宇宙(そら)翔ぶキアの秘密基地107

そうだ、今考えたらあの子は追われてばかりで夢なんて見れなかったのかも知れない!

「夢?ううん、まだ。」

浮かない顔で小さく答えたらガンドウは目を見開き、

「えええー!!それって危ない奴じゃん?だってさキアちゃんは空飛んで黄火国に行ったんだろ!?それはただの偶然って奴なんか!?例え身内や住むとこ無くても生きている限り夢は持てる、いや持った方が良いよ。…あ、ごめんね。キアちゃんはサーレント様のお宝だから自由ではなかったんだね?ああだからサーレント様は羽を…。あ、いやいやオラは今こうやってサーレント様に仕えているのはそうしたいからなんだ。団員のみんな多かれ少なかれサーレント様の側にいたいって思ってるからここにいるんだよ。サーレント様もみんなをこの船に乗せる資格をお与えになっただけで船からはいつでも下りられるんだ。さてと。」

ガンドウはあたしを軽く持ち上げて

「キアちゃんってさ、自分のこと話したくならないの?」

そう尋ねてきた。

「ええ?聞かれたら話すけど自分からはあまり話したくない。」

あたしがそう言って俯いたからか、ガンドウは口を結び

「ふうん…、オラばかり話したら不公平かと思ったんだけどそんなことないのか。」

でもまたガンドウはいつもの笑顔で

「オラ人と…いや妖精とも…ま、とにかく話すの好きなんだ!キアちゃんさえ良ければなんぼでも話はあるよ。あのね…!!」

ガンドウのお喋りは一日中治るところを知らない。

いくらみんな自分のことで精一杯だからってこんな船の甲板なんか目立つとこでよくこんなにベラベラ喋られるよね!?

この日はずっとガンドウの話し相手に徹していたの。

夢、あの子はこの日からそれを意識することになるがこんな、救えない星に夢を描けるのだろうか?

自分に出来るお礼はノートを充実させることです(^_^)a