採用予算を増やさずに採用目標を達成した会社の秘密【完全版】
先日、ある企業の新卒採用担当の方とサシで食事をする機会がありました。
※特定を防ぐため企業名は公表できません
3年ものあいだ目標未達の新卒採用チームを2年で立て直し、採用予算を変えずに内定者数を30名→50名にしたエピソードを詳細に聞くことができました。
「どっから手をつけたんですか?」
「何が問題だったんですか?」
「なぜそれが問題だとわかったんですか?」
「何をどう変えたんですか?」
「うまくいったことと失敗したことは?」
と食い気味で質問しまくる私に対して、嫌な顔一つせず懇切丁寧に教えてくださいました。
結論から言うと、ポイントは
「歩留まりの改善に寄与する施策に注力したこと」
でした。
たとえば、会社説明会への参加者数を増やすためには、
1.認知度を増やす
2.告知回数を増やす
3.参加率を増やす
4.開催数を増やす
の4つの方法があります。
では、突然ですが、問題です。
採用予算をなるべく使わずに、1.認知度、2.告知回数、3.参加率を同時に向上させられる方法とは、いったい何だと思いますか?
答えは1つではありませんが、採用担当の方が徹底して行ったのは、「自社ブログとSNSを活用した採用広報」でした。
採用広報が、
1.まだ自社を知らない学生さんが自社を知るきっかけになる(認知度が増える)
2.自社に興味を持っている学生さんへの告知にもつながる(告知回数が増える)
3.自社が「いいな」と思ってもらえたら説明会への参加につながる(参加率が増える)
の3つに同時に作用することを知り、思い切ってやってみたそうです。
しかしながら、もちろん最初からうまくいったわけではありません。
採用広報は、戦略なく闇雲にやればいいものではなかったのです。
主な失敗例としては、毎月長文(3000字)の記事を10個も投稿していたこともあったのですが、更新頻度と成果が比例せず、すぐに方針を変えたそうです。
よって現在は、
・自社メディアは毎月4回の投稿(長文コンテンツ)
・SNSは毎日5~10回の投稿(短文コンテンツ)
でコンテンツの品質には相当こだわっているようです。
そして、さらに言えば、採用広報は、会社説明会への参加者数を改善するだけではとどまりませんでした。
本格的に取り組む前後では、
・エントリー数/率の改善
・選考希望率の改善
・内定辞退率の改善
とすべての歩留まりの改善にも寄与したと語っていました。
以上を一言でまとめると、
「採用広報を通じて、就活生とのコミュニケーションの量が増え、自社を深く知ってもらえたことが歩留まり改善のカギだった」
とのことでした。
私はすべてを聞き終えて、
「すごくタメになりました。まさにウチの会社で実現させたい採用広報の支援サービスの理想的な姿です。いやー、いろいろと教えてくださってありがとうございます」
と感謝を告げました。
しかし、話はこれだけでは終わりません。
「でも…採用広報をやる上で、というか、歩留まりを改善する上で、ただ記事を書いて発信するだけじゃなくて、もっと大事なことをやってますよね?」
と切り込むと、採用担当の方は「バレました?」と言ってニヤリと笑いました。
「そうですね。採用広報のアイディアを思いついたのも、実は僕じゃないんです。すべて教えてもらったんですよ」
あまりにもったいぶって話すので、僕は間髪入れず、
「どなたからですか?」
と聞きました。
「教えてもらったのは、ウチを辞退した学生さんです。僕が歩留まりを改善し続けるためにやったのは辞退者へのヒアリングです。しかも表面的な質問じゃなくて、めっちゃ深堀します」
採用担当の方は話を続けます。
「ほら、採用って、他の企業と比べて1番にならないと無意味じゃないですか。でも、他の企業がどんなことをしていて、なぜ魅力的なのか、うちの会社のどんなところに不満があったのかって、僕たちは知らないし、わからないじゃないですか。ただ、唯一、知っている人がいるんですよ。それはウチの会社を選ばなかった学生さんだけです」
私は全力でうなづきながらも、こんな疑問を投げかけました。
「たしかにわかるんですけど、辞退した学生さんへのヒアリングって難しくないですか?振られた彼女に『俺のどこが悪かった?』って聞くぐらい恥ずかしいし、実際、快く教えてもらえるもんなんですか?」
訊ねると、採用担当の方は笑いながら続けました。
「もちろん、僕個人は振られた理由を女の子に聞くタイプじゃないですよ。それに、採用で振られたのは会社であって僕じゃないですからね。でも、歩留まりを改善する答えは辞退者しか知らないので、とにかくやるしかないですよ。恥を忍んで頼めば学生さんも正直に応じてくれますよ」
「なるほど、それはごもっともですね。ちなみに学生さんは、どんな理由で採用広報がいいよって、教えてくれたんですか?」
「何人かの学生さんから人気のあった企業が採用広報に力を入れていることがわかって。その次に『どんなところがいいの?』って聞いたら、『気になる企業から定期的に通知される採用ブログの記事はつい見ちゃうんです』って言ってたので、これはやるべきだなと思ったんです。接触回数を増やすのはファン化する基本のキですし。芸能人がSNSやブログやるのも同じ理由ですからね」
「たしかに接触回数が増えれば、学生さんにとっての入社したい1番になる確率は高くなりますよね。脳内シェアの奪い合いですからね」
「ええ、どんな方法であれ、1番にならなきゃ無意味なんです。ウチの場合、効率よく勝てそうな手法が採用広報だったんです」
「でも、採用広報が勝ち筋じゃなさそうな企業ってあります?」
「たとえばウチがもし採用人数が5名以下だったら、採用広報よりも、選考内容に時間と人とお金を注力しまくって、"リアルな体験"で他社と比較して1番になるところを目指します。実際、そういう戦略の会社にほしい学生さんを奪われたこともありますからね(笑)でも、採用人数が10名を超えてくると予算や採用メンバーの数にもよりますが、多くの人にアプローチできるやり方で1番になれることを考えないといけないんですよね」
「1番になれることに注力するのが大事なんですね」
「そうです。あれもこれもとまんべんなく中途半端にやっているから誰からも選ばれない。結果として辞退者が多くなるんです。1点集中するのは外すと一切結果が出なくて怖いので、勝つための戦略と覚悟がないとできないですけどね」
・・・・
そんなこんなで熱く語り終電ギリギリまで21卒の採用戦略についてディスカッションをしていました。
辞退者へのヒアリングをもとにして、すべてを猿マネしてもうまくいかないのですが、『なぜ他社が1番になっているのか』を徹底的に深堀していくと、じゃあ自社が次にどうすればいいのかの戦略や戦術を思いつくと彼は語ります。
【次回予告】
次回のメルマガは、優秀な学生さんを採用し、さらに独自の育成法によって超優秀にしていくベンチャー企業の採用ノウハウを紹介します。
どれくらい優秀かというと、
「新卒1年目で新規事業を立ち上げ
数ヵ月で1,000万円を売り上げた」
レベルです。
ノウハウの公開はOKで、「会社説明会などに自社の採用担当の方に見学にきてもらうこともできる」とのことでした。
ぜひお楽しみに。
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