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399. 米国では最近反LGBT法が全米で成立しているそうです。そして小学校や中学校でLGBT教育を禁じる州が次から次へと出てきているとも聞いています。日本は米国で問題になっていることを無視してまでLGBT法案を成立させたんでしょうか?

まず、アメリカと日本では政治的・宗教的背景がかなり異なるという点をご理解ください。

ご指摘のようにアメリカでは最近、反LGBTQ+法の導入が増えています。

例えばフロリダ州では、公立学校で性的少数者(LGBTQなど)について「小学校3年生まで」教えてはいけないという基準を「高校生まで教えてはいけない」に変えています。

しかし、性的マイノリティであるという自覚は(当事者によってもちろん違いますが)早い子どもでは幼稚園ごろから性自認が生まれた時に与えられた性とは違うという意識を持つとされています。

性的指向もどうように、小学校から同性がすきだった、両方の性に惹かれていた、どちらの性にも性的魅力を感じなかったという子どもがいます。

もしそういう子どもが悩んでいるときに、学校で何のケアもなされないとすると、スクールカウンセラーは子どもたちの性の悩みについて相談に乗ることもできませんし、適切なアドバイスをすることもできなくなってしまいます。

さまざまな性の在り方があっていい、ということをきちんと教えなければ、異性愛だけが当たり前であり、その他は異常だという偏見を持ってしまう子どもも出てくる恐れがあります。

フロリダ州では同じように、トランスジェンダーの子どもがホルモン治療を受けてはいけないこと、思春期の体の発達を遅らせる薬を使ってはいけないことも定めています。

子どもたちにそんな危険な薬を使わせるなんてとんでもない、フロリダのやり方を支持するという方もいらっしゃるかもしれませんが、トランスジェンダーの子どもたちがこのような治療を受けられないことに失望し、他の州に移住するケースもあるといいます。

さて、ではなぜ今、アメリカで反LGBTQ+法ができているのか。それは政治、特に大統領選挙と関連があるからです。

フロリダ州のロン・デサンティス知事は共和党で、次期大統領選に出馬する考えであると言われています。

保守的な支持層からの票を得るために、このような極端な反反LGBTQ+法を作り、基盤固めをしているのではないかと言われています。

さらに、この保守的な支持層は、宗教的なキリスト教保守層とも重なり、「バイブル・ベルト」にあたる州でこのような反LGBTQ+法が成立していると言われています。

日本では今回、与党がいわゆる「LGBT増進法」を推し進める形で法律が成立・施行されました。

この法律が「法案」だったときには、「欧米とは価値観が違う!追従するなんてとんでもない!」という意見が多く見られました。

しかし、今度は法律が成立・施行されると、「アメリカでは問題になっているぞ!アメリカをみならえ!」という声が上がっています。

私はたいへん不思議だなぁと思います。


参考資料

画像:UnsplashRaphael Renterが撮影した写真