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デジタルを使った靴づくり

こんにちは。yoshi_senseiです。

デジタル技術を使って靴づくりをサポートしています。3DプリントやCADを駆使して、デザインから製造までを効率よく進めるのが得意です。カスタマイズや製造プロセスの最適化にも力を入れていて、クライアントのプロジェクトがスムーズに進むように、具体的なアドバイスや技術サポートをしています。


デジタル靴づくりとは

これまでの靴づくりと何が違うのか? そして何ができるのか? そのポイントについてお話しします。

デジタル靴づくりでは、「3Dプリント」や「3D CADソフト」を駆使し、従来の手法では難しかった複雑なデザインやカスタマイズを効率的に実現する手法です。このアプローチにより、個々の足に合わせたカスタムフィットや、少量生産の靴づくりが可能になります。

3Dプリントシューズについて

まずは、私が手掛けた3Dプリントシューズの一例をご紹介します。

3Dプリント出力中
完成!
履いてます

このように、3Dプリントでそのまま履くことができる靴を作ることができます。

ただし、3Dプリンターだけでは靴をつくることはできません。

大切なのは3Dプリンターで靴を出力するための「3Dモデル」を3D CADで作成できるスキルです。つまり、3Dプリントするには、まず3D CADを使ってデザインを作ることが必要なのです。

私が3Dプリンターを購入したのは、家庭用プリンターが普及し始めた2013年頃です。
当時は3D CADを触ったことがなく、「3Dプリンターがあれば靴が作れる」と思っていました。しかし、実際には「3Dデータを作る」ことが必要で、それに気付かずプリンターを購入し、手探りで独学を始めました。どのソフトを使えばいいのかもわからず、試行錯誤の連続でした。

国内外で学びながら、約10年をかけて現在の技術にたどり着きました。今では「当時の自分に今の知識を教えてあげられたら」と思うこともあります。

だからこそ、初心者の方にも私の経験を基に、わかりやすくデジタル靴づくりをお伝えしたいと思います。
あの頃の自分に伝えるような気持ちで。

3Dデータ作成について(3Dモデリング)

3Dデータ、つまり3Dモデリングを習得するには、多くの練習が必要です。
以下は、私が過去に作成したデータの一部です。

これらのデータの多くは3Dプリントには使えませんが、モデリングの練習として役立ちました。たくさんのモデルを作ることで、靴特有の操作や技術に慣れていきました。

靴の3Dデータ
3Dプリント用のデータに変換
3Dモデルの数々

パラメトリックデザインについて

パラメトリックデザインは、数値やルールを変更するだけで、デザイン全体が自動で変化する仕組みです。言葉だけでは難しいので、以下の動画を見てください。

これは、靴底の厚みや形状を数値を変更することで、モデルに反映させている様子です。

ヒールの形状は同じですが、内部の格子構造が数値設定によって変化しています。

この技術を使えば、数十から数百パターンの構造を簡単に作り出すことができます。もしこれを手作業でやると大変ですが、この手法なら効率よく進められます。

足底圧による密度変化
格子(ラティス)構造の靴底
靴全体をラティス構造化

このように、足裏の圧力によって靴底やインソールの硬さを変化させて圧力を分散させたり、踵下の圧力が高い部分の構造を衝撃吸収構造にしたり、といったカスタマイズができます。


生成AIでのデザインについて

2022年に登場した画像生成AIは、驚くべきスピードで進化しています。

以下は、私がMidjourneyを使って生成したデザインです。

ベーシックなデザイン
3Dプリントを意識したデザイン

AIが生成したパターン意匠を3Dプリントに応用することもできます。
以下は、AI生成のパターン意匠をもとに3Dプリント靴を作成した例です。

AI生成パターンを3Dプリントで靴に出力

生成AIは日々進化しており、その技術を追いかけるのは大変ですが、常に学び続けています。


最後に

ここまで、デジタル靴づくりについてお話ししましたが、少しだけ私自身の経歴を紹介させてください。

私は新卒でスポーツシューズメーカーに就職し、約11年間、靴づくりの現場で経験を積んできました。退職後は、ドイツ式の成型靴や手縫い革靴の技術を学び、さらに靴型設計やパターンの展開技術なども習得しました。国内外で技術指導も行い、現在はデジタル技術を駆使して靴づくりのサポートをしています。

デジタル靴作りは、従来の技術と密接に結びついており、その基礎知識と新しい技術を融合させることで、より優れた靴作りが可能です。これからも、その知識と技術を皆さんに共有していきます。

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