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BMW、天然ガスへの依存を減らすためエネルギー投資を検討中

1.BMW、新たなエネルギー投資を検討

https://www.theepochtimes.com/bmw-exploring-energy-investments-to-reduce-dependence-on-natural-gas_4483753.html

 「BMWは、天然ガスへの依存度を下げるため、太陽光、地熱、水素エネルギーへの新たな投資を検討している」と、生産責任者がロイターに対して、ロシアのガス禁輸により産業が行き詰まることを警告して語った。

 
2021年のエネルギー消費の54%を天然ガスに依存している同社では、工場にソーラーパネルを追加できる場所があるのか検討しており、また、ドイツのライプチヒ工場に水素を輸送する計画を、地元自治体と策定しているとのこと。
 
水素は ガス需要を下げ、又、完全に代替するのに非常に適している」と語った。
 
ロシアからのガス供給が停止した場合、BMWの工場はどうなるのかという質問に対しては、「我々の産業はドイツの天然ガス消費量の約37パーセントを占めている。BMWだけでなく、セクター全体が止まってしまうだろう」 と。
 
BMWの計画は、ドイツの産業界全体で行われている幅広い準備を反映したものである。ロシアのガス供給が突然停止した場合に、利用可能な量を割り当てるシステムを考え出すためのものである。
 
BMWは、ドイツ国外ではハンガリーのデブレツェンにある新工場が、化石燃料を一切使わずに操業する世界初の自動車工場になると発表している。
そこでは、太陽光に大きく依存する操業になるとのこと。また、地熱の利用も検討していると付け加えた。
 
地熱発電は、天候に左右される自然エネルギーよりも安定しているが、初期費用が高く、掘削のための複雑なライセンス手続きのため、風力や太陽光発電に匹敵する成長や投資は見られていない。
 
ハンガリーのエネルギー供給の約半分を占め、ドイツでは段階的に廃止されている原子力の可能性については、「原子力は、特にこの不安定な時代には安定したエネルギー源となり得る。しかし、BMWは、再生可能エネルギーに頼っていく方針」だという。

2.グリーン水素の実現可能性?

BMWは再エネ重視(特に太陽光)の方針で水素に期待しているようである。つまり、グリーン水素を普及させて車の生産に供するということらしい。

日本では、将来的な水素価格として30円/Nm3という目標を置いている。現在の1/3程度である。本当の意味で水素を普及させるためには、水素価格を15~20円/Nm3程度にしなければならないとも言われている。

EUにおいては、「Hydrogen Europe predicts, for 2030 in Germany, a green H₂ cost at the site of the electrolyser of €3/kg (€90/MWh)➡30円/Nm3.」などと書かれている。目標は日本と似ている。

The present and future green hydrogen production cost | Science, climat et énergie (science-climat-energie.be)

IEAには、水素の製造コストの比較が記載されている。
化石燃料(主に天然ガス): €1/kg to €2.7/kg(CO2 captureなどで変動)
グリーン水素(水電解):€3/kg to €7.5/kg (再エネコスト等で変動)

これから、グリーン水素の製造コストは、電気分解設備出口で、グレー/ブルー水素の3倍、EUエネルギー取引所におけるメタンの7~17倍になると報じられている。

グレー水素:化石燃料から水素製造、生成するCO2は大気放出
ブルー水素:化石燃料から水素製造、生成するCO2は捕獲してCCUSなどで利用、大気放出なし

と考えると、かなり挑戦的な技術開発やインフラ整備などが必要であることが分かる。むかし数度あったといわれる水素ブームが、今回もブームだけに終わってしまうことも考えられる。これからの頑張り次第であるが、どう推移していくのだろうか...


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