徹底解説 彩雨 @御岳
(※ムーブ解説などネタバレを含みます。見たくない方はここまで)
2020年10月、御岳 日影岩「彩雨(さいう)」初段を登ったので、解説とお気持ちを表明したい。
ムーブ解説
嶺の夕と同じく、岩と岩の間から始まります。それほど高さはないですが、下地は石や岩がゴロゴロしており、変な落ち方をすると危ないので気をつけましょう。
トポによればSDなのですが、1手目のカチからスタートしている動画も多く見かけます。昔は下地が上がっていたのかもしれません。
スタートの右手はこんな感じのカチで、端のところに親指をかけると力が入りやすかったです。
左手はこんな感じで、こちらは明確に親指をかけるところがあるので、しっかり握れます。
左足でどこか粒を踏み、身体を起こしたらスタートです。そのまま右手カチに右足をヒールしてさらに上体を起こし、初手のカチを右手で取りに行きます。まぁまぁ悪いですが、持ち感のいいところを探ります。
右手が保持できたら、左手をマッチします。この前後の良いタイミングでヒールを解除しておくことになると思います。
次に2手目のカチを右手で取りに行きます。3ヶ所くらい候補があると思いますが、いずれも初手と比べると持ちやすいです。右足はヒールしていたスタートホールドをそのまま使います。
次に3手目の縦ガバ/ピンチを取るために、左足を上げます。場所はスタートホールドの少し左にある下記写真のあたりです。ゴムが乗って黒くなっています。かなり外傾しているのでベタッと面で乗るように意識しました。
左足にしっかり乗り、右足を右に張って、3手目の縦ガバ/ピンチを取りに行きます。デッド気味に左手を引っ掛ける感じになりましたが、上手い人はほぼスタで取れるようです。この辺から手足とも抜けると危ないので、緊張感が出てきます。
ベタ踏みしていた左足を右足と入れ替え、左足を左の方に大きく張ります。下記画像の真ん中あたりを左足で踏みに行くのですが、素直に3手目の下あたりに張っている人もいるようです。
いずれにせよ、4手目の縦カチを保持するにはできるだけ上体をあげなければならないので、リーチに合ったムーブを探りましょう。(4手目の右手は抜けやすいのでマットの位置に注意)
下記画像は4手目の縦カチです。上体をあげ、親指をしっかり当てましょう。
両手でしっかり保持しながら足を再度入れ替えます。(左足を先に上げてしまう人もいるようです。)
スタートホールドの右上あたりにあるくぼみ(下記写真中央)を右足で踏み、乗りこみ、そのまま左足を1手目の左下あたりにあるちょっとした突起に上げ、身体を起こします。リップを取る際に足を残したければ、足をもう少し上げる必要があるかもしれません。
両足が上がったらリップを取るために最小限のタメをつくり、右手を出します。リップは持ち感の良いところが指10本分くらいあります(写真中央)が、外れると危ないので、一応しっかり狙いましょう。
リップを取れた後、足ブラになったら2手目付近を右足で踏み、左足はフラッギング気味で左手をリップにマッチしに行きます。この時、クロスマッチを嫌うならリップ取りが右の方になるよう狙っておく必要があります。
リップの上、6手目は左で取って、右足を一段落ちている棚のところに上げるとマントル返しやすいと思うのですが、私が登った際には余裕がなく、ワタワタと手当たり次第持って登った形となりました。意外と不意落ちがありそうなので気をつけましょう。
お気持ち
ヒールから始まり、カチ、ピンチ、デッドと、ムーブやポジションづくりのバリエーションに富んだカラフルな課題でした。外岩での初・初段ということもありしっかりと記憶に残りそうです。
本文中でも危ない危ない言っておりますが、2回くらい不意落ちしてマット外に飛んで行ったことがあり、嶺の夕と違って下地が一枚岩でもなくガタガタしているので、できればマット3枚+スポッターがいると安心かなと思います。
初日はスタートも起こせず、各部の強度を確認して終わったのですが、2日目でどうにかバラせ、3日目で完登となりました。合計20トライくらい。核心はリップ取りと言われることが多いようですが、突出してリップ取りが難しいというよりは、最初から最後まで気が抜けない課題だと思います。ジムでもそうですが、初段と1級の違いというのはこの辺なのかなと。(もっと強くなったら初段でも一息つけるのかもしれないけど。)
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