悪戯神様と天の子の冒険聖書35
見ると、ジッカの黒い傘。
ジッカはまた私にしか聞こえないように小さな声で話し始めた。
「あ、失敬。クヨ様からの伝言を頂きましたので。あの、クヨ様は森の角を1回だけ曲がった先つまり霧の奥の沼であなたをお待ちしておりました。しかしあなたは角を3回曲がり正ルートを進まれましたので会えなくなったと残念がっておられました。」
「あなた、何故それを?」
「私の育ての親はクヨ様ですから。」
とジッカは片方の口角を上げた。
「ですがご安心くださいませ!我々キノモリの使命は命の森を守ることであり親がどなたであってもその使命が揺らぐことは決してございません。ささ、もうすぐキノモリの長イッカの神殿が見えて参ります。」
とジッカは傘を揺らした。
沢山のオレンジ色の幼菌、あれ?少し小さくて色が暗い?
「アマ様、あれらは生まれたばかりの胞子達です。胞子は幼菌より色は暗く、弱いため神殿の近くを飛んでいるのですよ。」
ヒャッカはいつも私を気にかけて聞く前に教えてくれる。
さっきまで影も形もない神殿がオレンジ色の胞子達の中まで進むとぼんやり光る紫色の神殿が見えてきた。
これが、イッカとやらの神殿?
ギリシャの建物に似た形の神殿はとても幻想的だ。
自分に出来るお礼はノートを充実させることです(^_^)a