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354. 自称Tが男のモノをぶら下げて女風呂に突撃したらどうするの?女性が悲鳴を上げたら差別?

これは難しい問題です。法律(犯罪)や人権にも関係する問題ですね。

このような事態を避けるために、例えば銭湯の経営者が一律にトランスジェンダー女性の入浴を禁止する方法が考えられます。

しかし、それではトランスジェンダー女性(トランス女性)が不公平に扱われてしまう。

最初から性犯罪目的でトランス女性だといつわる人は論外です。

しかし、トランス女性の中にもさまざまな人がいます。

自認する性は女性だけれども、性別違和の感覚がそれほど強くない。それで性別適合手術をするというところまではいかない。

つまり体は男性のままでも心の性で生きていきたいと望む方もいらっしゃいます。

ここで問題になるのが、他人から見ただけではその人が犯罪目的でトランス女性を演じているのか、本当にトランス女性なのかがわからないという点です。

見分けがつかないのだったら、トランス女性の女湯の使用は禁止するという措置は経営者側からしたら当然のことのように思われるかもしれません。

この問題はどう考えたらいいのでしょうか。

1つヒントがあります。

私は以前から、銭湯で入れ墨をした人の利用が禁止されていることが不思議でした。これは人権侵害に当たらないのかと。

調べてみると、入れ墨ではなく、外国人の銭湯利用を一律に禁止したため裁判で争われたケースがありました。

土足入場、浴室への酒類の持ち込み、飲酒しながら大声で騒ぐ、体に石鹸をつけたまま湯舟に入るなどの迷惑行為があったため、経営者が外国人の利用を一律禁止にしたというものです。

札幌地裁ではこれは不合理な差別に当たるとしました。理由は

公衆浴場の公共性に照らすと、銭湯側は、可能な限りの努力をもって、マナー違反者を指導したり、指導に従わない場合にはマナー違反者を退場させたりするなどの方法を実行すべきであり、当該方法が容易でないからといって、安易にすべての外国人の利用を一律に拒否するのは明らかに合理性を欠くものというべきである

PRESIDENT Online 入れ墨は「温泉NG」なのに「銭湯OK」の意外なワケ 2019/12/26

このPRESIDENT Onlineの記事では入れ墨も一律に禁止するべきではないとしています(法律家によっても意見が分かれるところだと思います)。

さて、話をトランス女性の入浴施設利用にもどしましょう。

トランス女性をかたる犯罪者と本当の(というのは大変失礼な言い方で申し訳ありません)トランス女性を見分けることができないのであれば、入浴施設の経営者は一律にトランス女性を排除するのではなく、次のような対応策も考えられると思います。

1 曜日を指定してトランス女性を受け入れる(トランス女性入浴可の日をもうける)
2 時間帯を指定してトランス女性を受け入れる(トランス女性入浴可の時間をもうける)
3 男性器がある状態のトランス女性は、水着などを着用して、女性客に配慮する。

入浴施設の経営者には「営業の自由」があり、トランス女性には基本的人権が尊重されるべきであるという原則があります。

女性が女性のスペースを安心して利用できるようにすることは大変大事なことです。

シス女性の人権を侵害しないように、それと同時にトランス女性の権利も大事にするような解決策が求められます。

この問題は私のような法律の専門家でない者が簡単に論じることはできないと思います。

しかし、なんでもトランス女性が悪いと言って非難すれば済む問題ではないと思います。

みんなで知恵を出し合って考えていかなければならない問題です。

イギリスでは今年2月11日にブリアナ・ゲイという16歳のトランス女性が殺害されています。

トランス女性が自分らしくいることを容認できない社会は、いつまでもマイノリティを排除し続けるでしょう。

みなさんは排除する側ですか?排除される側ですか?それとも、「何もせず黙って見ている」側でしょうか?

私たちが何かしなければ世の中は変わりません。そして人の命が奪われていく。それでいいのでしょうか。


参考資料

画像:いらすとや