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第2回読書会 武者小路実篤「友情」を読む

メンバー:岩本吉隆、外舘健人、澤井歩

 2023年3月3日に徳島市秋田町にあるグランシャトーレインボー「クレイドル」にて第二回読書会を開催しました。今回は私、澤井歩が武者小路実篤「友情」を選書させてもらいました。選書した理由としてはたまたま本屋で「友情」を手に取り私を含めたメンバーが普段読まないであろうジャンルであるためです。

「友情」のあらすじとしては野島という駆け出しの脚本家が、美しい杉子という女性に出会って以来片思いをつのらせていく。そんな中野島は親友の大宮に溢れ出した杉子に対する熱い想いを打ち明けるが、、、。野島と大宮、杉子の三人が三角関係にズルズルとハマっていくことを中心に話が進んでいく大失恋小説です。


 今回まず議題としてあがったことは夏目漱石の「こころ」との比較できるという点です。武者小路実篤は事実上夏目漱石に師事しています。1914年「こころ」の発行から6年後の1920年に「友情」が発行されています。登場人物が三角関係になっている点で類似性が見られます。また場面が手紙に移り変わるところも構成上似ていると言えます。作品上3人もの人がなくなってしまう「こころ」に対して劇的なことは起こらず比較的にポジティブに生きていこうと前を向くのが「友情」ナノではないでしょうか。作風としては物語の出来事を淡々と述べていく形式で、深い哲学的性的描写があるわけでもない。より大衆的な作品にしたかったのではないだろうかという意見が出ました。また手紙の書き方など当時の生活が垣間見え本書がどういう位置にあったのかの話で盛り上がりました。


また本書が失恋小説とはいえ青春小説の一種なので人間関係にも焦点が当たりました。外舘健人さんいわく野島はジャン・ジャック・ルソーのような人間で失恋に打ちのめされた跡隠居生活送り幸せにはならないだろうということでした。私としては野島には嫉妬に富んでいる部分に親近感を抱くため野島君の肩を持ち幸せになってもらうことを願うばかりです。また岩本先生いわくこの作品の最大の不可思議なことは野島がどのようにすごいのかわからない点にあるという。大宮が唯一心を許し認めているのが作中の野島である。また杉子にも恋愛対象外であるとはいえ尊敬されている。だが確かに良い人とは書かれているが具体的にどう優れた人かということは明記されていないのです。はぐらかされているような気さえします。これじゃまるで都合が良い人であるかのようです。野島くんが心底可愛そうです。


話は変わりまして、最後にこの本のタイトルにもなっている「友情」について語り合いました。世代の違いが見せるそれぞれの友情観がわかり、まだまだ自分は青いなと改めて感じました。それぞれの友人がいてそれぞれの友情間ができている、そんな環境が違う中で集まり読書会を開けていることが面白く感じました。年齢によって読み方、感じ方が違うため時間をおいて繰り返し読み直すこともこの本の楽しみ方のひとつではないでしょうか。


終わりに
 以上、第二回読書会の内容をまとめてみました。ここでは取り上げきれなかった話題も多くありとても楽しい読書会でした。

 読書会はオンラインでも行えますので、興味があればご連絡ください。
参加費 500円
お問合せ https://iwamoto-studio.com

英語塾を開校し、授業の傍ら、英検や受験問題の分析や学習方法を研究しています。皆さまの学習に何か役に立つ事があれば幸いです。https://highgate-school.com/