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282. 「ホモ」・「レズ」という言葉は差別語ですか?

インターネット上で次のような意見を見かけました:

最近の差別用語って基本的に勝手な被害者意識でつくられていると思うんですけど違いますか?言葉狩りと言いますか、ホモやレズのような省略語ですら差別と糾弾される世の中になると、マイノリティへの見方も必然的に悪い方へ傾くと思うんですが。

確かに、「ホモ」は「ホモセクシュアル(同性愛)」の省略語で「レズ」は「レズビアン」の省略語です。日本語には他にもたくさんの省略語があります。「パソコン」や「コンビニ」が省略語であることすら意識したことがない方もいらっしゃるかもしれませんね。しかし、「ホモ」・「レズ」という省略語が「勝手な被害者意識」で差別的表現とされているわけではありません。

私の過去の記事(214.日本のメディアはこれまでLGBTのことをきちんと扱ってきましたか?)でも書きましたが、「ホモ」という言葉については、とんねるずの石橋貴明さんが扮した「保毛尾田保毛男(ほもおだほもお)」に代表されるように「気色悪い存在」「気持ち悪い男」として笑いの対象に対するネーミングの一部として使われてきたという背景があります。また、それを受けて学校などで「ホモ」と言われていじめを受けてきた子どもたちがたくさんいるのです。当事者側からすると、「ホモ」という言葉を耳にするだけで過去のトラウマを思い出させるような嫌な気持ちになります。

「レズ」という言葉には「保毛尾田保毛男(ほもおだほもお)」のようなキャラクターがメディアで笑いの対象になったことはないと思いますが(そのような事例があったらご教示ください)、それでも当事者を蔑む言い方としてこれまで使われてきました。またアダルトビデオの業界では「レズ動画」が1つのカテゴリーになっていて、異性愛男性の中には女性同士のセックスを見て楽しむということが日常的に行われています。「レズビアン動画」ではなく、「レズ動画」です。みなさんもインターネットで検索してみるといいでしょう。この「レズ動画」というカテゴリーは誰が作ったものなのでしょうか?女性同性愛の当事者でしょうか?私は違うと思います。これは異性愛男性が楽しむために作ったものです。このようなことがまかり通っている世の中で、当事者は自分達が人として尊重されていると思うでしょうか?

当事者は勝手な被害者意識で「ホモ」・「レズ」という言葉を不快に思っているのではありません。そこにはそれなりの歴史的・文化的な背景があります。相手を蔑む言葉として用いられてきたものは、当事者が目にしたり耳にしたりすると不快に感じるということです。人を傷つけるのは良くないと考えるのでしたら、もうこのような言葉は使わないでください。

注:当事者同士では「おかま」「ホモ」「レズ」などの言葉は今でも使われています。それは「ウチ」グループの中だけで通用することです。「ソト」の人がこれらの言葉を使うと蔑称になるのです。これについては私の記事「33.「オカマ」とか「ホモ」という言葉は侮蔑的な言葉なので使わない方がいいと聞きましたが、ゲイ同士では使っているようです。なぜですか?」を参照してください。


参考資料

JobRainbow MAGAZINE  「ホモセクシュアル/ホモロマンティックとは?【”ホモ”って差別用語?】」(2021.7.21)