのはトップの心意気だけだと思う。
それがまったく足りていなかった。

人間は、自分の無意識や潜在意識といったコントロールできないものの支配下に常に置かれている。
会社が伸びるのもポシャるのも、すべてトップの意識・無意識によってだ。
恐ろしい、まったくもって恐ろしい!

大嫌いだった先代社長を認められる日

親父は強烈な人間だったが、潜在意識の底から「俺がなんとかする!」という強さがあった。
親父のことは嫌いだったが、今ではそこだけ認めている。

おかげさまで今じゃ、親父よりも稼ぐことができるようになっている。
そのため、親父が小さく見えたと同時に、別の意味では親父の良さを素直に認められるようになった。
そこは自分でも成長できたと思う。

潜在意識から、どうしても弱気がつきあがっていた状態が、特に無理して力を込めること無く、素直に積極的な姿勢で仕事ができるようになった。
楽だけど力が発揮でき、仕事も私生活も充実している理想的な形で生きられるようになった。

頑張っても頑張っても先へ突破できない状態から比べたら、なんて今は幸せなことなんだろうと思う。
ただし長続きはしない、また苦境が来る、このことだけは肝に銘じておきたい。
ビジネスは一寸先は闇だ。

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