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実験・調査実習を遠隔授業で行う場合のツール等まとめ

どうしてもデータの収集という作業が伴う実験や調査の実習授業を,何とか遠隔で行うにあたって,使えそうなツール等を改めてまとめてみました(以前書いたものが何となくとっちらかってしまった気がして,そちらをキチンとまとめ直せば良いんでしょうが,修正するよりは書き直した方が速そうなので)。個々のツール等についての詳細は,可能な限りリンクを貼っていますので,リンク先の情報をご覧ください。とりあえず,このページは入り口的なものを想定しています。また,かなり個人的な好みといいますか,自分の知っているものが重点的に紹介されているなどのバイアスがあります。その点はご容赦ください。

一応コンセプト,とか

まず,ここで考える条件は,以下の通りになります。

・対象とする授業は,心理学を始めとした社会科学系の実験や調査実習とし,自然科学系の同様の授業は対象外(応用できる部分もあるかもしれないが,筆者の能力を越える)
・データの取得を非対面,かつ非同期で行うことを想定します。1対1のインタビューのような同期型の調査は考えません。
・なるべく費用のかからない方法を考えます(ただ,やはり完全ゼロ円というのは難しいです)が,やはり費用をかければかける分だけ,実際に実験を行える環境を整えるまでの労力が小さくなりますし,実際にやる場合に,出来る選択肢も増えていきます。そこら辺は,本当に,人によって大きく異なりますので,ご自分にとって,最良のバランスを模索していただくしかありません。

では,行ってみましょう。

まずは,やっぱり研究法

いくら実験実習とは言っても,実験だけやってハイ終わり,というわけにはいきません。まずは,心理学の研究法についての講義なり,なんなりが必要ですよねえ。この辺は,遠隔だろうが対面だろうが事情は変わらないでしょう。かといって,遠隔に適した教材があるか,と言われると中々パッと思いつきません。とりあえず,竹林さん (@psycle44)さんの作った,サイレクマテリアルの講義資料全般とか見といてください(投げやり

はい。じゃ,次からは,メインのお話です。まずは,なるべくお金かけない方法@調査および質問紙型実験編から。

調査・質問紙型実験編 (1) なるべくお金かけたくない派

ここでは,これまで紙と鉛筆で出来ていたタイプの調査・実験のお話です。

まず,とにかくお金かけたくない派の場合は,選択肢としては 2 つ(まあ,ギリギリ3つ)です。

1. Google Forms

無料で済ませようとすると,やはりまず最初に来るのは Google Forms です。Forms については,ググると色々出てきますし,

こういった書籍もあります。ただし,無料なので,複雑な制御は諦めてください。一応,同じ質問内での選択肢の順番のランダマイズや,回答に応じた簡単な分岐は可能ですが,質問項目自体の順序をランダマイズしたりとかはできません。質問項目がわりとキッチリ固定されていて,形式の変更が必要ないようなタイプのデータ取得(例えば,既存の心理尺度を原著のそのままの順序で実施するなど)を目的とするなら大丈夫でしょう。

2. QuestionPro

Qualtrics に匹敵する機能を持った調査プラットフォームです(多分)。本来は,有料なのですが,かなり機能は限定されるものの,無料版で出来ることが多く,単なるお試し以上のことができるので,ここに挙げてあります。無料版で提供される機能は,執筆時点の公式サイトの記述によると,

調査の作成本数は制限無し,質問数の制限無し,反応数の制限無し(ただし,トータルで。一つ一つの調査は  1,000 件まで),質問は25種類以上,ロゴが使える,スキップロジックが使える,終了ページのカスタマイズ可,Excel と csv へのエクスポート可,

といったようなことが書いてあります。1つの調査で1000件までは取れるので,実習授業として考えれば十分じゃないでしょうか。Google Forms よりは,そもそも調査用途に特化して作ってあるので,使える質問タイプが多かったりで,よさげです。あと,Qualtrics と同じような Rich Text Editor が使えるので,Google Forms よりは画面構成の柔軟性が高いです。Qualtrics の使用経験があれば,何となくマニュアルを見ないでも質問紙が作れます。ただし,Google Forms と比べれば,圧倒的に情報は不足しています。ちなみに,無料アカウントだと,割と頻繁にコマーシャルメールが届きます(まあ,そこは許容するしかないですね)。有料アカウントは,年契約だと $85/month,月契約だと $129/month だそうです。面倒くさいでしょうが,使う時期だけ契約するというのもアリかも。

3. Lime Survey

オープンソースの調査環境構築ソフトです。Lime Survey の Community Edition バージョンを使えば無料ですが,こちらはサーバを自前で用意する必要があります。サーバを用意できるのであれば,こちらも選択肢の一つでしょうか。サーバを用意する必要のない,Lime Survey Pro という選択肢もありますが,月辺りのデータ取得数に制限がある割にはあまり安くなかったりしますので(Qualtrics のシングルユーザーライセンスよりは安いですが),こっちの Pro バージョン使うなら,上の QuestionPro を年間契約した方がいいいんじゃないかなー,というところです(それか人数集めて Qualtrics のグループライセンスにするか)。

ということで,この三者から選ぶとするなら QuestionPro ≧ Google Forms > LimeSurvey という感じでしょうか。まあ,QuestionPro と GoogleForms は正直どっちでもいいかなあ(好みの問題も大きいかも)。

あと,番外編として,実験用で出てくる jsPsych, lab.js を質問紙調査に使うという方法もないわけではありません。例えば,小林さんの書いた

というページに lab.js を使う方法があります。ただ,個人的には Google Forms なり,QuestionPro なりを使った方が簡単かな,という印象です。

調査・質問紙型実験編 (2) お金かかっても良い派

今後の研究のことも考えて,お金を払っても,やりやすい環境を整えたい派の方は,

でも書いた,Qualtrics, SurveyMonkey, QuestionPro(上でも書きましたが)辺りが選択肢になるでしょう。

予算が十分にあるなら,Qualtrics でしょうかね。それぞれ,無料でトライアルはできますので,ご自分にあった方を選んでください(ただし,無料トライアルでは,実際の調査・実験を行うのは厳しいかと)。

実験室型実験編 (1) なるべくお金かけたくない派

よくあるタイプの実験室実験を遠隔授業で扱う場合です。ただし,PC やスマホで出来ること限定ですので,実験の種類は制約がつきます。基礎実験で扱う範囲だと,

仮現運動,視覚探索,単語記憶の再生(虚記憶),ストループ効果(ただし口頭反応ではなくキー押しによる反応に変更の必要あり),連想プライミング,顔の再認,系列位置効果(反応取得の方法は考える必要あり),注意の瞬き,心的回転,サイモン効果,フランカー効果,ポズナーの注意の捕捉

といった辺りです。ただし,以前も書きましたが,

呈示時間がごく短いタイプの実験は,ブラウザの制約のために難しいかと思います。

この手の実験では,実験そのものを制御する部分と,それを実装する部分が分かれていることが多いです(特に,お金かけない派の場合はそうで,両者が一体化している統合型は基本的に有料です)。まずは,実験そのものを制御する部分の作成についてです。

 a. 実験プログラムの作成ツール

1. jsPsych

 心理学実験を PC 上で行うのは,長い間,自分でプログラムを書くか,E-Prime,SuperLab といったような専門の有料ソフトを使うのがスタンダードでした。そこに,Javascrpit を使ってブラウザで実験を行う,ライブラリとして jsPsych というツール(というか,javascript 用のライブラリ)が開発・整備され,今ではブラウザで実験を行うことが割と行われるようになってきました。ただ,jsPsych は,実験で使える機能を集めたライブラリ集であるため,実際に参加者に呈示される画面は HTML と CSS を併用して作成しなければなりません。

jsPsych 自体はオープンソースのライブラリ集であり,非常にフレキシブルですが,プログラムの作成は,エディタでコードを書きながら進める必要があるなど,プログラミングに慣れていないと,少々敷居が高いのも事実です。例えば,学生自身に実験を設計させるといったことを考えると,教えなければならない内容が多くなるため,ちょっと大変かもしれません。ただ,HTML, CSS に javascript を併用して実験を実行・制御するため,フレキシビリティが高く,実験を走らせる環境(実験実装環境,後述)への対応もしやすいです。それなりに,コーディングのスキルがあれば良い選択肢でしょう。

2. lab.js

lab.js も,jsPsych と同じように,javascript で実験を制御するためのツールです。ただ,jsPsych と大きく違うのは,Builder と呼ばれる実験構築ツールがあることです。Builder のおかげで,lab.js は,実験の作成が非常に楽にできます。lab.js の Builder は,

にあります。つまり,Web ブラウザで実験が作れてしまうわけですね。これはとても便利です。さらに,lab.js は,出来上がった実験は,基本的に HTML+CSS+javascript であるため,実験実装環境への対応もしやすいです。

(追記)大事なことを忘れてました。lab.js での実験の組み方については,↓にある大杉・小林両先生の神解説をご覧ください!(超便利)

3. OpenSesame

前2つが,javascript ベースだったのに対して,OpenSesame は Python ベースのツールです。また,こちらは専用のソフトウェアを持っており,そのソフトウェア上で実験を走らせることもできます。さらに,GUI で実験を構築できる Builder の機能も持っています。なので,イメージとしては,E-Prime や SuperLab に近い感じです(脳波計などとの連携も可能なようです)。しかし,E-Prime 等とは違って,オンライン実験にも対応しています(OSWeb という javascript ライブラリを使います)。しかし,OSWeb アプリ(?)として作った実験をホストできる実験実装環境としては,JATOS 一択になります。GUI での実験構築は,非常に直感的で使いやすく,学部生レベルでも割と簡単に実験を作成することができます。難点を言えば,日本語の解説が少ないという点と,オンライン実験をする場合のホストの選択肢が少ない点でしょう。

4. PsychoPy

PsychoPy も OpenSesame と同じく,スタンドアローンの PC で動かすための Python ベースの実験制御アプリケーションです。また,PsychoPy も GUI ベースの Builder を持っているので実験の作成は,わりと直感的に進んでいきます。PsychoPy もオンライン実験を作成することができます(ただし,PsychoPy3 以降)が,こちらで作った実験をオンライン上でホストする実装環境は,Pavlovia 一択になります。

PsychoPy の学習には,↓をどうぞ!

5. PsyToolkit

これは,lab.js などと同じように,ブラウザベースで実験の作成が行えるツールです。PsyToolkit の特徴は,実験をここで作成できるだけでなく,実験実装環境も兼ねているというところです。その意味で言えば,後述する統合型に分類されます(Linux 限定ですが,オンラインではなくスタンドアローンで実行できる環境もあるようです)。全て無料でできる,というのは素晴らしいところですが,Builder の機能はあまり高くないため,最初のハードルがちょっと高そうです(私もなんだかんだ言って,まだ試していません)。

 b. 実験実装環境

上で挙げた作成ツールは,実験そのものを制御する部分を作ってはくれますが,実験をオンラインで実施したり,参加者を管理したりという機能は持っていません。そのため,実験を実装するツールと併用する必要があります。この部分は,どうしてもお金が発生する(サーバレンタル,または実験のホスト環境の利用料)のが避けられない部分です。

1. 自前のサーバで HTML (または PHP) を公開

一番シンプルなのは,この方法でしょうか。jsPsych, lab.js,OSWeb / OpenSesame はこの方法が使えます (PsycoPy はどうなんだろう?試したことがないのでわかりません)。ただ,テスト実行はともかく,そこそこの人数のアクセスがある場合に、実験データをどう管理するかといった辺りは問題になるかもしれません(多分,直接ファイルに書き出す形になるので,何かあったときのデータロスが少し心配ですが,どうなんでしょうね?実は時間がなくてあまり調べていません)。サーバを自前で用意する必要がありますが,それ以外の費用は発生しません。

2. JATOS

何度か紹介している JATOS は,実験をホストする機能と,参加者の管理の機能を提供してくれるツールです。このツール自体はオープンソースなので無料です。そのため,こちらもサーバを自前で用意すれば,それ以外の費用は発生しません。なお,JATOS はローカルの PC にインストールして,それをネット上に公開して使うこともできます(ただし,それなりのセキュリティリスクはありますし,大学の PC を使う場合には,ファイアウォールの設定で難しいケースもあるでしょう)。

JATOS は,インストールには少々手間がかかりますが,一度インストールしてしまえば,後の管理はかなり楽です。また,JATOS は,jsPsych, lab.js, OSWeb (OpenSesame), PsyToolkit など,ホストできる実験の種類が豊富なのも特徴です。JATOS のインストール方法は,↑の公式サイトや,↓の記事を参考にしてください (CentOS8 + Nginx という限られた環境でのインストール記録ですが,他の Linux 系サーバでも,コマンドやファイルのパスが違うだけで応用は難しくないと思います)。なお,公式サイトには,Amazon AWS での公開方法や,Nginx ではなく,Apache を使う方法についても説明があります。

3. Open Lab

https://open-lab.online/

Open Lab は,lab.js で作成された実験をホスティングするサービスです (lab.js に特化しています)。ですので,こちらを使えば,自前のサーバを用意しなくても,オンライン実験が実施できます。ただ,料金プランによって,出来ることが違っていて,FREE Plan は無料ですが,実施できる実験は 1 つのみ,参加者の上限も 300 になっています。Professional Plan (6€ / 月)だと,実験は5,それぞれについて 1,000 人まで OK です。月 15 € の Laboratory Plan だと,実験数・参加者数共に無制限です。無料プランでは 1つしか実験できないので,授業で使う場合に同時並行で2つ以上の実験を行えないといった制約がつきます(参加者数の制限は,授業での利用ならばあまり問題にならなさそうです。そもとも300人を越える実験授業ってないですよね)。

この金額は年契約した場合の価格ですので,月単位の課金にした場合は高くなるかもしれません。また,公式サイトにアナウンスがあったのですが,Open Science Foundation (OSF) との連携がスタートし,OSF のリポジトリに直接データを保存するようにすれば,参加者数の制限はなくなるみたいです。この場合,プランの違いは同時に行える実験数の違いになるのでしょうかね。確かめていないので,何とも言えないですが。

4. Pavlovia

もともと,PsychoPy のホスティングサービスとしてスタートした(のかな?)Pavlovia ですが,今では,jsPsych, lab.js で作った実験もホストできます。Pavlovia の価格は,参加者1人につき 0.2£ の従量課金か,年1500£のサイトライセンスの2択です。試してはいないのですが,GitLab リポジトリと連携させて,実験自体の管理はそちら経由で行う方法もあるみたいですね。非常に管理は簡単そうですが,課金の部分をどう考えるかで判断が分かれそうです。 

 c. なるべくお金かけたくない派の選択肢

ここからはかなり独断と偏見が入りますが,多少の労力を厭わず,そして可能な限り出費を抑えたい,ということであれば,

・lab.js または OSWeb (OpenSesame) + JATOS
・lab.js + Open Lab

のどちらかが,使いやすいかなあ,という印象です。JATOS は,自前のサーバが必要,そしてインストールに一定程度の知識・スキルは要求される,Open Lab はそれはないけど,一度に実行できる実験数に制約がある,というメリット・デメリットがあるので,そこら辺を天秤にかけてどうするかでしょうか。

ある程度の出費を覚悟するなら,lab.js  + Open Lab の有償ライセンスか,lab.js + Pavlovia でしょうかね。Open Lab と Pavlovia はライセンスの形態がそれぞれ違うので,ご自分の行いたい実験(や実習)の形態や,必要なデータ数に応じて決めていただくと良いでしょう。データ数が比較的少ないならば,Pavlovia の従量課金が安くなりますが,データ数が必要な場合は,一気にサイトライセンスになってしまうので,Open Lab の方が安いと思います。

実験室型実験編 (2) お金かかっても良い派

実験について,出費を覚悟するならば,ワンストップで全てが済む(リクルートはまた別ですが)統合型のサービスが良いと思います。統合型のサービスは,実験の Builder,ホスティング,参加者の管理がワンストップで完結するタイプのものです(参加者自体は,別ルートで集める必要があるので,参加者管理というよりはデータ管理と言った方が良いかもしれません)。統合型のサービスについては,↓にまとめてあります。

細かい話は↑を見ていただくとして,ざっと一覧だけ挙げておくと,

1. Inquisit Web

スタンドアローンの PC で使うことができる,Inquisit (Lab 版)をオンラインでも出来るようにしたサービスです。Inquisit の資産がそのまま使えるので,既に使っていた場合は有力な選択肢となります。ライセンスは基本的に期間契約です。

2. Gorilla.sc 

割と使いやすい Builder を持った,最近出来たサービスです。こちらは,基本的に従量課金制で,Academic Price だと,$1.08 / 人です(2020年4月7日現在)。

3. Labvanced

こちらも使いやすい Builder を持ったサービスです。画像呈示ようのキャンバスフレームと,質問紙を入れるページフレームなど基本的な刺激呈示はもちろん,ランダム化や条件分岐などの制御もできますし,ウェブカメラを使ったアイトラッキングや,音声の録音なんかもできるみたいですし,集団実験にも対応しているようです。まあ,全て公式サイトに受け売りで,試したことはないので,実際どれくらい使えるのかはわかりません。無料トライアルだと,月に10反応しかとれないので,テストにはイイですが,実際のデータ収集の場合は,1.29€ / 人の従量課金か,Premium または Lab のいずれかを選択することになります。前者は,一度に走らせることができる実験は1に限定されますが,参加者数の制限なし,後者はアカウント作成も無制限にできます(もちろん,実行可能な実験数の制限もありません)。ただし,前者が 333€ / quater なのに対し 1080€ / quarter という感じで,高額です。

4. Qualtrics

調査編で紹介した Qualtrics も,一定の制約はありますが,実験に使うこともできます(ペーパー・ペンシルタスクなら全く問題ありません)。

5. PsyToolkit(番外編)

お金かけたくない派のところで説明した PsyToolkit も,カテゴリーとしては統合型に分類できなくはありません。PsyToolkit のメリットは無料だということですが,上に挙げた統合型のサービスに比べると,ビジュアルな Builder もないし,やはりとっつきにくいという点が気にはなります。その意味で,このサービスでかかるコストは,労力の面でのものになります。ですので,ちょっと癖のある PsyToolkit の実験の作り方さえマスターできれば,全て無料という点は大きなアドバンテージになります。

ということで,お金がかかっても良いので,労力を抑えたいという場合は,どのくらいのデータを取る必要があるかによって,選択肢が変わりそうです。コンスタントにそこそこ多くの人数のデータをとり続けるならば,Inquisit Web か,Labvanced のシングルユーザー Premium ライセンス,研究室単位など費用負担者を分割できる(または,共通経費を使える)ならば,Labvanced の Lab ライセンスでしょうか(利用人数が多いほど単価が派安くなります)。そこまで大量のデータは取らないのであれば,Gorilla.sc の従量課金プランが比較的安く上がりそうです(もちろん Labvanced の従量課金プランでも)。なお,ちょっとだけ試してみた感じでは,Gorilla  の方が個人的には好みでした。

あと,自分では全く使ったことがないので,紹介してきませんでしたが,行動経済学などの複数参加者実験で使う oTree については,

があります。オンラインで実験を行う場合は,自前でサーバーを立てるか,Heroku というサービスを使うことが推奨されています。

テスト用途ならば Free Plan で OK だが,実際に実験を行うなら有料プランの方が良い,とのことです。

以上,実験開発環境と実装環境,またかけることができる費用に応じた選択肢について整理してみました。どれがベスト,というのはなかなか決めがたく,結局は費用対効果を考えて,どれが自分にとって,最も Satisfycing な選択肢かを考えていくしかなさそうです。

データの分析

取得したデータの分析には,統計ソフトを使う必要があります。統計関連情報については,サイレクマテリアルにまとめがありますので,そちらも参考にしてください。

分析については,以前もまとめました(↓)ので,詳しくはそちらをご覧いただくとして,

遠隔授業という前提で,かつ,受講学生が PC を使えるならば,JASP か,jamovi あたりが無難(特に,初等実験実習のレベルだと)でしょうか。将来的なことを考えると,本当は R/RStudio が良いですが,ずっと文系で来た学生に教えるのは,ちょっと大変です。

スマホしか持っていない学生は,どうしましょうねえ。未だに,これについては私もどうしたらいいかわかりません。事情が許せば,PC を自宅で使えない学生のために,大学の実習室を部分的に開くとかしかないでしょうか。あとは,やっぱり,R/RStudio を教えることにして,自前で RStudio サーバを立ち上げるとかでしょうか。

こちらについては,もう少し考える必要がありそうです。

さて,最後が少し尻切れとんぼ気味ではありますが,これで,遠隔授業で実験・調査実習をするために役に立ちそうなツールのまとめを終わります。


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