悪戯神様と天の子の冒険聖書164 エピローグ

うん、分かる!
最初のはピースがチョキで拳がグー。
チョキに弱くグーに強いのは「パー」。
次のカップは紅茶、「ティー」。
そして、チェック模様に対して小さいストライプ模様、つまり縞模様が小さいから「しま、しょう」。
それらを繋げて、
「パーティーしましょう!!」
と中に聞こえる元気な声で暗号の答えを言ったら、
「何ナニ?パーティーですって?」
貝の中から女性の声がして貝の扉の僅かな隙間から眩い、暖かい光が漏れた。
「今だ!!」
タジカノヌシ様は怪力で扉を無理矢理引っ張って開けた。
強い光はたちまち溢れて世界のあちこちに飛び散っていった。世界に光が戻ったのだ!
光の出所は煌びやかな金糸入りの服を召された長い髪の女神様!?
私を見つめて涙を流しながら微笑んでそして、
「アマ?アマなのね?やっと会えた!」
「あなたが母上?テラ様ですか?」
そんな私の質問が消えてしまいそうなくらいテラ様は私を抱きしめて大はしゃぎ!
そして、すっかり力を取り戻し大きく明るく燃えるヒノリミコが
「コォー!!」
と一声発して空高く舞い、私達の再会を皆に伝えに行くと私の服からも不死鳥が飛び出し朝を告げに行った。
「みんな、アマがわらわに会いに来たわよ!それがどう言うことか解るよね!?」
うん何、大声で?
すると、波のような音と共に、
「おお、そうか遂にこの日が来たのか良かったな!」
肩にトワクスのお乗せになられたスオ様が現れた。
「そしてね、わらわにパーティーしましょう!って呼びかけてくれたのよ!だから早速パーティーよ!ってその前に。クヨ!恥ずかしがってないで早く出ておいで!パーティーに参加出来なくなるわよ!」
そしたら空中に黒い穴が空いて、夜空のように黒い着物を召されたお優しそうなお顔をされた男神様が恥ずかしそうに現れた。
あれ?このお顔、誰かに似ているまさか!
しかしさっきまで戦っていた鬼のような恐ろしい姿の大男と同じお方なのが信じられない。
少し会釈をされた後私を真っ直ぐ見られ、
「そうか、どうやら計画は上手く行ったみたいだな。アマよ、辛い思いをさせてすまない。それも君を立派に育てるため…いや嘘はダメだ。実はどうしても娘に会いたいと言う姉者の我儘のため…。」
「ちょ、クヨ!人聞きの悪いこと言わないでちょうだい!」
「だって我々神は真実を語らなければ。」
「だからよー!クヨ兄者ってさー、アマを心配しまくって甘っちょろいんだよな!手ェ貸しすぎ。」
「だって、まさかあそこでトワクスが技食らって倒れるなんて神でも予想つかぬ状況だったし。」
やっぱり、流星の神ってクヨ様だったんだ!
そう思ってチラリとクヨ様に視線を送ると、
(その通り、あれは僕の少年時代の姿で星の神とも呼ばれてた。)
とテレパシーで伝えられて微笑まれた。
しかし直ぐにスオ様が
「そいつは俺の馬鹿鳥が悪かったけど大体なー!アマが参ってないか心配ばっかして休めるベッドを拵えて何度も誘い込もうと、無理矢理連れてったりもしたしな。あれだって神の端くれ侮れないぞって忠告したのに聞きもしないで付き纏っていつかバレやしないか、いやバレかけてたから計画がおじゃんにならないかハラハラしたぞ!」
「じゃあスオお前がやれば良かったじゃん。僕は顔も迫力ないからわざわざ変身までする羽目になったし慣れてない演技だったとはいえあのお優しいクヨ様が…ってみんなの見る目まで変わってしまったじゃないか!」
あーあ、物凄い規模のドッキリ作戦だね。
ま、スオ様の仰る通り薄々勘付いていたけどね。
「自分で優しいって言ってるし。いやー俺がその役すると人間界大嵐の水浸し、そっちのが大惨事。でもテラ姉者に貝の家プレゼントしたのは俺だが。クヨ兄者のいわおが地味だって文句を言うから。」
私のことそっちのけで勝手にきょうだい喧嘩を始めておられる。
「あ、でもクヨ、スオもありがとね。」
テラ様が弟神2柱を宥めるように御礼を言われて
「そんなことよりパーティーよ!わらわとアマの再会を祝ってとーっても楽しいパーティーするのよ!」
その時、
「ゴゴゴゴゴ!」
うん、何の音?
あれ?大きな雲が金色に光り出して、
「全く困った悪戯っ子共だ。」
「ああ親神様!だってぇ、ずっと仕事仕事。わらわ真面目にやってきたわよ!どーして母が娘に会っちゃいけないの!?娘も修行になったしそれくらい良いでしょ!?ねぇアマもそう思うでしょ!?」
テラ様は黄金の雲に向かって涙をお溜めになりながら叫ばれ私に同意を求められた。
そしたら雲が地上に降りて弾け、威厳のある2柱の神様がお姿を現した。
3柱のご両親!私に会釈され、
「私達が親神であり、最高神の地位をここにいる我が娘テラに与えたのだがきょうだい揃って我儘で悪戯っ子でどうしようもない上にお前を始め精霊達、遂には人間界まで巻き込んでしまった。誠にすまない。」
とご挨拶され3柱を叱咤する視線を送られ再び黄金の雲に変わり飛び立たれた。
親神様方がを見送られながら3柱はしゅんと頭を下げられ猛省しておられたご様子でしたが完全に見えなくなると直ぐ元気を取り戻し、
「さあ、お詫びと言うことも兼ねて人間界にもおめでたいパーティーモードをお裾分けしてやりましょう!」
と、テラ様はいそいそと人間界に繋がるオーブを持って来られた。
「さ、ここに神の恵みを与えることにしよう。」
光が戻り、そのままでも喜び溢れる人間界。
テラ様はソワソワ実に楽しそうであられる。
「何が良いかな?花や果物いっぱい降らせたり、モールやスパンコールのような光るもので飾るのも良いわね!後、森や海をカラフルにしちゃおっかなー!」
ちょっと、テラリウムじゃあるまいし。
「ほら、あんた達も何か考えなさい。」
「うん、そうだね僕は影と人、動物も一緒にダンスさせてみよっかな?あ、それ前にやったか。そうだな、人々の夢を実体化させてみよ。」
あーあ、クヨ様まで。
「じゃあ俺は、世界を水で満たすがこの時だけはどんな生き物も水中で生きられるようにしよう。」
スオ様これじゃスノードームになるじゃない。
「ほら、とっても綺麗よ。」
「ホントだ。」
「今頃人間界はお祭り騒ぎしてるだろな。」
いやいや今頃人間界は大騒ぎでしょ。
全くとんでもない悪戯神様だね。
「さあてと、こん中にアマを入れてみよ。」
とテラ様はオーブを持ち上げ私に向かって掲げられたら私は人間界に吸い込まれた。
人間界の上空に色とりどりのモニュメントやラメが水になった空を泳いでいる。
「おおあれは!空の上から現れし天女か!?」
人々が私を指差して驚いている、恥ずかしい!
やがて水位が下がり、ゆっくり地上に降りるその時視界が暗転し、
「ピピピピピ!」
目覚ましが鳴り、気がつけばいつもの自分の部屋のベッドの上で自分の姿も元に戻っていた。
昨日どうなったかと気になり部屋を出て新聞を広げても、父に聞いても何事も無かったみたい。
夢?
ううん、首には紅の鳥の形をしたペンダントがキラキラ輝いていた。
お母様、希望の輝きをありがとう。
私、立派な神になるまでその輝きを失うことなくここで人間そらとして生きていくからね。
でも、たまには何処かでひょっこり悪戯しにきて欲しいな。
こうしてそらはアマとして天に迎えられるまで今もこの世界の何処かで頑張っているそうな。

おしまい!

「あ、アマへの呪い解くの忘れてた!ま、いっか。」

自分に出来るお礼はノートを充実させることです(^_^)a