多田さん

【Vol.7 グローバル人材インタビュー】元Jリーガー第2の人生。「経営者 多田大介」の新たな挑戦@シラチャ

多田 大介 Daisuke Tada
1982年、岡山生まれ。2001年、東海大学付属第五高校を卒業し、セレッソ大阪に入団。08年、愛媛FC〜セレッソ大阪〜大宮アルディージャ〜鳥取SC〜FC岐阜〜セレッソ大阪に渡る。14年、選手兼指導者としてシラチャFCに入団、15年に引退。「Cilie Sports Club」代表。指導者ライセンス保持。

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 現役時代の多田さん

 元Jリーガーの多田さんは、現在タイのシラチャで「Cilie Sports Club(以下Cilie)」の代表として活躍されています。私はビジネスパーソンとして「元Jリーガー多田大介」ではなく、「経営者 多田大介」に以前から興味を持っており、今回その多田さんにプロサッカー選手として培った「プロ意識」をどのように現在の経営に活かしているのか、そしてその経営手法は抽象度を上げると現代のビジネスパーソンにどのような示唆があるのか?という観点を持ちインタビューを実施しました。

プロとは何か?ビジネスパーソンが本来持つべき「プロ意識」を問う

よし
 本来ビジネスパーソンも「プロ意識」を持つべきだと思うのですが、やはり1年1年勝負しているプロスポーツ選手と比べると、その「プロ意識」は低いように感じます。多田さんにとって、「プロ」とはどのような事を指しますか?

多田
 一言でいうと「認められること」だと思います。もうこれに尽きると思います。認めらるというのは「その人に価値がある」という意味なので、その価値をどう見出していくかがプロとして重要だと思うのです。

 選手でいうと、現役でバリバリ活躍することも1つの価値でしょうが、集客の面でチームに貢献する事が出来ればそれも立派な価値だと思うのです。それも全て誰かに認められているかどうかにかかると思うのです。

 会社でもそうだと思うのですが、自分にしかできない「何か」を見つけて自分に「価値」をつけ、そして「認められる」のが重要だと思います。

よし
 多田さんはご自身の「価値」をどのように見出しているのでしょうか?具体的に意識しているような事があれば教えて下さい。

多田
 僕がこれまで培って来たもので使える武器は、元Jリーガーという経歴と自分の名前です。ただ、この経歴も日本にいれば珍しくなく、元Jリーガーという人は日本に実は沢山いるのです。ところが、腰を据えてタイにやって来た元Jリーガーとなると僕しかいない訳です。そんな場所で勝負すれば自分の経歴や名前も十分「価値」になる思いました。

 更にその「価値」をより一層活かす為には、そこで何をやるかも重要だったのです。僕は自分の経験上、タイリーグには大きな可能性があると思っていた一方で、そこに挑戦するにはその挑戦をサポートするソフト面の改善が必要だと思っていました。

 そのサポートを経験者である僕がやる事で、「多田のサポートだったら挑戦してみよう」と僕を信頼して挑戦してくれる人が増えるのではないかと思いました。それも僕にしかできない「価値」だと思ったのです。

トコトン「価値」にこだわる。経営者 多田大介の挑戦

よし
 そんなご自身の「価値」を最大化させようとタイで起業し、「経営者 多田大介」としての挑戦が始まる訳ですが、最初からうまくいったのでしょうか?

多田
 全然うまくいかなかったですね(笑)。タイ人スタッフとのコミュニケーションも勿論最初うまく取れなかったですし、タイリーグに挑戦したい人のサポートと言っても、一人で出来る事は限られていました。

 運営母体がなかったので、まずは社会人のサッカーチームを寄せ集めて作って、本気でプレーするグループの中からプロへ挑戦できるような人を見出そうと思いましたが、そういう選手も当時なかなか現れなかったです(2020年3月1日現在では、5人のプロサッカー選手を輩出)。

よし
 そうなんですね。一方、プロサッカー選手を輩出させる事とは別に、現在Cilieの中で子供のサッカースクールなども運営されていますが、この活動も当初から計画されていたのでしょうか?
*多田さんのタイに来た経緯、Cilieの活動は以下記事参照(出所: Wise)

多田
 やりたい事の「柱」はプロサッカー選手に挑戦したい人のサポートでしたが、とは言えその活動を周囲から応援してもらう必要がありました。子供のサッカースクールは勿論子供にもサッカーの面白さを伝えられる事が出来ますし、スクールを運営して行く中で、その「柱」の活動を子供やその親の皆さんから応援してもらえるような形になれば良いと思ってスタートさせました。

 極端な話、サッカーはボールとコートさえあれば出来ます。シラチャの街には多くの日本人の方々が在住しているので、このスクールを始めた時もそれなりに人は集まるのではないかと思ってスタートさせ、今では沢山の子供達に参加してもらっています。

よし
 今、この屋根付きのコートとクラブハウスを新設中(2020年3月1日現在)ですが、これはどのような意図があっての事でしょうか?

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多田
 これは僕にとって、「人生最大の買い物」でした。ただ、この買い物も数字の面から見て価値のある買い物だと現時点では思っていますし、このコートとクラブハウスを利用した、次の計画なども実は考えていたりしています。

よし
 今話を聞いていて、経営者多田大介はトコトン「価値」にこだわった経営者と思ったのですが、他に経営者として大事にしていることはありますか?

多田
 やはり人ではないでしょうか?活動の運営を手伝ってもらっているスタッフもいますが、そのスタッフの満足度が低いと、僕たちの提供価値も低くなってしまいます。スタッフの満足度は「やりがい」やそれから勿論「給料」などもあるでしょうが、僕は何よりもスタッフにも「プロ意識」を持ってもらいたいと思っています。

 僕達は出社時間も退社時間も特に決まっている訳ではありません。僕がそれぞれの部門の細かい活動や中身に口を挟む事もほとんどありません。なので、プロとしてのスタンスを失わず、しっかり結果や数字にこだわって仕事をしてもらいたいと思っています。

よし
 私も多田さんに比較的近い考えをもっており、自社の従業員にも「プロ意識」を求めてしまうのですが、一方で全従業員がその「プロ意識」を持って仕事出来るかと言うと決してそうではなく、どのようにその「プロ意識」を醸成させるかに課題感を持っています。多田さんはどのようにされているのですか?

多田
 僕も同様の課題感を持っています。スタッフの経験や年齢も全く異なるので、例えばダイレクトに物事を伝えたほうが良いのか、もしくは実際にやらせてみて、本人自身が気づくまで様子をみるのが良いのか、その時々で判断はしています。

 結果に対しても期待値がそれぞれ異なる時があるので、その意識合わせをコミュニケーションを取りながら行っています。実際には凄く難しい部分もありますし、時間はかかりますが、徐々に「プロ意識」を持ったチームにして行きたいと思っています。

よし
 昨今、ビジネスパーソンの中では「自己ブランディング」というのがキーワードになっていますが、私からみる多田さんは、元Jリーガーという点も含め、「自己ブランディング」が凄く上手いと感じるのですが、その点で意識している事はありますか?

多田
 これは、タイの中でも「シラチャ」を選んだというのにも繋がるのですが、「自分はどこで勝負するか?」というのも「自己ブランディング」に影響すると思うのです。繰り返しになりますが、自分が今持っているものの「価値」が最大限活かせる最適な「場所」を見つける事が1つ「自己ブランディング」にも繋がるのではないかと思っています。

 「自己ブランディング」とは少し異なるかもしれませんが、この最適な「場所」に関してはスタッフに対しても意識している点で、スタッフがどの「場所」であれば自分の力を一番発揮できるかというのは注意深く見ています。スタッフもそうですが、僕もどこであれば一番力が発揮出来るのかをいつも考えるようにしています。

経営者 多田大介が描く、将来の姿や夢とは?

よし
 経営者 多田大介が考える、将来の姿や夢をお聞かせ下さい。

多田
 原点に戻るのですが、僕の使命はあくまで選手がプロとしてキャリアを積めるように最大限のサポートをする事だと思っています。僕が運営するチームはその受け皿となれば良いと思っています。

 チームをより良く運営して行くためには、個人だけでなく、応援してくれる企業も探さなければなりませんし、応援してもらう為には、もっとチームを魅力的にしなければなりません。

 何より、選手が第一なので、選手の為にはどのような運営がベストなのかももっと考え抜かなければならないと思っています。

 将来的にはこのような活動を面白いと思ってくれる人が、個人や企業だけではなく、シラチャの街全体に広がって欲しいと思っています。その為にはもっともっと今のチームを魅力的にして行きたいと思っていますし、全ての活動に価値を与え続けたいと思っています。

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娘さんとコートで遊ぶ多田さん

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