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COP26の成長なくして分配なし

12日に閉会となる予定のCOP26は、CO2の排出量が多い石炭火力の扱いなどをめぐって交渉が難航し、13日も協議を継続することになったようです。

12日の改訂草案には米国ケリー特使の支持があったにも拘らず、石炭火力に依存するインドなどが反発しました。そのため、「1.5℃削減目標」を維持したまま、石炭火力の段階的廃止を「GHGの排出削減が未対策のもの」という条件を付与、緩和したということです。

また、2020年までの目標、即ち気候変動対策費として先進国が途上国に年間1000億ドル(約11兆4000億円)を支出するという件は未達であるため2025年までの実現を要請したということも報じられています。

一部の途上国から「支援資金が不足している」との指摘が上がっています。

途上国の動きとして、AFPは、海面上昇によって水没の危機にさらされている太平洋の島嶼国ツバルの外相が、太ももまで海に漬かって気候変動対策を訴える動画を製作してCOP26で公開したというニュースを流しています。「気候変動と海面上昇は、ツバルをはじめ海抜の低い環礁国にとって致命的で存続に関わる脅威だ。わが国は沈みつつある。他の皆も同じだ」と訴えたということです。

確かに10数年前、温暖化による海面上昇によって「ツバルは沈みゆく小さな悲劇の島」とNHKなどで繰り返し報道され、海面上昇のシンボルのような扱いをされてきました。今もそのようですが...

ところが、2018年のNature Communicationsでは、「ツバルは、1970年以来、その面積を3%程度増大させている」ということが報じられています。
どちらが本当なんでしょう?
https://www.nature.com/articles/s41467-018-02954-1

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ツバル外相は、結局、途上国は気候変動対策のための資金が欲しいと訴えているだけなのでしょうか?

仮に我が国が人道的な配慮から資金を拠出したとしても、それで解決するというような代物ではありません。資金を提供したとして、ほんとうに気候変動対策に使用されるのか、そこが大きな疑問です。私たちの税金を使うわけですから、資金の流れ、活用方法、結果や効果など、そこは透明性、説明責任、モニターリング、厳格な監査などが必要です。

気候変動対策に使用されるとしても、技術の現地化などという問題があります。技術はユニバーサルなので簡単に移転できると考えている方もいるでしょうが、そう簡単な話ではありません。技術力の前にしっかりとした価値観(宗教、文化、国家、社会、人間、労働、環境などに対する)があるのか、そこが技術移転のポイントになります。

岸田政権は「成長と分配の好循環」を経済政策としていますが、善循環していくことを期待しています。

結局、COPでの取り組み「先進国からの資金拠出や分配」では、脱炭素を先進国に強いようとしています。未熟な技術しかない状態で、闇雲に脱炭素を推進していけば、先進国の成長減速につながります。どこかで「成長なくして分配なし」というスローガンを聞いた覚えがありますが、脱炭素の無理強いは途上国への分配を難しくするという現実に落ち着くのではないでしょうか。


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