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With/Postコロナで、海外ビジネスを担う次の世代をいかに育成するか?

こんにちは。よしです。2020年も気がつけば残り3ヶ月を切っています。年初に立てた計画を見直し、その未達成ぶりに唖然としながらも、「まだ、やれる」と自分で自分を鼓舞しております。安西先生の「あきらめたら、そこで試合終了ですよ」が心に響く…

さて、本日は最近海外赴任した人から3つの質問を受けましたが、いよいよ最後の質問になりました。ズバリ「海外ビジネスを担う次の世代が作れなくなってきた…?」について考えてみたいと思います。

✓実際に駐在員は育っているのか?駐在員がひとり立ちしている割合は?

いきなり本題です。皆さんの会社では、次世代の駐在員がしっかり育っているでしょうか?この質問に自信を持って「ある」と言える会社は素晴らしいですね。戦略的駐在員人事戦略と、その期待に応える能力を持った従業員が揃っているのでしょう。

さて、駐在員はある一定の駐在期間があり、ローテーションを行っているように見えるので、「ローテーションしていれば、そこそこ駐在員って育つんじゃないの?」と思われるかもしれません。ですが、現実はそう簡単ではありません。

実際に何が起こっているかと言うと、いくら優秀な人でもやはり駐在員としての「向き、不向き」があったりします。10人が駐在して、その10人が立派に育って行くかというとそうでもなく、感覚的には10人中5人駐在員としてひとり立ちすれば御の字であり、実際には10人中3人くらいが妥当な数字かもしれません。

そうなると会社としても、海外駐在した事のない未知数の人材を海外に送るよりも、既に海外で結果を出し、ひとり立ちしている駐在員をスライドで他国に送り込むほうがリスクも低く、ある程度計算通りの駐在員人事戦略が実行出来るのです。「育成重視」か「結果重視」かというジレンマに陥るのは想像に難くないと思います。

✓ラッキーが重なった私の駐在員人生

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「よしさんは駐在8年目3ヵ国をスライドしているので、ひとり立ちした駐在員ではないか?」と思われるかもしれませんが、謙遜でもなく、つい最近まで全くそうではなかったです。振り返ると本当にラッキーが重なったと思っています。

つまり、会社的にも8年前は「東南アジアに攻めていくぞー」「誰か海外で働きたい奴はいないかー」というイケイケドンドンの風向きがありました。その中で手を挙げて、私も何も分からないまま同じようにイケイケドンドンで海外の仕事を開始しました。

今では笑い話になるような沢山の失敗をしてきたものです。例えば新設の製造ラインをインドネシアに導入し、一度も生産しないまま製造を中止したり…。今これをやってしまうと、私の駐在人生は終わったと思うのですが、当時は「誰もやったことないし、しゃーないな」的な雰囲気に助けられ、首の皮一枚繋がりました(誰も言ってませんが、自分でポジティブに。。。)

その後も「ベトナムに攻めていくぞー」という掛け声のもと、イケイケドンドンで仕事をし、ここでも沢山の失敗をしながらも、多くの人に助けられながら切り抜けた…という感じです。この時既に駐在2年目でしたが、駐在員としての自信も全くなかったですし、本当に「やる気」だけで海外の仕事に向き合っていたと思います。

当時会社もまだまだ海外展開真っ只中であり、結果その波に乗れただけというのが実際の状況だったのです。唯一私が誇れるとすれば、その波に乗ろうと手を挙げた事だと思います。ですので、駐在員としての能力が当時から備わっていた訳でもなく、本当に会社の海外展開の波に乗っただけなのです。

✓成熟な会社ほど、駐在員を送りにくいという現状

私は沢山の失敗をして来ましたが、8年目をむかえ、やっとそれなりの駐在員になったのではと思っています。但し、私がそう思えるようになったのも実はつい最近ですし、それまでに要した失敗や年数を考慮すると、駐在員としてひとり立ちするのは、2~3年の駐在期間では短いと思うのです。やっと駐在員として何かをつかみ始めた時に帰任という結果になってしまいます。

私のように会社の海外展開の波に乗れれば良いですが、今のコロナ禍で国内回帰も進む中、そんな波が再び押し寄せるのは難しい状況だと思うのです。イケイケドンドンは当分やって来ないでしょう。

かと言って、既に海外展開を何年もしていて、成熟な現地法人に「人材育成」という名目のみで人材を海外に送り出すことも、益々難しくなって来ていると思います。

各企業や業界に差はあるものの、昔に比べて「海外に人材を送り辛い」というのは明白だと思います。

✓海外ビジネスを担う次の世代をどのように育成していくか?海外ビジネスの将来の姿とは?

このような状況下で、次の世代をどのように育てていくべきなのでしょうか?これには2つの戦略が必要になって来るのではないかと思っています。

1. 駐在員の駐在期間を延長する
私が体験したように、2~3年で駐在員としてひとり立ちするのはなかなか難しいと思います。会社の海外展開の波に乗れるかどうかのタイミングも含め、短期で駐在員として成熟するのは困難だと思うのです。いっその事、駐在期間を思い切って5年~10年を目途に長期滞在を前提に戦略を立てるのが良いのではないでしょうか?

その人には駐在員としてプロを目指してもらい、かつ外国人に対しても物おじせず、海外の経営を引っ張れるような、生え抜きの日本人経営者を海外で輩出するのが一つ目の戦略になります。

2. バーチャル海外マネジメント

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もう一つの戦略が、これは特に「次の世代をどのように育成していくか?」に対する解です。それは日本からの「バーチャル海外マネジメント」になります。現地で働くという「駐在員」を前提にすると、コロナ禍も含め、様々な困難が考えられます。Beforeコロナでは「駐在しなければ海外経験が積めない」と思われがちでしたが、今はオンラインで「バーチャル海外マネジメント」も出来てしまいます。

仮に現地メンバー数名に対し、日本のAさんにレポートさせるようにしてみるだけで、このAさんはバーチャルに海外マネジメントの難しさを体感でき、そこから徐々に海外ビジネスを経験して行けると思うのです。

もちろん、「現地でしか出来ない事」も存在するので、その辺りの業務仕分けは必要です。私の感覚では今ある駐在業務を10とすると、そのうちの7割程度はオンラインでも出来てしまうと思います。

3. 1と2の融合で、駐在員は本来現場でしか出来ない最優先事項に集中する
最後が、上記1と2の融合です。2で今ある駐在業務を10とすると、そのうちの7割程度はオンラインで出来てしまうと言いましたが、実は最も重要なのは残りの現地でしかできない3割のタスクなのです。

駐在員は現地で1~10まで自分でやっているので、滅茶苦茶忙しくなり、本来やるべき3割の最優先事項に軸足を置けないのです。なので、日本からの援護射撃を受ける事で、日本側はバーチャルに海外ビジネスを経験でき、かつ駐在員は現地でしかできない最優先事項の3割のタスクに集中出来るのです。

「言うは易し、行うは難し」でしょうが、私はなんとなくそんな将来の現地と日本の双方で行う海外ビジネスの姿を見始めてます。

私がnoteを書き続ける理由?

最後、これは補足なのですが、私は本当にラッキーが重なり今でも海外駐在を続けてます。おかげさまで、失敗の多さは恐らくトップクラスになりつつあるかもしれませんが、その中で学ぶべきことも多かったと思います。

「次の世代に向けて」というと何か偉そうですが、これから海外に挑戦したい人、今海外で苦労している人に対して、何か一つでもその学びが役に立てばと思っているのがnoteを書き続けている理由の一つです。

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