コロナ関連経済政策を国際比較してみました

はじめての記事が重たい話題になってしまい恐縮ですが、
コロナウイルス関連の現状、経済政策についての雑感を記してみたいと思います。

・世界の状況はどうなっているか

感染者数については、検査方法・方針等が各国によってまちまちです。
日本においては、PCR検査を可能にする設備を有する医療機関は限られています。そのため、検体の採取・輸送というプロセスを踏まざるを得ません。とすると、輸送網がどれだけ整備されているかによっても判定までの時間差が生まれてくることになります。
こうしたインフラの状況は各国によって大きく異なりますから、感染者数を状況把握の指針にすることは、なかなか難しいことなのではないかと感じています。

対して、死者数に関しては、コロナウイルスとの関連性をどう評価するかという恣意性こそ排除できないものの、感染者数に比べると客観的な指標になるものと考えられます。
日本経済新聞のまとめによると、死者数は多い方から、
 イタリア 17,127人〈6,036万人〉
 スペイン 13,798人〈4,694万人〉
 アメリカ 12,893人〈3.272億人〉
 フランス 10,328人〈6,699万人〉
 イギリス 6,159人〈6,665万人〉
となっています。〈 〉内は総人口(概数)です。
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-world-map/

日本では死者数98人〈1.268億人〉と、世界各国と比較すると未だ少なく抑えられているというのはたしかに事実のようです。

・日本のコロナ関連経済政策

日本でも昨日、経済政策の骨子が閣議決定されました。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57787830X00C20A4EE8000/
事業総額108兆円とのことですが、真水20兆円ではないか、との試算もあります。
参考:https://note.com/smdam_yamazaki/n/n87e2d3046387

とはいえ、単位が大きすぎて、その数字だけで何かを論じることは難しいと思いますので、昨年までの国家予算と比較してみます。

日本の予算は、大きく一般会計・特別会計からなります。そして、一般会計と特別会計の間、特別会計相互間での収入・支出がありますので、これらを単純に合計した総計では重複部分があり、この重複部分を除いた純計が国家財政の規模をすばやく見るのには適切な指標と考えられます。報道等では一般会計のみが着目されますが、日本の財政は特別会計を踏まえなければその全体像を正しく理解することはできません。
→この点についてはまたの機会に記してみたいと思います。

さて、令和元年度の一般会計・特別会計の決算純計(見込)は、約244兆円です。これと今回の経済政策の真水である約20兆円を比較すると、約10%程度を占める予算感ということになります。
これを多いとみるか少ないとみるかは判断のわかれるところと思います。

・世界各国の経済政策の状況

被害の大きい国を始め、大規模な経済政策が各国首脳によって発表されています。上述の日本での比較と同様に、コロナ関連の経済政策の規模と、通常の国家財政の規模を比較してみました。
各国の経済政策規模金額については、一般報道によるものを引用しています。

 イタリア 250億ユーロ〈約8,000億ユーロ〉
 スペイン 2,000億ユーロ〈約4,800億ユーロ〉
 アメリカ 2兆ドル〈約6.5超ドル〉
 フランス 450億ユーロ〈1兆2,000億ユーロ〉
 イギリス 300億ユーロ〈8,000億ユーロ〉

〈 〉内は通常時の財政規模です。こちらから歳出金額を参考に記しています。
https://ecodb.net/

上記の比較においては、考慮していない点がまだまだあります。
たとえば、
・ユーロ圏においては、同一の通貨を複数の国家で運営する特殊な状況にあるので、これらをそのまま比較してよいのか?
・経済政策規模金額の比較可能性がまだ担保できていない(日本のように、いわゆる「真水」にすると少ない金額になる可能性あり)
・財政規模金額ついても、各国の予算制度など、固有の事情を反映していない

分析というにはまだまだ条件をそろえる必要性が多くありますが、各国も相当程度大規模な対策を用意している現状です。


まずは身の安全を確保しながら、さらにニュースを注意深く見ていきたいと思います。本日はこのあたりで。今後ともよろしくお願いします。

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