異才はいる。問題はどう向き合うかだ。

 ソフトバンクグープの孫正義社長が私財を投じて設立した財団がある。その名もずばり「孫正義育英財団」。特異な才能を持ったいわゆる異才の若者を発掘し、支援するのが目的だ。現在、8才から26才までの96人が対象になっている。財団の中の人に会う機会があったので、どのように異才の集団に向き合っているのかを聞いてみた。

答えはシンプルだった。「子供扱いせず、対等な人間として向き合う」。

異才だからと言って持ち上げず、さりとて子供だからと言って見下さず、フラットに目線を合わせる。そうすると、彼ら彼女らの溢れ出すアイデアや思いをとうとうと語ってくれて、あとはどんどん異才同士が繋がっていくのだという。

少し心当たりがある。東大と日本財団による「ロケットプロジェクト」という、孫正義育英財団とよく似た「異才発掘プロジェクト」があるのだが、そこで葛飾北斎をアレンジした絵を描く京都から来た小学生の少年に出会った。子供とか大人とかにカテゴライズできない才気を感じ、話に聞き入ってしまった。レオナルドダビンチの絵を何時間も見続けたけど学校には感動をシェアできる友達がいないとか、異才ゆえの孤独と絵に対する情熱を明かしてくれた。もし個展を東京で開いたら必ず君の絵を買うと約束して別れた。

異才は何かを伝えずにはいられない。問題は、フラットな目線で接する態度がまだ社会で共有できていないことなのではないか。持ち上げず、見下さず。異才たちが息をしやすい社会はきっと良い社会だ。

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO20395250V20C17A8000000?channel=DF130420167231&style=1

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