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トケラウドメイン「.TK」の隆盛と現在地

MIT Technology Reviewに、非常に興味深い記事がありました。ポリネシアの島嶼のひとつであるトケラウのドメイン「.TK」に関するものです。

これまでドメインに注目してきた方ならお分かりかと思いますが、「.TK」は多くのスパムやフィッシングの発生源となったドメインであり、近年「.TK」の運営が問題視されていました。

今回は、MIT Technology Reviewの内容をまとめてみました。

  • オランダ人実業家である「Joost Zuurbier」が持ち込んだアイディアに乗り、彼に「.TK」の管理運営を任せた

  • トケラウは、「.TK」の運営から得た利益の一部を受け取る契約をした

  • ウェブサイトの広告を載せる代わりに「.TK」は1年間無料で提供される

  • 長期利用をする場合は、料金を支払う

  • 無料であるが故、多くのスパム業者、フィッシング業者、マルウェア業者を魅了し、多くの問題が発生した

  • 発生した問題は、ポルノ、ジハード主義やKKKのプロモーション、中国政府が支援するハッカーによる「.TK」を使ったスパイ活動等である

  • インターネットコミュニティからの苦情を受け、トケラウが状況改善に動く

  • オランダの実業家Joost Zuurbierの会社である「Freenom」は、トケラウドメイン「.TK」の他、アフリカ4か国のドメインを運営していたが、オランダにて投資家に訴えられ敗訴した

  • Freenomは、Facebook等を所有するMeta社からも商標権侵害等で損害賠償請求をしている

  • Meta社は、事例として「faceb00k.tk」、「whatsaap.tk」、「Instaqram.tk」などを提示している

  • Cybercrime Information Centerは、過去数年Freenomのドメインは全世界のフィッシング攻撃の14%を占めており、2022年11月に全てのccTLDで報告されたフィッシングドメインの60%を占めていた、と報告している

  • 2023年1月、「.TK」の登録は停止され、アフリカ4か国もFreenomとの提携を解消している

  • トケラウだけでなく、ポリネシアの他の島嶼やアフリカのドメインでも同様の事が起きており、一部の有識者は、デジタルを使った植民地化だと発言している

  • サイバー犯罪に関する専門家であり、The Internet for Dummiesの著者であるJohn Levine氏曰く、無料のドメインネームを欲しがるのは詐欺師だけであるとの事

  • Spamhaus ProjectのCarel Bitter曰く、無料で登録できるドメインが無くなったとしても、非常に安価なものを含む「他のドメイン」で同様の事が繰り返される事を懸念しているとのこと

長い記事だったので、まとめも長くなってしまいましたが、個人的に非常に興味深い内容です。
確かに金額だけを見て、安価なドメイン業者経由でドメインネームの登録を行う個人・法人がいますが、結果、そのような業者がさらなる大量登録を推進する資金や原動力を与える結果になるかも知れないです。場合によっては、間接的に犯罪や知的財産侵害に加担する結果にもなるので、企業としてドメインネームの管理を委託する業者は、改めて考え直さないといけないかも知れないですね。

ちなみに、一番上の写真はトケラウを構成する3つの島のひとつです。綺麗な島ですね。今後は、デジタルも綺麗に保って欲しいですね。

村上




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